ちびっ子異世界遊戯

khu@bunny

文字の大きさ
3 / 6

この世界のこと(サイド:ルー)

しおりを挟む
 天上には、世界を支える5つの神殿がある。
 
 空高くに、大きな水盤の様な、水が溢れる楕円の浮島があり、5色の神殿が均等に円を描いていた。神殿は各々、地上の国々と対となっている。
 黒龍が守護する、清らかな泉を持つ国、イシュカ・ネイファ。
 赤龍が守護する、火山と海に囲まれた島国、チニャ・ネイファ。
 蒼龍が守護する、花の咲き乱れる国、クラン・ネイファ。
 白龍が守護する、農耕が盛んな実り豊かな国、クリネフト・ネイファ。
 黄龍が守護する、鉱石が豊富な地底の国、マイネ・ネイファ。

 世界は創世神ルーによって、等しく照らされ、営まれてきた。しかし、長い年月をかけて、人々の信仰は薄れ、地上の神殿は飾りとなり、龍たちの力も弱まっていってしまった。
 かつては、地上にも頻繁に訪れていた龍たちは、天上の神殿で眠る時間が増えた。彼らの力の恩恵は、地上の極一部、神殿のある神域のみに現れるようになってしまったのだ。

 深く眠る龍たちを、ルーは見つめた。

 これ以上弱っては、消えてしまうわ!

 人の思い、信仰が無ければ、その存在が薄れてしまうのだ。神や精霊の力が及ばない地では、ついに、干ばつ、水害、疫病などが広がりはじめている。

 愛しい龍たちを思い、ルーはムッと唇を尖らせた。

『るーさま~るーさま~』

 わらわらと、ルーの傍に小さな精霊たちが集まってくる。精霊たちは世界中に存在し、人々が使う魔法は全て、この精霊たちの力を借りて行使されているのだ。
 実に気ままな性格で、時折ふらりとルーの元へとやって来ては、地上で見たものなどを報告してくるのだ。

『さっきね~クランの神殿に行ってきたの~』
『お願いしてたよ~』
『ね~』

 きゃっきゃと楽しそうに告げると、ふわふわと舞い上がる。
 
 すると、眠っていた蒼龍がチラリと片目を開けた。

『母神よ。我が地でも、ついに病が出たようだ。白魔法の使い手が減っている故、神に縋っているのだろう。我が力も、もう及ばぬ』

 他の龍たちも、己の護る地上を思った。

 どうしたものか…。

 この世界は、豊かだった。信仰が薄れても、精霊たちの力は緩やかに弱まったため、人々はなぜ今困難に襲われているのか、その理由に気付くことができずにいる。

 この世界の者たちは、想像力が足りないのじゃ!!

 ルーは、兄神の世界を思い出した。感情豊かで、想像力があり、八百万の神を信ずる国があった。あの国の人間であれば、世界を変えられるかもしれない。

 兄神に知られたら、怒られるかのぅ~

 まぁ、よいか。

 ルーは精霊たちを集め、召喚の印を仕掛けたのであった。
 急拵えで召喚を決行したために、その者に影響が出ることなど、まだ誰も知る由もなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...