2 / 6
わたし、迷子ですか…
しおりを挟む
リーン…
リーン…
遠くで、鈴の音が聞こえる。
頬を撫でる、優しく暖かい風。
花の香りに誘われるように、芽依はそっと目を開けた。
どうやら、花畑の中で寝ていたようだ。
「えぁ?!お?何ここ~?!」
さっきまで、図書館にいたよね?!本を読もうとしてて…、綺麗だな~って、本に描かれてた絵に触って…、鈴の音が聞こえて…あれ?寝ちゃったのか?これ、夢…?
そっと体を起こしてみるが、視線が思ったよりも低い。
芽依は、自身の体を見下ろしてみる。
「ほぉ~、白いワンピ!ふりふり…可愛い」
お花畑に白いフリルワンピースだなんて、ずいぶんメルヘンチックな夢を見ているものだ。
芽依は、せっかくなので、立ち上がってみる。
「??やっぱり、ちぃさい?」
視線はやっぱり低いし、目の前で広げてみた手も小さく、声も高いようだ。
胸元に手を置くと、そこには常に身に付けていたネックレスがあった。
「あ、よかった~」
初めて作ったレジンのアクセサリーは、ピアスとネックレスで1組の作品にした。
ピアスは、和葉にあげたんだよね。
ネックレスは、兎のシルエットフレームに宇宙をイメージして、濃紺にシルバーのラメを入れた。ピアスは、月のフレームの中に兎を入れて、ゴールドのラメを入れたんだ。
ネックレスを握ると、少し落ち着いた。
「ここは、どこなのよ…」
改めて周りを見てみると、ここは白い壁に囲われていた。学校の校庭が、5つは入りそうなほどに広く、一面の花畑の中央には、大きな木がある。その幹は、大人5人で囲んでも手が届かないかもしれないほどに、どっしりと太い。
あまりにも広いため、白い壁まで行くには、少し疲れそうだ。とりあえず芽依は、大きな木にぽてぽてと近づいた。裸足だったようで、草花の感触がくすぐったい。芽依の口からは、思わず「ふふ…」と、小さな笑いがこぼれた。
「綺麗~」
近づくと、木の幹には幾重にも蔦が巻き付いていた。
芽依は、そっと蔦を手で撫でてみる。木に触れた手から、心が温かくなっていく。
癒される~
芽依はへにゃりと笑って、木に頬ずりした。
それにしても、ここはどこなのか。なんで小さくなっているのか。カラフルな世界、リアルな感触や匂い…本当に夢なのか。まさか、今流行りの異世界トリップだったり…そんなことない!ないない~!
頭の中では、ぐるぐると不安と疑問が巡っていた。
しばらくそうしていると、急に強い風が吹き、ワンピースを捲っていった。芽依は空を確認しようと、顔を上げ、固まる。
「えぁ~?!」
空高くから、花畑の木に向かって、一体の大きな龍が降りて来ていたのだ。
その体は、宇宙の様に深い蒼色で、煌めく鱗と相まって、神秘的な美しさがあった。龍と言うよりは、ファンタジーに出てくる、ドラゴンと言ったほうがしっくりくる姿だ。
『我を癒すは、其方か』
龍が、しゃべったー!
芽依は、ポカンと口を開けた。
『ほぅ…其方の魂は、この世界の物ではないな』
蒼い龍は言うと、虹色の光に包まれた。芽依は突然の光に驚き、瞳を閉じ手で顔を覆った。
しゃべるし!光るし!なんだコレ!
光はすぐに治まり、芽依は指の隙間から、ちらりと覗き見る。そこに、先程の龍は居なかった。目の前に見えたのは、濃紺の長衣と、銀色の帯だった。
和服だ!
バッと顔を上げると、腰まである漆黒の髪の麗しいイケメンが、黄金の瞳で芽依を見つめていた。
和服のイケメンは、クイッと右の眉を上げた。
「其方、界を渡ったな」
咎めるような声の響きと、その言葉で、目を逸らしていた、異世界トリップなる非現実的な出来事に頭を殴られたように感じた。
私、怒られてるの?望んでここにいるワケじゃないのに!
「ここどこ~!あなた誰~?!龍は~?触りたかった~!」
芽依は支離滅裂に叫ぶと、抑えていた感情のままに泣きだした。
「お、おい!どうした?泣くな!娘!泣くでない!鱗か?!ほれ、すぐに龍体になるぞ!」
先程の冷たい声が嘘のように、男は狼狽えたると、一瞬の光でまた龍の姿になってみせる。
『ほれ、鱗に触りたいのであろう?触れてよいから、泣き止め!』
芽依はせっかくなので、ヒシッと、その体にへばり付いた。
蒼い龍は、やれやれと溜息をつき、自身のお腹の辺りにくっついてる者を見つめ、落ち着くまで待つのであった。
リーン…
遠くで、鈴の音が聞こえる。
頬を撫でる、優しく暖かい風。
花の香りに誘われるように、芽依はそっと目を開けた。
どうやら、花畑の中で寝ていたようだ。
「えぁ?!お?何ここ~?!」
さっきまで、図書館にいたよね?!本を読もうとしてて…、綺麗だな~って、本に描かれてた絵に触って…、鈴の音が聞こえて…あれ?寝ちゃったのか?これ、夢…?
そっと体を起こしてみるが、視線が思ったよりも低い。
芽依は、自身の体を見下ろしてみる。
「ほぉ~、白いワンピ!ふりふり…可愛い」
お花畑に白いフリルワンピースだなんて、ずいぶんメルヘンチックな夢を見ているものだ。
芽依は、せっかくなので、立ち上がってみる。
「??やっぱり、ちぃさい?」
視線はやっぱり低いし、目の前で広げてみた手も小さく、声も高いようだ。
胸元に手を置くと、そこには常に身に付けていたネックレスがあった。
「あ、よかった~」
初めて作ったレジンのアクセサリーは、ピアスとネックレスで1組の作品にした。
ピアスは、和葉にあげたんだよね。
ネックレスは、兎のシルエットフレームに宇宙をイメージして、濃紺にシルバーのラメを入れた。ピアスは、月のフレームの中に兎を入れて、ゴールドのラメを入れたんだ。
ネックレスを握ると、少し落ち着いた。
「ここは、どこなのよ…」
改めて周りを見てみると、ここは白い壁に囲われていた。学校の校庭が、5つは入りそうなほどに広く、一面の花畑の中央には、大きな木がある。その幹は、大人5人で囲んでも手が届かないかもしれないほどに、どっしりと太い。
あまりにも広いため、白い壁まで行くには、少し疲れそうだ。とりあえず芽依は、大きな木にぽてぽてと近づいた。裸足だったようで、草花の感触がくすぐったい。芽依の口からは、思わず「ふふ…」と、小さな笑いがこぼれた。
「綺麗~」
近づくと、木の幹には幾重にも蔦が巻き付いていた。
芽依は、そっと蔦を手で撫でてみる。木に触れた手から、心が温かくなっていく。
癒される~
芽依はへにゃりと笑って、木に頬ずりした。
それにしても、ここはどこなのか。なんで小さくなっているのか。カラフルな世界、リアルな感触や匂い…本当に夢なのか。まさか、今流行りの異世界トリップだったり…そんなことない!ないない~!
頭の中では、ぐるぐると不安と疑問が巡っていた。
しばらくそうしていると、急に強い風が吹き、ワンピースを捲っていった。芽依は空を確認しようと、顔を上げ、固まる。
「えぁ~?!」
空高くから、花畑の木に向かって、一体の大きな龍が降りて来ていたのだ。
その体は、宇宙の様に深い蒼色で、煌めく鱗と相まって、神秘的な美しさがあった。龍と言うよりは、ファンタジーに出てくる、ドラゴンと言ったほうがしっくりくる姿だ。
『我を癒すは、其方か』
龍が、しゃべったー!
芽依は、ポカンと口を開けた。
『ほぅ…其方の魂は、この世界の物ではないな』
蒼い龍は言うと、虹色の光に包まれた。芽依は突然の光に驚き、瞳を閉じ手で顔を覆った。
しゃべるし!光るし!なんだコレ!
光はすぐに治まり、芽依は指の隙間から、ちらりと覗き見る。そこに、先程の龍は居なかった。目の前に見えたのは、濃紺の長衣と、銀色の帯だった。
和服だ!
バッと顔を上げると、腰まである漆黒の髪の麗しいイケメンが、黄金の瞳で芽依を見つめていた。
和服のイケメンは、クイッと右の眉を上げた。
「其方、界を渡ったな」
咎めるような声の響きと、その言葉で、目を逸らしていた、異世界トリップなる非現実的な出来事に頭を殴られたように感じた。
私、怒られてるの?望んでここにいるワケじゃないのに!
「ここどこ~!あなた誰~?!龍は~?触りたかった~!」
芽依は支離滅裂に叫ぶと、抑えていた感情のままに泣きだした。
「お、おい!どうした?泣くな!娘!泣くでない!鱗か?!ほれ、すぐに龍体になるぞ!」
先程の冷たい声が嘘のように、男は狼狽えたると、一瞬の光でまた龍の姿になってみせる。
『ほれ、鱗に触りたいのであろう?触れてよいから、泣き止め!』
芽依はせっかくなので、ヒシッと、その体にへばり付いた。
蒼い龍は、やれやれと溜息をつき、自身のお腹の辺りにくっついてる者を見つめ、落ち着くまで待つのであった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる