紫電の射手 勇者パーティで無能扱いされて追放しかし、雷に打たれて世界最強の魔法剣士に!

秋水

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第二章 紫電の剣

act.32 いざ、決戦の場へ

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「マキナ! この状況はどうにかならないのか?」

 モニカの手を引き走りながらマキナに尋ねる。

「申し訳ございません。研究所の破損現場にいた私、マスター、モーニカ様は異物として認定され、排除の対象となってしまったと思われます。特に魔力を検知されたモーニカ様を執拗に追ってくると予想されます」

 走っているとは思えない程、淡々とした口調で話すマキナ。

 マキナでどうにか出来ないならそれはもう、どうしようもない。彼女が向かう先が何なのかはわからないが、今は付いていくしかなさそうだとイグナールは考える。

「ご、ごめんなさい……」
「モニカ。そういうのは全てがちゃんと終わった後でいい」
「う、うん!」

 自分の後先考えずにやったことが起因でこうなり、落ち込み気味のモニカをイグナールなりの励ましの言葉投げかける。やや下を向いて彼に手を引っ張られるままに走っていたモニカ。彼女はそれで少し切り替える事が出来たようだ。前を向き、自分の意志でしっかりと走り出した。

「あちらでございます」

 マキナは扉を素手で突き破り、部屋に飛び込んだ。頑強そうな扉を魔法もなしに突き破る膂力に彼女が人ならざる者である証を見た気がするイグナール。だが、今の状況下では頼もしい限りだ。

 マキナに続いて部屋の中に入るイグナールとモニカ。そこは地下の施設とは思えない程の広さを有した空間であった。天井も遥か遠くに存在し、上部にはこちらを覗き見るような窓が設置されている。

「ここは何なんだ……」
「対魔王討伐兵器をテスト運用するための実験室でございます。ここであれば少々の荒事でもビクとも致しません」

 マキナの言い方ではまるで今からその荒事が起きるような口ぶりだ。彼女の方針としてはこの空間に守護者(ガーディアン)と呼ばれる連中を誘い出し、正面から叩きのめす算段らしい。

「クソッ! やるしかないのか」

 剣を引き抜きながら悪態をつくイグナール。こんなことになるならば、少しでも装備を整えておくべきだったと後悔する。

「マスター。私(わたくし)に魔力の補充をお願い致します」

 マキナが差し出した手を反射で握るイグナール。

「魔力を放出するだけでいいんだよな?」
「はい。お願い致します」
「『我に眠りし力よ、我が意思に従え』」

 イグナールは自身から力を呼び起こす言葉を唱える。それがマキナと繋がった手から徐々に放出されるイメージ。

「充填率60%……70%……80%」

 右手から放出された魔力がマキナに吸い上げられるような感覚に戸惑いながらも、彼女の様子から順調に補充出来ていることに安堵するイグナール。

「守護者(ガーディアン)が7体、いえ8体こちらに向かって来ます。皆さま戦闘の準備はよろしいでしょうか」

 そう言うとマキナは手を離し、戦闘態勢に入る。イグナールとモニカも扉の先を凝視し、来る敵に備える。
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