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しおりを挟む「すごい…」
眼前には運河が広がっていた。水面の続く彼方には遠く海が広がっている。水面に朝日が反射してキラキラと輝いている。
窓が開いていたなら、潮の匂いもしただろう。
水平線の向こうから登ってきた太陽が、晴れ渡った空にたなびく薄雲をほの赤く染めながら街並みを照らしている。
少し視線を戻せば、水面の上に石畳の橋が等間隔に立ち並び、橋脚の間を荷物を載せた船が行き交っている。
橋で繋がった先には独立した島がある。
レンガ造りの街並みとは異なり、威圧されるくらい高い建物が建ち並んでいるのが車窓から見える。
私が乗った馬車はその島へと向かっているようだった。
本当に…、
「私の居た世界じゃないんだ…」
ぽつりと独り言ちる。
向かいの銀髪の男にも聞こえていたと思う。けれど男は一瞥を投げるだけで何も言わなかった。
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