ちびっ子異世界遊戯

khu@bunny

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わたし、迷子ですか…

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 リーン…
 リーン…

 遠くで、鈴の音が聞こえる。
 頬を撫でる、優しく暖かい風。
 花の香りに誘われるように、芽依はそっと目を開けた。

 どうやら、花畑の中で寝ていたようだ。

「えぁ?!お?何ここ~?!」

 さっきまで、図書館にいたよね?!本を読もうとしてて…、綺麗だな~って、本に描かれてた絵に触って…、鈴の音が聞こえて…あれ?寝ちゃったのか?これ、夢…?

 そっと体を起こしてみるが、視線が思ったよりも低い。
 芽依は、自身の体を見下ろしてみる。

「ほぉ~、白いワンピ!ふりふり…可愛い」

 お花畑に白いフリルワンピースだなんて、ずいぶんメルヘンチックな夢を見ているものだ。
 芽依は、せっかくなので、立ち上がってみる。

「??やっぱり、ちぃさい?」

 視線はやっぱり低いし、目の前で広げてみた手も小さく、声も高いようだ。
 胸元に手を置くと、そこには常に身に付けていたネックレスがあった。

「あ、よかった~」

 初めて作ったレジンのアクセサリーは、ピアスとネックレスで1組の作品にした。
 
 ピアスは、和葉にあげたんだよね。
 
 ネックレスは、兎のシルエットフレームに宇宙をイメージして、濃紺にシルバーのラメを入れた。ピアスは、月のフレームの中に兎を入れて、ゴールドのラメを入れたんだ。

 ネックレスを握ると、少し落ち着いた。

「ここは、どこなのよ…」

 改めて周りを見てみると、ここは白い壁に囲われていた。学校の校庭が、5つは入りそうなほどに広く、一面の花畑の中央には、大きな木がある。その幹は、大人5人で囲んでも手が届かないかもしれないほどに、どっしりと太い。

 あまりにも広いため、白い壁まで行くには、少し疲れそうだ。とりあえず芽依は、大きな木にぽてぽてと近づいた。裸足だったようで、草花の感触がくすぐったい。芽依の口からは、思わず「ふふ…」と、小さな笑いがこぼれた。

「綺麗~」

 近づくと、木の幹には幾重にも蔦が巻き付いていた。
 芽依は、そっと蔦を手で撫でてみる。木に触れた手から、心が温かくなっていく。

 癒される~

 芽依はへにゃりと笑って、木に頬ずりした。

 それにしても、ここはどこなのか。なんで小さくなっているのか。カラフルな世界、リアルな感触や匂い…本当に夢なのか。まさか、今流行りの異世界トリップだったり…そんなことない!ないない~!
 頭の中では、ぐるぐると不安と疑問が巡っていた。

 しばらくそうしていると、急に強い風が吹き、ワンピースを捲っていった。芽依は空を確認しようと、顔を上げ、固まる。

「えぁ~?!」

 空高くから、花畑の木に向かって、一体の大きな龍が降りて来ていたのだ。
 その体は、宇宙の様に深い蒼色で、煌めく鱗と相まって、神秘的な美しさがあった。龍と言うよりは、ファンタジーに出てくる、ドラゴンと言ったほうがしっくりくる姿だ。

『我を癒すは、其方か』

 龍が、しゃべったー!

 芽依は、ポカンと口を開けた。

『ほぅ…其方の魂は、この世界の物ではないな』

 蒼い龍は言うと、虹色の光に包まれた。芽依は突然の光に驚き、瞳を閉じ手で顔を覆った。

 しゃべるし!光るし!なんだコレ!

 光はすぐに治まり、芽依は指の隙間から、ちらりと覗き見る。そこに、先程の龍は居なかった。目の前に見えたのは、濃紺の長衣と、銀色の帯だった。
 
 和服だ!

 バッと顔を上げると、腰まである漆黒の髪の麗しいイケメンが、黄金の瞳で芽依を見つめていた。

 和服のイケメンは、クイッと右の眉を上げた。

「其方、界を渡ったな」

 咎めるような声の響きと、その言葉で、目を逸らしていた、異世界トリップなる非現実的な出来事に頭を殴られたように感じた。

 私、怒られてるの?望んでここにいるワケじゃないのに!

「ここどこ~!あなた誰~?!龍は~?触りたかった~!」

 芽依は支離滅裂に叫ぶと、抑えていた感情のままに泣きだした。

「お、おい!どうした?泣くな!娘!泣くでない!鱗か?!ほれ、すぐに龍体になるぞ!」

 先程の冷たい声が嘘のように、男は狼狽えたると、一瞬の光でまた龍の姿になってみせる。

『ほれ、鱗に触りたいのであろう?触れてよいから、泣き止め!』

 芽依はせっかくなので、ヒシッと、その体にへばり付いた。
 蒼い龍は、やれやれと溜息をつき、自身のお腹の辺りにくっついてる者を見つめ、落ち着くまで待つのであった。

 
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