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最終話 カーテンの裏で
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あれから殿下との婚約が正式に発表されました。
私達は互いの15年を埋めるように、語り合い、様々な場所へ一緒に行きました。
本当に楽しい時間でした。殿下と一緒だとあっという間に時が過ぎてしまいます。毎回、殿下とお会いする時には胸が高鳴り、殿下とお別れする時には切なくなってしまいます。
お優しく、魅力で溢れる殿下に対して、私は合う度にどんどん夢中になっている気がします。
そして、殿下も私と同じ気持ちでいてくれているのだと、私は強く感じられました。私を見る目はとても情熱的で、熱を帯びています。そんな殿下の目を見るだけで、私の身体に熱が宿るのを感じてしまうのです。
そんな殿下との日々を過ごして、数か月が経ちました。
そして、あの日がやってきたのです。
そう、私達が初めて出会ったイベント・・・王宮主催のダンスパーティーです。
・・・
「クリスティーナ嬢。1時間後に、待ち合わせをしないか?」
「え?待ち合わせですか?」
今は、王城内にある、大変広いダンスパーティーの会場の中です。
その会場で私達は様々な方とお話をしていました。「お二人は本当に絵に描いたような美男美女ですわね」や「理想的なお二人ですね」と言われるたびに、私は誇らしい気持ちでした。
ご立派な殿下の隣に並び立っていることに幸福と誇りを感じています。
そんな私に、殿下は耳打ちをされたのです。その内容が「待ち合わせ」です。
どういう意味でしょうか?
「俺達が初めて会った場所で、二人だけでダンスを踊ろう?」
「・・・!」
私は耳元で甘く囁く殿下のその言葉にメロメロになってしまいました。
☆
ああ、久しぶりにここに来たな。
俺は今、15年前に立っていた運命の場所にいる。
そう、あのカーテンの裏だ。さすがに大人になってから入ると、このカーテンの裏は狭い。
なんとか人を巻いて、このカーテンの裏に忍び込んだが、誰かに見られていたんじゃないかとハラハラしてしまうな。
15年前はあんなに簡単に入れたここも、今では物理的にも状況的にもなかなか入りづらい。本当に15年という時の流れで色々変わったんだな。あんなに人見知りの激しく身体の小さかった俺が、今では随分と成長したと感じる。
彼女のおかげだな。
外の冷気を遮る重厚なカーテンの内側はひんやりと冷たい。そんな場所でそんなことを考えていると、カーテンが揺れた。
・・・俺の最愛の人の登場だ。
「殿下・・・」
「クリスティーナ嬢、よく来てくれた・・・」
彼女が俺の近くまで歩み寄ってくれた。
俺の初恋の人の姿は15年前とは随分違う。髪の色は勿論だが、身体つきもすごく女性らしいものになっているし、顔もとても美人だ。
そして、その内面は、その姿以上に、昔以上に魅力的だ。
俺はこんな素晴らしい女性を婚約者に迎えることができて、本当に幸せ者だ。
「ここで・・・僕とダンスを踊ってみない?」
俺は、そう言ってみた。
俺のその言葉に、彼女はハッとした顔をした後、笑顔でこう言ったんだ。
「こんなカーテンの裏で?あなた面白いわね!いいわよ!」
俺達は微笑みながら、狭いカーテンの裏で、拙いダンスを踊った。
「クリスティーナ嬢・・・いや、クリスティーナ。聞いて欲しい」
「はい・・・」
踊り終わった後、俺はクリスティーナにそう話かけた。
俺を見上げる彼女の顔は、窓から照らされる月明りによって、とても幻想的な美しさだ。
そんな彼女に向かって俺はこう、口にした。
「クリスティーナ・・・俺の妻になってほしい」
「はい・・・」
彼女の目からは大きな雫がこぼれて、頬を伝っていた。キラキラと光るその雫は、どんな宝石よりも美しく見えた。
そして、彼女の瞳は・・・ゆっくりと閉じられた。
「クリスティーナ、愛している」
「私もです。で・・・ん」
俺は、彼女の唇を塞いだ。もう、我慢ができなかったからだ。
月明かりの降り注ぐカーテンの裏で、俺達は互いの唇を合わせて、想いを確かめ合ったのだった。
完
私達は互いの15年を埋めるように、語り合い、様々な場所へ一緒に行きました。
本当に楽しい時間でした。殿下と一緒だとあっという間に時が過ぎてしまいます。毎回、殿下とお会いする時には胸が高鳴り、殿下とお別れする時には切なくなってしまいます。
お優しく、魅力で溢れる殿下に対して、私は合う度にどんどん夢中になっている気がします。
そして、殿下も私と同じ気持ちでいてくれているのだと、私は強く感じられました。私を見る目はとても情熱的で、熱を帯びています。そんな殿下の目を見るだけで、私の身体に熱が宿るのを感じてしまうのです。
そんな殿下との日々を過ごして、数か月が経ちました。
そして、あの日がやってきたのです。
そう、私達が初めて出会ったイベント・・・王宮主催のダンスパーティーです。
・・・
「クリスティーナ嬢。1時間後に、待ち合わせをしないか?」
「え?待ち合わせですか?」
今は、王城内にある、大変広いダンスパーティーの会場の中です。
その会場で私達は様々な方とお話をしていました。「お二人は本当に絵に描いたような美男美女ですわね」や「理想的なお二人ですね」と言われるたびに、私は誇らしい気持ちでした。
ご立派な殿下の隣に並び立っていることに幸福と誇りを感じています。
そんな私に、殿下は耳打ちをされたのです。その内容が「待ち合わせ」です。
どういう意味でしょうか?
「俺達が初めて会った場所で、二人だけでダンスを踊ろう?」
「・・・!」
私は耳元で甘く囁く殿下のその言葉にメロメロになってしまいました。
☆
ああ、久しぶりにここに来たな。
俺は今、15年前に立っていた運命の場所にいる。
そう、あのカーテンの裏だ。さすがに大人になってから入ると、このカーテンの裏は狭い。
なんとか人を巻いて、このカーテンの裏に忍び込んだが、誰かに見られていたんじゃないかとハラハラしてしまうな。
15年前はあんなに簡単に入れたここも、今では物理的にも状況的にもなかなか入りづらい。本当に15年という時の流れで色々変わったんだな。あんなに人見知りの激しく身体の小さかった俺が、今では随分と成長したと感じる。
彼女のおかげだな。
外の冷気を遮る重厚なカーテンの内側はひんやりと冷たい。そんな場所でそんなことを考えていると、カーテンが揺れた。
・・・俺の最愛の人の登場だ。
「殿下・・・」
「クリスティーナ嬢、よく来てくれた・・・」
彼女が俺の近くまで歩み寄ってくれた。
俺の初恋の人の姿は15年前とは随分違う。髪の色は勿論だが、身体つきもすごく女性らしいものになっているし、顔もとても美人だ。
そして、その内面は、その姿以上に、昔以上に魅力的だ。
俺はこんな素晴らしい女性を婚約者に迎えることができて、本当に幸せ者だ。
「ここで・・・僕とダンスを踊ってみない?」
俺は、そう言ってみた。
俺のその言葉に、彼女はハッとした顔をした後、笑顔でこう言ったんだ。
「こんなカーテンの裏で?あなた面白いわね!いいわよ!」
俺達は微笑みながら、狭いカーテンの裏で、拙いダンスを踊った。
「クリスティーナ嬢・・・いや、クリスティーナ。聞いて欲しい」
「はい・・・」
踊り終わった後、俺はクリスティーナにそう話かけた。
俺を見上げる彼女の顔は、窓から照らされる月明りによって、とても幻想的な美しさだ。
そんな彼女に向かって俺はこう、口にした。
「クリスティーナ・・・俺の妻になってほしい」
「はい・・・」
彼女の目からは大きな雫がこぼれて、頬を伝っていた。キラキラと光るその雫は、どんな宝石よりも美しく見えた。
そして、彼女の瞳は・・・ゆっくりと閉じられた。
「クリスティーナ、愛している」
「私もです。で・・・ん」
俺は、彼女の唇を塞いだ。もう、我慢ができなかったからだ。
月明かりの降り注ぐカーテンの裏で、俺達は互いの唇を合わせて、想いを確かめ合ったのだった。
完
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まさかの展開で面白かったです!
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k9
展開とラストが最高でしたwwww
感想ありがとうございます!
お褒めの言葉をいただけて嬉しいです♪