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天は二物を与えたもうした
しおりを挟むあたし、一条 澪亜(イチジョウ レイア)は世間一般に言う"オオカミ少女"。
別に嘘がつきたいわけじゃないのに、気づいたら自分の理想を口走って後々ひどく後悔。なーんて経験、何度繰り返してきたことか。
何度も失敗して、それなのにまたそれを繰り返す。多分こういうのを学習能力がないっていうんだと思う。
中学時代色々な悩みを抱えすぎて道から外れ、"厨二病"という世にも恐ろしい道へと脱線してしまったあたしは、知り合いとの遭遇を避けるため、地元を離れ早独り立ち。
大した夢や目標があるわけでもなくて、とりあえずどんな進路にも対応できるように普通科を希望して、中の下くらいの子たちが集まるこの高校に入学した。
_そう、ここから人生再スタートするのよ澪亜…あなたならできる! 幸福と笑顔に満ちたJKライフを思いっきり楽しんでやろうじゃないの!
「…そう誓ったはずなのに…(自分自身にだけど)」
入学式早々、寝坊して電車に間に合わず1本遅らせたせいで遅刻ギリギリ。挙句の果てには知り合い1人もいないこの状況。
中の下の子たちの集まりだけあって、皆個性的で話しかけずらいこばかり。田舎出身の澪亜のめいいっぱいのオシャレも、この場じゃ地味くさくみえてしまう。
このままじゃ地獄のぼっちライフのはじまり……いやいやいや無理そんなの!
"あ~もう、誰かいないのぉ~。誰でもいいからさァァ"
'誰でも'とはゆっても元々社交性に欠け、内気な澪亜にいまさら他のグループの話の輪に入る勇気なんてなかった。
冷や汗を額に滲ませながら辺りを見回していると、あることに気がついた。
…あ、前の席の人、もうチャイムなるのにまだきてない…。
にやり。澪亜は口角が上がるのを感じた。
"これは…焦らずともあたしの目の前の席の子も来ていないんだからこの子と仲良くなればいいじゃないあたし! 自分ついてる! 前の子が男だろうが女の子だろうがオタクだろうがガリ勉だろうがあたしは一生この子についていくぞこびりつくぞこの子にあわせるぞ!!"
心の中で自分にそう誓っていると、チャイムと同時に後ろの扉が開いた。
他の生徒が席につき始める中に混じって、まるで初めからいたかのようにあたしの前の席のやつは、突如に現れた。
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