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プロローグ
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ドンッ!
「今月も、働けども安月給…、貯金なんて、増えやしない!」
土曜日の朝から、家計簿と貯金通帳を睨みつけ、芽依は拳でテーブルを叩きつけた。
派遣で働きはじめて、早5年。当時は恋人もいたため、結婚するならこのままでいいかと、続けてきた事務仕事だった。
しかし、現在、恋人ともとっくにお別れし、安月給でギリギリの1人暮らしだ。
人生ってば、なんて非情なものなのか…。
最近の楽しみなんて、手作りのアクセサリーをイベントで売ってみたり、コソッと書いた物語に、友達の和葉に絵を付けてもらって、夏とか冬とかのイベントで売ってみたり…あれ、私ってば活動的なオタクだったわ…。
芽依は、1Kの小さな部屋で、1人頭を抱えた。
先月とうとう迎えてしまった三十路という年齢に、脳内では老後という言葉もチラつくようになった。
「そうだ!転職しよう!」
このまま、きっと独身様まっしぐらだろう。ならば、正規雇用を狙おう。30歳という年齢は、転職がまだ可能なはずだ!
時計を見れば、まだ朝の8:00をまわったところだ。
思い立ったら即行動!
まずは、ハローワークへ行ってみようと、芽依は立ち上がった。
家からハローワークまでは、最寄りの駅から出ているバスで15分ほどかかる。駅の前には図書館があるため、転職関係の本を探しに、立ち寄ることにした。
昔からある図書館は、周りの発展からは取り残された感がある。しかし、その古さは趣きがあり、芽依は気に入っていた。
まずは、職業支援コーナーの棚で本を2冊選ぶ。そして、いつも長居する文芸書のコーナーへ向かった。
「まだ読んでない物語~、今日は日本の作家さんの気分~」
作家名順に並べられた本棚を眺め、背のタイトルを指でなぞって行く。
ふと、芽依の指が止まる。
1冊だけ、やけに古いものが混ざっていた。
書庫の本が、戻されないで迷子にでもなってるのかも…。これも何かの縁でしょ!
表紙には、小さな女の子の後姿が描かれていてるが、タイトルが擦れていて読めない。蔦の模様があしらわれた本の装丁からは、ファンタジー系の内容が想像され、芽依はこの本を借りることにした。
まだ、時間に余裕がある。図書館内の閲覧席に向かうと、利用者は誰もいない。
「おぉ~貸切で読書できちゃう~」
1番奥の席に座ると、芽依はそっと本を開いた。どんな物語に出会えるのかと、その文字を目で追おうしたが、そこに文字はなかった。
見開きにあったもの、それは魔法陣のように描かれた、芽吹く蔦の葉だった。
「綺麗~」
蔦の芽吹く姿が、あまりにも美しく感じられ、芽依はそっとその絵を指でなぞった。
リーン…
リーン…
リーン…
遠くで鈴の音が聞こえたと思ったら、芽依の意識はすっと遠退いて行った。
「今月も、働けども安月給…、貯金なんて、増えやしない!」
土曜日の朝から、家計簿と貯金通帳を睨みつけ、芽依は拳でテーブルを叩きつけた。
派遣で働きはじめて、早5年。当時は恋人もいたため、結婚するならこのままでいいかと、続けてきた事務仕事だった。
しかし、現在、恋人ともとっくにお別れし、安月給でギリギリの1人暮らしだ。
人生ってば、なんて非情なものなのか…。
最近の楽しみなんて、手作りのアクセサリーをイベントで売ってみたり、コソッと書いた物語に、友達の和葉に絵を付けてもらって、夏とか冬とかのイベントで売ってみたり…あれ、私ってば活動的なオタクだったわ…。
芽依は、1Kの小さな部屋で、1人頭を抱えた。
先月とうとう迎えてしまった三十路という年齢に、脳内では老後という言葉もチラつくようになった。
「そうだ!転職しよう!」
このまま、きっと独身様まっしぐらだろう。ならば、正規雇用を狙おう。30歳という年齢は、転職がまだ可能なはずだ!
時計を見れば、まだ朝の8:00をまわったところだ。
思い立ったら即行動!
まずは、ハローワークへ行ってみようと、芽依は立ち上がった。
家からハローワークまでは、最寄りの駅から出ているバスで15分ほどかかる。駅の前には図書館があるため、転職関係の本を探しに、立ち寄ることにした。
昔からある図書館は、周りの発展からは取り残された感がある。しかし、その古さは趣きがあり、芽依は気に入っていた。
まずは、職業支援コーナーの棚で本を2冊選ぶ。そして、いつも長居する文芸書のコーナーへ向かった。
「まだ読んでない物語~、今日は日本の作家さんの気分~」
作家名順に並べられた本棚を眺め、背のタイトルを指でなぞって行く。
ふと、芽依の指が止まる。
1冊だけ、やけに古いものが混ざっていた。
書庫の本が、戻されないで迷子にでもなってるのかも…。これも何かの縁でしょ!
表紙には、小さな女の子の後姿が描かれていてるが、タイトルが擦れていて読めない。蔦の模様があしらわれた本の装丁からは、ファンタジー系の内容が想像され、芽依はこの本を借りることにした。
まだ、時間に余裕がある。図書館内の閲覧席に向かうと、利用者は誰もいない。
「おぉ~貸切で読書できちゃう~」
1番奥の席に座ると、芽依はそっと本を開いた。どんな物語に出会えるのかと、その文字を目で追おうしたが、そこに文字はなかった。
見開きにあったもの、それは魔法陣のように描かれた、芽吹く蔦の葉だった。
「綺麗~」
蔦の芽吹く姿が、あまりにも美しく感じられ、芽依はそっとその絵を指でなぞった。
リーン…
リーン…
リーン…
遠くで鈴の音が聞こえたと思ったら、芽依の意識はすっと遠退いて行った。
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