追放、ざまぁ、外れスキル!それがデスゲームへの参加チケットだった。~僕が一番外れスキルをうまく使えるんだ!

猫出R

文字の大きさ
38 / 55
第三章 私の外れスキルは『せんい』 ~アリエス共和国のヘレの場合

第02話 悪役令嬢はぬいぐるみがお好き

しおりを挟む
「『ソーイング戦意』! ですわ」

 そう叫ぶと私の両手に薄紫色に光る糸の付いた針が浮かび上がる。

「昨日は始めてだったし五体の『ぬいぐるみ』しか作れなかったから仕方がないけど、スキルレベルは上がらなかったわ、今日こそは!」

 私は右の針と糸を縦糸に、左の針と糸を横糸に交差させて生地を作っていく。
 空中で物凄い速さで糸の付いた二本の針が動き回り、三分ほどで何かの動物の殻が出来あがった。

「出来たわ! アリア、背中の開いている部分から昨日買った綿をどんどん詰めていってちょうだい」

「かしこまりました。ぬいぐるみのパーツごとに作っていく昨日のやり方より、こちらの方が効率良さそうですね」

 綿を入れ終り開いている部分を縫うと、一体の色の付いていないぬいぐるみが出来上がる。

「出来ましたね、ところでお嬢様、このぬいぐるみは何ですか? 豚さん――」

「――何ですかって、勿論アリア、貴方に決まっているでしょ」

「えっ?」「えっ?」

…………

「そうそう、あと昨日の夜にこのぬいぐるみを抱いていて面白い発見をしたのよ」

「面白い発見でございますか?」

「そうよ、見ていて」

 私はそう言い、一体のぬいぐるみを抱きかかえ、お腹に手を当てて魔力を流した。するとぬいぐるみの手足や尻尾がパタパタと動き出した。

「まあ!? お嬢様。すごいです、きっと高値で売れますよ」

「売れるかしら? パタパタするだけだし、流した魔力が切れると動かなくなるのよ」

「きっと売れますよ、メイドの感です。ふふっ」

 それから更に四体ほど作ったその時。

≪ピコン! 『せんい』スキルがレベル2になりました。『マリオネット戦意』を覚えました≫

「えっ!? やったわ! アリア! スキルレベルが上がって、しかも新しくスキル技を覚えたわ!」

「おめでとうございます、それでどの様な技を?」

「ちょっと待っていて、調べてみるわね」

 私は『マリオネット戦意』とは? と頭の中で問いかけてみた。

―――――――――――――
『マリオネット戦意』:戦意喪失しないかぎり、両手指から出した魔力で作った糸に針を刺して繋げたモノへ、魔力に乗せた命令を流し込む事によって操作できる。但し重量には制限がある。
―――――――――――――
 と頭の中に解が聞えた。

「あら? 操れるって事かしら? じゃあ試しにさっき作ったぬいぐるみを。『マリオネット戦意』ですわ!」

 一体のぬいぐるみに各指から出た十本の魔力の針と糸がシュルルルっと伸びて行き、ぬいぐるみの頭や手足に突き刺さる。

「んっ、これでいいのかしら? てい、むぅ、それ、やぁ」

 私は各糸に『この糸に繋がっている所を上げろ』、『この糸に繋がっている所を振れ』など指示を魔力に乗せ伝達させる。するとぬいぐるみは指示通りに『右手を上げたり』、『尻尾を振ったり』した。なるほどちょっと難しいけど、一本の糸に付き一命令。その命令が終わるまで次の命令はその糸には伝達出来ないようだ。

「お嬢様、すごいです!」

「次は二体同時に挑戦してみるわ」

 右手と左手でそれぞれ一体ずつ操作してみる。一体に十本刺すより効率はよ良いようだ。なぜなら一体に対してそんなに一遍に命令する事がないから。逆に十体同時に操作してみたが今度は私の思考が追いつかない、十体も一度に見ていられないし指示の仕方が面倒になる。色々試してみたが二体同時が一番良さそう、それ以上だとただ順番に動かしているだけで意味が無いという結論に達した。

「じゃあ、アリア、私の操ったぬいぐるみ二体とちょっと戦ってみてくれるかしら? 勿論アリアはスキルとか使っちゃだめよ」

「かしこまりました、では最初は軽めにいきますね」

 一時間ほど格闘ごっこをしていたら、ふと、アリアが何気ない質問をしてきた。

「お嬢様、ちなみにその能力は生き物にも有効なのですか?」

「生き物? うーんどうかしら、意識の無い眠っている状態とかならいけそうな気がするけど、でもスキルで作ったとは言え、針を刺すのだからちょっと試せないわね」

「お嬢様、私なら大丈夫ですが」

「ダメよ! ダメダメ、何を言っているの! もし何かあったら……。とにかくダメよ」

「申し訳ございません、出すぎた真似を。ただ気が変わったらいつでもおっしゃって下さい」

「もう、この話はおしまい。それにしても随分操作にも慣れてきたわ」

≪ピコン! 『せんい』スキルがレベル3になりました。『水と火属性の繊維』を覚えました≫

「あら!? もう? やったわ! アリア! またスキルレベルが上がって、また新しくスキル技を覚えたわ!」

「流石です。お嬢様」

―――――――――――――
『水、火属性の繊維』:水または火属性を含んだ魔力で作った繊維を出す事が出来る。
―――――――――――――
 と更に詳細を確認すると頭の中に流れて来た。

「どうやら新しい能力は、水か火属性を含んだ繊維を出せるようね、試してみるわ、『ソーイング戦意』、それから『水属性』ですわ!」

 すると私の手から水色に輝く糸が付いた針が現れた。そして先ほどと同じくぬいぐるみの殻を作って、アリアに綿を入れて貰った。水色の狐のぬいぐるみの完成ですわ。

「アリア、貴方の『火炎玉』でこの水色のぬいぐるみを攻撃してみてちょうだい」

 アリアのだす『火炎玉』とは正式名は『狐火』と言い、狐獣人なら誰でも持って居る固有スキルで火の玉を空中に産みだし、それを操作して攻撃できるスキル。上級者になればなるほど、数も多く熱量が高い火の玉を生み出し操る事ができると書物に書いてあった。

「かしこまりました、威力は弱めにしますが、危ないのでお嬢様は離れていて下さい、いきます!」

 そう言うとアリアの前にこぶし大のオレンジ色の火の玉が一つ現れた。アリアが指をクイッとすると火の玉はぬいぐるみに向かって飛んで行った。

 火の玉が当たったぬいぐるみは壁まで吹っ飛ばされたが燃える事は無かった。

「お嬢様の糸の水属性の方が私の『火炎玉』の火属性を上回っていたようですね」

「そうみたいね、火属性の繊維も試したいけど、アリアは水属性の攻撃手段持って居ないものね」

 その後、私は更にスキルレベルを上げる為に、水属性の繊維で作った水色のぬいぐるみと、火属性の繊維で作った赤色のぬいぐるみを作ったり、それを操ったりした。

▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 それから数日経ったある日、私は外れスキルを授けられた『祝福の儀』以降、無視され続けている、周囲にはゴーレムマスターと呼ばれている父のアタマス・ボイオティアに呼び出されていた。

~ボイオティア家の屋敷 当主アタマス・ボイオティアの書斎

「ヘレ、分家の者から聞いたんだが、『ゴーレム思考回路研究会』から逃げ出したらしいな、いやそもそも学院自体、無断欠席していると聞いたが」

 逃げ出した? そう言う風に伝わっているのか。あの男のやりそうなことだ。

「お父様、私は別に逃げ出した訳ではありません、役立たずの外れスキルだと言われ追い出されたのです」

「それで学院にも行っていないと言う訳か。ふん、どちらにしろ分家の者に恥をかかされた事には違いは無い。それで? これからどうするつもりだ?」

「学院を辞めて、自分の持って居るジョブやスキルの研究をしようかと」

「お前のは、兄や姉と違って市井の者共が持って居るようなジョブとスキルだったな。確か『裁縫士』と言う『下級職』に『繊維・・』とか言う、名家の人間には相応しくないスキルだったな」

「お父様、『繊維・・』ではなく『せんい・・・』です。それにお父様がお召しになっている服はその市井の『裁縫士』が作った物では?」

「何だと貴様!?……ふん、まあよい、一応学院の方には体調不良で休学と伝えておく。お前には『魔法国家キャンサー』の貴族の者との結婚という大事な役目があるからな、それまで部屋で大人しくしておれ」

「……分かりました」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした

暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。 役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。 だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。 倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。 やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。 一方、病の裏で糸を引いていたのは………。 “無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。

スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。

夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。 しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた! ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。 噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。 一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。 これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!

【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。 ※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

役立たず聖女見習い、追放されたので森でマイホームとスローライフします ~召喚できるのは非生物だけ?いいえ、全部最強でした~

しおしお
ファンタジー
聖女見習いとして教会に仕えていた少女は、 「役立たず」と嘲笑され、ある日突然、追放された。 理由は単純。 彼女が召喚できるのは――タンスやぬいぐるみなどの非生物だけだったから。 森へ放り出され、夜を前に途方に暮れる中、 彼女は必死に召喚を行う。 呼び出されたのは、一体の熊のぬいぐるみ。 だがその瞬間、彼女のスキルは覚醒する。 【付喪神】――非生物に魂を宿らせる能力。 喋らないが最強の熊、 空を飛び無限引き出し爆撃を行うタンス、 敬語で語る伝説級聖剣、 そして四本足で歩き、すべてを自動化する“マイホーム”。 彼女自身は戦わない。 努力もしない。 頑張らない。 ただ「止まる場所が欲しかった」だけなのに、 気づけば魔物の軍勢は消え、 王城と大聖堂は跡形もなく吹き飛び、 ――しかし人々は、なぜか生きていた。 英雄になることを拒み、 責任を背負うこともせず、 彼女は再び森へ帰る。 自動調理、自動防衛、完璧な保存環境。 便利すぎる家と、喋らない仲間たちに囲まれた、 頑張らないスローライフが、今日も続いていく。 これは、 「世界を救ってしまったのに、何もしない」 追放聖女の物語。 -

ざまぁ代行いたします ―追放聖女の復讐録―

橘 あやめ
ファンタジー
15年間王国に尽くした聖女が、王太子の謀略によって「力を偽っていた」と断罪され、国を追放された。 海を渡った先の異国で、イレーネ・ヴァルクロアが始めたのは輸入雑貨店「月影亭」。 そして、その裏に密かに掲げた看板が、【復讐代行業】 「ご安心ください。後悔するのはあちら側ですわ」 謎の美少年ティオを相棒に、今日も誰かの理不尽な相手へ、元聖女が鉄槌を下す。 ※短編連作です。第一章完結。第二章製作中。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

処理中です...