嫁が浮気してたので俺は姿を消そうと思う

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

文字の大きさ
15 / 29

第15話:逃亡で得たものと失ったもの

しおりを挟む
 逃亡が妻にバレてから電話がなり続けている。日が変わってうちの実家からも電話がなる様になってきた。

 妻は俺の予想より早く俺の実家に電話したらしい。嫁の実家からも電話がきてる。嫁実家にも俺の逃亡を伝えたか。

 ここから分かることは、嫁はなりふり構わず俺を探そうとしているということ。

 逃亡から一夜明けて、俺が得たものと失ったものを確認しておこうと思う。

 まずは得たもの。それは自由! 朝は好きな時間に起きていい。会社も1ヶ月前に辞めていたけど、会社に行ってる偽装をしてたから朝は決まった時間に起きないといけなかった。

 食事は好きなものを食べられる。ネカフェは出入り自由なのでスーパーに行って好きなものを買ってきて食べてる。ネカフェも食事を出してるけど、割高だ。朝はパンが無料なのでそれは食べる。スーパーの唐揚げとビールとか最高だ。福岡は刺身がうまい。安いしうまい。福岡に来て正解だったかもしれない。

 このところ妻の不倫について悩み続けていたので、それから開放された気がする。まだ手放しに完全に開放されたとは思わないけど、少し気が楽になった気がする。

 失ったものは……妻。そして、子。寂しい気持ちが拭えない。ただ、俺が好きだった妻はもういない。そもそも、そんな人物はいなかったのかもしれない。俺の勝手な思い込みだったのかもしれないのだ。

 子どもも……いや、あの子は俺の子ではなかった。辛い。辛すぎる。あんなにかわいがっていたのに……。あの子は俺の子じゃなかった。妻は俺の姿を見てどう考えていたんだろう……。子どもをかわいがる俺の姿を見てほくそ笑んでいたのか? 俺の子ではない子どものための生活費が目的だったの? 彼女はそんなことをする人だったのか? 今ではもうなにも分からない。なにを信じていいのか分からない。

 仕事も失ったし、友だちも失った。両親とももう会えない。妻も子どもも……。自分の未来を失ったと思ってる。俺を形作る骨組みが壊れた。そして、それは永遠に永遠に戻らない。

 どこでこうなってしまったのか。俺の人生はなんだったのか。俺みたいな人生がダメになった人はどうしているんだろう……。

 やっぱり、自殺なのか……。

 まだ、妻が俺の逃亡に気づいて2日。実際には俺が逃亡してから5日。やっぱり俺の心は満足してない。満足できなかった。

 ここまでで俺は怒りがわいてきた。今になって初めて怒りがわいてきた。

 なんなんだよ、妻の不倫!

 なんなんだよ、托卵。俺の子じゃないじゃないか!

 なんなんだよ、店長。俺の妻とよろしくやって、他のヤツともよろしくやって、その上、自分の妻ともよろしくやって!

 俺は一応準備していたものをカバンから取り出してみた。大きめの封筒。これは「爆弾」。俺の準備した復讐のための爆弾なのだ。

 こいつを投下するにはひと手間かけないといけない。俺はネットカフェを一旦出ることにした。今日は、広島までいく。お好み焼きを食べる。これまで広島のお好み焼きを食べたことがなかったし。お好み焼きがてら、爆弾を投下しに行ってくる。

 広島が気に入ったら福岡には帰ってこない。だから、俺の荷物は全部持っていく。そうはいっても、俺の荷物はボストンバッグ1個分だけ。

 スーツは捨てた。妻がピカピカに磨いてくれた靴も捨てた。キャスターが付いたカバンも捨てた。

 結局、着替えは下着だけでシャツとかは全く持ってきてない。全部リサイクルショップで買った。シャツ一着500円とかあったのだ。シャツは3枚、ズボンは2本、下着は5枚。スマホ1台、モバイルバッテリーと充電ケーブル。これが俺の全財産。

 これだけを持っての移動だから身軽なことこの上ない。広島に行って、爆弾を投下したら数日観光して回って、その後のことはその後考える。

 逃亡までは緻密に計画したのに、ここ数日の行動はまったくもってめちゃくちゃだ。俺自身が自分の行動を全く理解できない。

 鹿児島には住んでないし、福岡にいるし。予定にない広島に行くし。爆弾も使うことにしたし。

 なんだかワクワクしてきた。ネカフェのブースで1人ニヤニヤしてしまう。声を出して笑ったら周囲に迷惑になるのだろう。でも、今は大きな声で笑いたい気分。広いところを全力で走りたい気分。

 どっか広いとこに行ってみるか。それも自由。俺が逃亡で手に入れたものかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

処理中です...