マツタケと名前

谷流鳩都

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マツタケと名前

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自然いっぱいな山で暮らすマツタケくんは、物心つく頃にはマツさんとタケさんと一緒に暮らしていました。マツさんもタケさんもとっても身長が高くカッコいい姿は、マツタケくんにとっていつも憧れの存在でした。色んな話をしている中で、マツタケくんは疑問を持ちます。
ボクの名前はなんで、マツタケっていうのかな?と考えるようになったのです。マツタケくんは、またこうも考えます。もしかして、マツさんとタケさんの子供なのかな?でも、身長も全然足りないし、ボクって丸みがあって、ガッシリして、カッコいいマツさんとは全然似てない。タケさんは、どこまでもまっすぐでスラッとしてて素敵だけど、似てないと考えました。更に、ボクが身長を伸ばしたら、マツさんやタケさんのようになるのかな?とも考えました。しかし、どうしても答えが出ないマツタケくんは、よし!思いきって、マツさんとタケさんに聞いてみよう!と決心しました。

 
「ねえねえ、マツさん、タケさん、聞きたいことがあるんだけど、どうしてボクはマツタケっていう名前なのかな?何か知ってる?」
それを聞いたマツさんとタケさんは、微笑みました。そして、マツさんは
「それはね、待っていれば答えがきっと来るはずだよ。」と答えます。
タケさんは「そうね、待つことで解決するかもしれないわよ。一緒に待ちましょうね。」
と言いました。
マツタケくんは、
「うん!わかった。ボク待つよ。ありがとう。」
と言って、待ち続けあっという間に半年が経ちました。

マツタケくんはそろそろ答えが欲しいなぁと思っていた時でした。一人の人間が
「やった!見つけたぞ!マツタケだ!」
という言葉と同時に、マツタケくんを地面から引っこ抜いてしまいました。マツタケくんはあまりにビックリし、気絶してしまいました。しばらくして、マツタケくんは目を覚ましました。
マツタケくんは、ここはどこだろう?人間がいる?ボクどうして横になってるんだろう?混乱していました。無理もありません。マツタケくんがいる場所は、八百屋さんだったのですから。マツタケくんは、段々と寂しくなってきました。マツさんもタケさんもいない、大好きな土と共にする事も出来ずにいたからです。ボク、どうしてこんなところにいるんだろう。人間に引っこ抜かれるために待ってたんだろうか。マツさんにもタケさんにも会えない、動けない、怖いよ。マツさんもタケさんも、待っていれば答えが来るって言ってたけど、マツさん、タケさん、ボク今とっても心細いよ。誰か、助けて。寂しいよとマツタケくんは、元気がなく、たった一人切りでした。その時でした。
「すげえー!マツタケじゃん!俺好きなんだよなぁー。うわっ!マツタケ、マジ高くね!なぁなぁ、たけーよな!払える金ねぇーし。ちぇー。」
という、若い男の人の声が聞こえました。マツタケくんは思いました。…ボクが高い?ん?マツタケは高い。マツタケはタケー。まつたけぇー…マツタケ…?!!おや、マツタケくんは閃きました。そう、マツタケくんはずっと探し求めていた名前の意味を、悟ったようです。

ボクは、人間には高い存在なんだ。マツさんやタケさんのように、高い身長の事じゃなかったんだ!ボク、てっきりマツさんやタケさんの子供なのかなとも思ってた!けど、違うんだね。きっと、人間が言ってる方の高いが正解なんだ!やった!答えが見つかったよ!それに、待つ事で本当に答えが来た。マツさんとタケさんのお陰。マツさん、タケさんありがとう。なんだか、人間が驚いてる人もいるし、喜んでる人もいる。ボク、なんだか嬉しいなぁ。ボクの名前がマツタケで良かったなぁ。とマツタケくんは、怖くて落ち込んでいたさっきまでと違い、とても晴れ晴れとし、心がほっこり満たされ、嬉しい気持ちになりました。こうして、マツタケくんは幸せに包まれました。
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