追放、ざまぁ、外れスキル!それがデスゲームへの参加チケットだった。~僕が一番外れスキルをうまく使えるんだ!

猫出R

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第一章 僕の外れスキルは『うし改』 ~タウラス公国のアルデバランの場合

第09話 代償と崩壊(ざまぁ回その壱)

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 あれから一年経った。正確には父さんと母さんと姉さん、プレイオネにプレア、そして亡骸を見つけられなかったエルナト。僕の家族が殺されてから丁度一年。
 クレタ村に行ったのは、塩などを拝借しに行った最初の一度だけ。もしまた行って、あいつ等が楽しそうに笑いながら生活していたら、多分僕はどうにかなってしまうから。

 塩や、他に何か必要な物が有った時には他の村や町に忍び込み拝借している。でもその代わりに森の中の魔物の素材を置いてきているので向うは損をしないだろ。
 それに何度も同じ村や町だと不味いので毎回変えているし。

 話が逸れたが、そう今日は『祝福の儀』の日なのだ。去年は『祝福の儀』のあったその日にあいつ等はクレタ村に来たけど、今年も同じくこの日に来るとは限らない。もしかしたら気が変わって来ないかもしれないが――。

 そして僕は今、森の中の丘の上から村の広場を見ているところだ。暫くすると村が騒がしくなってきた――居たっ! 父さん達を殺したあいつ等だ!

「『クイックタウロス』に変化!」 

 僕は丘を駆け下り、急いでクレタ村に向かった。

▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

~クレタ村広場 領主タイゲタ視点side

 辺鄙な村に到着した俺は馬を預け、早速この村の広場に村人達を集めた。

「なんだこの村は? 良い女が全然いないな、そう思わないか? 騎士団長のアインよ」

「ガッハッハ、それは去年タイゲタ様がお遊びになりすぎたからでは?」

「そうだったか? 色んな町や村を周ったから覚えてないなぁ、だが騎士副団長のアマテルの方が俺より壊した数が多いだろ?」

「ひどいですタイゲタ様。私は女性には優しいんですよ」

 金色の鎧を装備し大剣を持つ騎士団長。二つ名は『力とカリスマ』のアイン。
 銀色の鎧を装備し長槍を持つ騎士副団長。二つ名は『速さと美』のアマテル。
二人ともわが領地・・・・で最強の騎士だ。そう、父が死に、俺は正式にこのヒアデス領の領主となったのだ。

「それよりも税の事です、この村はきちんと収めておりませんよ」

「ああそうだったなアマテル。そのために広場に集めたんだったな、おい村長! 今の聞いていたな、どういう事だ!」

「い、いえ、足りない分は村の娘達を差し出すことで帳消しにして下さると……」

「ん? そうだったかな? おい! 誰かその話を聞いておるか?」

 俺は部下共を観たが誰も首を縦に振らない。

「誰も知らんようだが」

「そ、そんな、村の娘達はタイゲタ様の部下の騎士様達に連れて行かれて」

「だから、誰も知らんと言っておるだろ、それとも俺や俺の部下共が嘘を付いているとでも?」

「め、滅相も御座いません、どうかお許しを」

「ふむ、では不足分を払ってもらおうか。勿論利息を付けてな」

「な!? 無理でございます、見て下さい、この村の様子を! 若い者は殆どおらず子供と老人ばかりです、それに去年『魔獣使い』の一家が居なくなってからは狩りも上手く行かず、食べるものもクズ野菜を水で薄めたスープばかりで……」

「ん? 『魔獣使い』? 思い出したぞ! そうかこの村か、ほう、では村長よ。こうなった原因はその『魔獣使い』を処刑した俺のせいだとでも言うのかな?」

「い、いえ、そんな事は、お許しください――」

 グサッ

 俺の隣に居た騎士団長のアインが持って居た大剣で村長の胸を刺した。

「ぐはっ」

「『魔獣使い』共から領地を救った俺をせめると言う事はお前奴等の仲間だな」

 俺の言葉を最後まで聞く前に村長は息絶えた。

「よし、そこのお前! 今日からお前がこの村の村長だ! よかったな大出世だ」

 俺は適当な男を指さしてそう言った。

「え? 無理でございます、俺、私などそのような経験も無いですし」

「なーに、何事も経験だ、そういう事で早速村中から金目の物を集めて来い」

「え? そ、そんなぁ」

「『ジュニアタウロス』! ホントに領主なの? 盗賊の間違いじゃないの?」

「誰だ!? 今、俺にふざけた事を言った奴は?」

 俺はそう言い、声がした方を観た。そこには子供より小さな子牛が立っていた。
 ……体の大きさに合っていない槍を持った子牛が。こいつが喋ったのか? 何だこいつは? いつからそこに居たんだ? 何で誰も気づかなかった?

「タイゲタ様、お下がりください。魔物? 見た目はミノタウロスの子供か? それにしても人の言葉をしゃべる魔物とは珍らしいな、槍を持っているし、この村の警備にでも雇ったのか? ガッハッハ」

「い、いえ このような魔物は知りません」

 先程の新しく村長になった男が答えた。

「タイゲタ様いかがいたしますか? あれは多分ミノタウロスの子供ではなく亜種だと思います。ペットとして飼いますか?」

「ん? ミノタウロスの亜種? そうだなぁ、見世物として面白いかもしれんな」

「だそうです、皆さん、あの魔物を取らえてください! 魔物ですから多少傷付けた所で死にはしませんので」

 アマテルがそう言うと奴直属の六人の騎士が、その魔物を槍で構え取り囲む。
 
「やれ!」

 俺が合図を出すと部下の騎士共は槍を突き出し一斉にミノタウロスに突撃した。

「うーん、やっぱり全然効果が無いなぁ、『ガードタウロス』!」

 ミノタウロスが突然叫んだ、すると奴の身体が赤黒く光り出し騎士達より大きく体格のよいミノタウロスが現れた。しかも刺したと思われていたはずの部下共の槍は、そのミノタウロスには刺さっておらず、ましてや傷一つ付いていなかった。

「この一瞬で成長、いえ進化した? タイゲタ様、嫌な予感がいたします、申し訳ございません、先ほどの提案は撤回させてください、捕獲ではなく処分した方がいいです」

「そうか……お前が言うなら、分かった、殺してい――」

「『マジックタウロス』! 『ライトホーンファイヤー』! 『レフトホーンアイス』!」

 魔物がそう叫びその場でくるりと回った。すると取り囲んでいた俺の部下共が、ある者は火だるまに、またある者は凍り漬けになり倒れて砕けた。

「なっ? 何が起きた!?」

 そこにはさっきより小柄で赤と青の色違いの太い角を生やした、別の紫色の牛の魔物が居た。

「また進化、いえこれは変化ですか……一体この魔物はなんなのですか! 私の部下が全員やられるとは……、はっ!?」

 その魔物は次にアマテルに向かって角から魔法を放った、アマテルはそれをかわしたり槍でいなしたりまるでダンスを踊るようにして凌いだ。
 流石は『速さと美』の男。

「アイン隊長ここは私にお任せ下さい。最初は面を食らいましたが、角から魔法を放つことを分かっていればどうとでも対応できますから」

「うむ承知した、残っている儂の部下共はタイゲタ様をお守りしろ」

「部下の仇は取らせてもらいます、いきますよ、『百裂粉塵槍ひゃくれつふんじんそう』ひゃぁぁぁはぁぁぁ!」


「『ミニプチタウロス』」

 アマテルの攻撃で舞い上がった砂埃が晴れると、そこには何もいなかった。

「くっ!? いやしかし、私の攻撃は途中から空を切ったが最初の攻撃は当たっているはずだ! どこに逃げた?」

「アマテル! 下だ! 地面を観ろ」

 アインの言葉を聞き俺も視線を下に向ける。そこには先程の子牛よりもとても小さな血を流している牛の魔物が居た。

「ん? 力でも失ったのか? まあいい、よし、止めだ! 『百裂粉塵槍ひゃくれつふんじんそう』!」

 なんだ!? 本当に力を失ったから小さくなったのか? もしや奇術や幻術の類か? こいつの能力なのか? 考えがまとまらない内にまた魔物の声が聞えた。

「『クイックタウロス』」

「くっ、また居ない!? どこだ? 今度は上か?」

「アマテル! 後ろだ! お前のすぐ後ろにいる!」

 アインの言う通りアマテルの後ろには牛の魔物が居た。血を流しているがまっ黒で手足の異常に長い牛の魔物が……。

「なっ!? ブ、ブラックミノタウロスだと!」

 アマテルが振り向き、尋常ならざる驚き方をした。

「アイン、ブラックミノタウロスとは何だ?」

「はい、ダンジョンにしか生存は確認されていませんが、もし出会ってしまったら上級冒険者パーティーでも倒すことも逃げる事も叶わない、別名『冒険者殺し』
と呼ばれている魔物です」

「『冒険者殺し』だと!? なぜそんな魔物がこんな辺鄙な村に?」

「すごいね、思ったよりも速くて少し攻撃が当たっちゃったよ! もしかして銀色の騎士のお兄さん、エルフより強いんじゃないの?」

 そう言うとまたアマテルの目の前から消えた。

「『リカバータウロス』」

 そう聞こえたのと同時にアマテルの胸から二本の細長い角が生えてきた……。

 グサッ

「なっ!?」

 俺は一瞬何が起こったか分からなかった。アマテルの胸から生えていた角が青白く輝き始め、まるで生き物の様にうごめきだした。するとアマテルがどんどん干からびて行き、最後には人の皮と角が突き刺さった銀色の鎧だけになった。
 二本の角が無くなるとその人の皮と鎧は地面に落下した。

 その真っ白な牛の魔物の顔を観ると――あでやかに笑っていた……。
 これが復讐の始まりだったとは、今の俺はまだ気づいて居なかった――。
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