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第一章 紫電の射手
act.3 紫電の属性
しおりを挟む「今のは……モニカ! 今のが見えたか?」
イグナールは側についていたモニカに尋ねる。
「まさか、そんなことってありえるの!?」
驚きの表情を浮かべ、モニカはイグナールの腕を取りまじまじと見つめる。彼女は近くに置いてあったカバンに手を突っ込むと小さなガラス玉を取り出した。
「イグナール、これを握って魔力を込めてみて」
そうモニカに言われたもののイグナールは困惑した表情を浮かべる。彼女が渡したのは魔力を込めた本人の属性に呼応し色を変える測定器だ。炎ならば赤、水ならば蒼と単純明快である。
「あ、あぁ……でももしまた何も反応がなかったら……今さっきのはただの幻覚だったら。やっぱり俺はまだ無属性だったら」
「大丈夫よ。きっとあの落雷は神様から貴方への試練……それを超えたイグナールならきっと大丈夫!」
モニカに励まされた彼はゆっくりとガラス玉を握り閉め、瞼を閉じ、自分の体に纏う力を注ぐイメージを思い浮かべる。すると握りしめた手から紫色の光が漏れだす。
イグナールは恐る恐る目を開け、手を開きガラス玉の色を確認してみる。
「これは!」
ガラス玉は淡く、透明感のある紫色に染まっている。
「やった! やったぞ! 見ろよモニカ! 俺にも属性が……これで俺も魔法が使えるぞ!」
歓喜して喜ぶイグナールと対照的に険しい顔つきでガラス玉を見つめるモニカ。こんな事あり得ないと言いたげな表情だ。
「モニカどうしたんだよ?」
自分と同じになって喜んでくれると思っていたイグナールは、モニカの表情を見て率直な疑問を口にする。
「え、えっと……なんでもないの! よかったわねイグナール。体と魔力が回復したら試してみましょう」
言い淀む彼女だったが、回復したら試そうの言葉で再度嬉しさが込み上げてきたようだ。
「おう!」
イグナールは彼女に元気よく返事を返した。
◇◇◇
3日後、イグナールの体はすっかり良くなり、魔力の枯渇から来ていた倦怠感は消えていた。彼らはイグナールの魔法を試すためにバージス近くの平原に来ていた。4日前の夜、イグナールに雷が降り注いだ平原だ。現場を見てみると地面に焦げた痕跡が残っていて、その威力を知らしめてくれる。
「本当、よく助かったな。モニカがいなければ今頃ここで魔物の餌になってたところだぜ。ありがとうな」
「いいのよ。それにイグナールの魔力量がなければ回復は無理だった。きっと貴方じゃなければ誰も助けられなかったわ」
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