隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034

文字の大きさ
21 / 47
1年生編:1学期

第21話 期末テスト1日目

 月曜の朝、教室の窓から差し込む光は柔らかく、しかしどこか緊張感を帯びていた。
 晴は机に向かい、深く息をつく。

(……いよいよ、期末テスト初日か……)

 隣の席では美羽がノートを軽くめくり、鉛筆の先でページをなぞっている。
 その所作は自然で、落ち着いた雰囲気を周囲に漂わせる。

「晴、緊張してる?」
 小さな声に、晴は思わず顔を上げた。

「いや……まあ、少しは」

「少し?少しじゃ済まないと思うけど」
 美羽はにやりと笑い、ペン先でノートを指す。

「今日の国語、長文が結構あるみたい。落ち着いて読まないとね」

 そのとき、教室の扉が静かに開き、紗耶が入ってきた。
 金髪ボブを揺らしながら、少し寝ぼけたように微笑む。

「おはよう、晴くん、美羽ちゃん」

「おはよう、紗耶ちゃん」

「今日のテスト、ちょっと緊張するね」
 紗耶は小さく手を握りしめ、頬を赤く染めている。

 晴は肩の力を抜き、軽く微笑んだ。
「大丈夫だって。焦らなければ問題ない」

 美羽は机の下で晴の手にそっと触れ、励ますように握る。
「そうだよ、晴が言うんだから間違いない」

 教室には、試験前特有の張り詰めた静けさが漂う。
 ノートを広げる音、鉛筆の芯を回す音、呼吸のリズム……
 そんな細かい音さえも鮮明に耳に届く。

 チャイムが鳴り、担任が試験用紙を配布すると、ついに国語のテストが始まった。

 晴は深呼吸をひとつして、問題に目を落とす。
 長文読解、漢字の書き取り、古文の訳――
 授業中に覚えた知識を思い出しながら、慎重に進めていく。

 後ろの紗耶は静かに鉛筆を走らせながら、時折眉をひそめえる。

 隣の美羽は、焦る様子はなく、丁寧に文字を追っていたが、時折ちらりと晴の方を見て深呼吸をしている。その視線はまるで、「一緒に頑張ろう」と言ってくれているかのようで、晴の背中に少し安心感を与えた。

 教室には鉛筆の音と紙をめくる音だけが響き、時折、心の中で誰かに問いかけるような小声が聞こえる。
 美羽が「ここはこう書けばいいかな」と小さくつぶやくと、晴はそれに軽く頷く。
 紗耶は問題に集中しながらも、晴や美羽の動きに安心を見出している様子だった。

 長文読解では、物語の登場人物の心情や背景を頭の中で整理しながら読み進める。
 晴は文章の中の微妙なニュアンスを捉えようと眉をひそめ、美羽は要点を整理しながら読み、紗耶は一度文章を読み終えたあと、もう一度確認して問題に取り組んだ。

 試験終了の合図とともに、教室にはほっとした空気が流れる。
 晴は肩を伸ばし、軽くため息をついた。

「思ったより手ごたえあったかな」

「まあまあかな……」
 美羽は控えめに笑い、紗耶は少し不安げに眉をひそめる。
「ステージの疲れもあるし、集中力が持つか心配で……」

 昼休み、三人は廊下に出て、校舎の隅で弁当を広げた。
 窓から差し込む陽射しが、机の上に淡く影を作る。
 風がそよぎ、校庭の木々の葉が揺れる音が遠くから聞こえる。

「次は英語だけど、晴は自信あるの?」
 美羽が聞く。

「英語か……単語と文法だけしっかりしてれば、なんとかなる」

「ふふ、じゃあ安心ね」

 紗耶も目を輝かせてつぶやく。
「誰かと一緒にやれば集中できそうですね」

 その言葉に、晴は胸がじんわり温かくなる。
 弁当の彩りや香りも手伝い、穏やかで心落ち着く昼のひとときとなった。

「でも、午後は結構長いみたいだよ」
 美羽がさらりと付け加える。
「リスニングから長文、文法問題まで。気を抜くとあっという間に時間が過ぎる」

 三人は軽く笑い合い、午後への緊張感を少し和らげた。

 午後は英語のテスト。
 リスニング問題では、晴は耳を澄ませ、スピーカーから流れる音声に集中する。
 紗耶は小さく息を止め、聞き逃さないように目を閉じる瞬間もある。
 美羽は要点を頭に置きながら、問題用紙に目を落とす。

 長文読解では、文章の構造や接続詞の意味を整理し、順序立てて理解する。
 晴は少し眉をひそめつつも、問題文に沿って落ち着いて進めていく。
 紗耶は慎重に文字を追い、時折、深呼吸をして落ち着きを取り戻す。

 リスニング中、晴はそっと紗耶の手に視線を送る。
(大丈夫……)
 心の中でそう囁きながら、互いに励まし合う感覚を確かめた。

 文法問題では、選択肢を慎重に吟味し、文章の意味が通るかどうかを頭の中で確認する。
 美羽は自然な筆跡で答えを書き込み、紗耶も焦らずにペンを走らせていた。

 英語が終わると、すぐに社会の試験が始まった。
 歴史の年号、地理の地名、政治の仕組み――頭に入れた知識を一つひとつ丁寧に書き込む。

 晴は授業中のノートを思い出しながら、冷静に回答していく。
 美羽は教科書の要点を軽く復唱し、効率よく問題をこなす。
 紗耶は迷う場面もあったが、隣の二人を思い浮かべて落ち着きを取り戻す。

 試験の合間、わずかな空き時間には互いのメモを見せ合い、答えを確認する。

「ここ、漢字間違えてない?」
 美羽が尋ねると、紗耶は穏やかに微笑みながら答える。

「大丈夫、こう書いたよ」

「良かった!」
 美羽も嬉しそうに笑った。

 小さなやり取りが、疲れた心を軽く支え、安心感を与える。
 試験中は集中していても、互いの存在を感じるだけで心が落ち着くのを三人とも感じていた。

 夕方のチャイムが鳴り、初日の試験が無事に終わった。
 教室を出ると、校庭に長い影が伸び、夕陽が校舎を赤く染めている。

「ふぅ、1日目、無事終了」
 美羽が肩を伸ばし、深呼吸する。

「まずは今日を乗り越えたな。明日は理科と数学かー」
 紗耶は少し疲れた表情を浮かべながらも、微笑みを絶やさない。

「しっかり勉強したから、大丈夫だよ!」
 帰り際、晴は少し照れくさそうに言う。

 三人は帰り道を歩きながら、今日の出来事を思い返す。
 国語の長文の内容、英語のリスニングの引っかかり、社会の地名と年号――小さな失敗もあったが、それ以上に互いに支え合えた安心感があった。

 夕暮れが校舎を染める中、三人の間には言葉にせずとも通じ合うものがあり、明日への意識も自然と高まっていった。
 
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺のモテない学園生活を妹と変えていく!? ―妹との二人三脚で俺はリア充になる!―

小春かぜね
恋愛
俺ではフツメンだと感じているが、スクールカースト底辺の生活を過ごしている。 俺の学園は恋愛行為に厳しい縛りは無いので、陽キャラたちは楽しい学園生活を過ごしているが、俺には女性の親友すらいない…… 異性との関係を強く望む学園(高校生)生活。 俺は彼女を作る為に、学年の女子生徒たちに好意の声掛けをするが、全く相手にされない上、余りにも声掛けをし過ぎたので、俺は要注意人物扱いされてしまう。 当然、幼なじみなんて俺には居ない…… 俺の身近な女性と言えば妹(虹心)はいるが、その妹からも俺は毛嫌いされている! 妹が俺を毛嫌いし始めたのは、有る日突然からで有ったが、俺にはその理由がとある出来事まで分からなかった……

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

両隣の幼馴染が交代で家に来る

みらいつりびと
恋愛
両親がタイへ行く。 父親が3月上旬に上司から命じられた。4月1日からバンコクで勤務する。 うちの父と母はいわゆるおしどり夫婦というやつで、離れては生きていけない……。 ひとり暮らしの高校2年生森川冬樹の世話をするため、両隣の美しい幼馴染浅香空と天乃灯が1日交代で通ってくる。 冬樹は夢のような春休み期間を過ごし、空と灯は火花を散らす。 幼馴染三角関係ラブストーリー。全47回。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。

孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。 その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。 そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。 同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。 春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。 昔から志穂が近くにいてくれるから……。 しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。 登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。 志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。 彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。 志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。 そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。 その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。