禁断のrainbow rose

秋村篠弥

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南 遼~南を管理する者~

許されざるコウイ

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音もなく脱がされた、その時間は全身が火照るには丁度いい間合いだった。
「ね、今日は良いでしょ?」
俺は期待に満ちた瞳から目を逸らし、首を横に振った。彼女はその答えも想定内だと言うように、優しく言った。
「ふふっ、遼はすぐにイッちゃうくせに」
ゆっくりと四つん這いで近付いてきて、指で俺の胸を撫でた。触れるか触れないかの、もどかしい距離。俺はその手を掴み言った。
「ダメだ」
「何でよ」
分かりきっているのに、彼女は意地悪そうに微笑んでいる。
「俺たちは家族だ、近親強姦なんて……」
その言葉を聞いて、彼女は更に面白そうに笑うと、俺の背中に両腕を回した。今度は距離感ゼロだ。
「でもね、血は繋がっていないの。それに……」
俺の顔を、正しくは瞳を見据える。俺はその艶かしい瞳から目を背けられなかった。
「遼だって、興奮してる」
「してな」
否定しようとしたが、彼女は俺の下半身をそっと撫でた。
「意思の話はしてないの、身体の話よ」
「う、うるさい」
「そういう可愛いところが私を煽るって、学びなさい」
次の瞬間、柔らかい感触と甘い香りが口内に広がり、抵抗出来なくなった。
「……ッ……んッ」
俺はひたすら、彼女に謝った。
『瑠子……ごめんな、俺が弱いせいで……』
そんな罪悪感はいつしか快楽に押し潰された。







『なぁ、もっとして欲しいか?』
気だるそうな紅月の声がした。しかし、彼の瞳には、いつぞやの輝きは心なしか曇り、くすんで見えた。
眠気に逆らい瞼を開ける。
すると、不審者でも見るような目でこちらを見ていたのは…。
「何で授業中に喘いでんだ?どんな保健の授業的な夢見てたんだよ」
「あ、紅月!」
東が叫ぶと、眠気も飛んでった。
「いい加減歳上への言葉遣いを改めないと、単位やらんぞ」
そう言って黒板の方へ帰っていった。
どうやら、紅月のもつ物理の時間に寝てしまっていたらしい。
紅月は今日も彼なりに授業を進めている。
何でそんなに上から目線なんだ。秘密の行為に依存してるのは紅月も同じだろ。
だが、東は目を開けた先の紅月も、夢の中の紅月と同じ瞳のくすみが見えた。
紅月……何か悩み事でもあるのか?
気になると悩みこんでしまう性格が、発動され東は1日中そんなことを考えていた。


紅月は、放課後になり職員室で最後のデスクワークを仕上げ缶コーヒーを口に満たした。
『せんせー!今度は何を教えてくれますか?』
そう書いてあったメールに、紅月は珍しく頬を緩めた。それを見ていた空野は目を見開いた。夢か?夢なのか?確認のため、頬をつねるが、痛さは感じる。
「夢じゃない」
目の前で紅月は目を細め、頬を緩め、温かい雰囲気をまとっている。
まるで、子供に向ける父親の様な目だ……もしや!紅月先生は子供が生まれてしまったのだろうか!?
勝手に焦る空野に、紅月は当然気が付かず、メールの返信をした。
『今度は俺の得意なのをやろう。』
返信すると、立ち上がり、缶コーヒーを飲み切る。そしてカバンを持つと、同僚たちに言った。
「お疲れ様でした」
「お、お疲れ様です!」
一番最初に返事をしたのは、空野だった。その他は、みんな頷くか、手を上げるだけだった。
チリン♪♬*゜
校門を出たところで、メールの受信音が鳴った。先程メールが来ても分かるようにマナーモードを解除したのだ。
相手はさっきと同じ。
『先生、電話してください。声が聞きたいです。』
紅月は電話履歴から、上の方にある名前を押す。読み出しベルが二回鳴った途中で、相手は電話を取る。
「もしもし、俺だ。声が聞きたいなんて、ずいぶん柄でもないことを言うんだな?」
紅月が、電話をする際に出た相手をからかうのは毎度の事だ。

今日は1日、ずっとぼやっとしていた。毎日がハッキリ意識を持って行動しているわけでもないが、今日はいつもとは違う。考え事に耽っていたのだ。それも、本人に聞くしか方法がない。
「何で紅月が、あんな表情を……」
考えていたから、危なく見逃してしまうところだった。話し声が聞こえた。紅月の声だ。
生徒を諭す教師の声音、だが、それはうちの生徒には誰も聞いた事が無さそうな、優しいものだった。
校門の近くにある掲示板に寄りかかって話しているようだ。東は校門から身体を出さないように、聞き耳を立てた。
「今日はイクぞ、何が何でも。だって、お前も楽しみにしてたんだろ」
イク……のかっ!?アイツ、学校外でも男に手を出してんのか。
「嫌だとか言うなよ、俺の大好きな物理だ」
「は?」
思わず出てしまった声に、慌てて身を縮こめる。
「物理を制する者がこの世を制す。数学なんてサブだろ。国語は出来て当たり前だ」
誰かに勉強でも教えてんのか。東はホッとした、と同時に何でもソッチに捉えてしまう頭を呪った。
「アカネ、この世には要らない教科なんて無いぞ。全ての教科に意味がある、比例式だって。関数だって役割があるんだ」
アカネ?相手は女なのか?もしかして、恋人?
「じゃあ30分後、お前ん家で」
紅月は電話を切ると、いつもより早いペースで歩いて行った。東はひたすらにポカンとしていた。
とりあえず、紅月が何で元気がないのか、という問題については、彼女とイザコザしていたからではないか、と勝手に結論付けた。
そして、東はふと思った。
そういえば、紅月……相槌もうたずにずっと話してたな。疑問系の言葉も口に出さなかった。まるで、相手に解答を求めない様に。
自己中なのか……?
それにしても、あんなに男を食ってる奴に女の恋人がいるなんて。しかも自宅デートとは、なかなかツウな事をしてるじゃないか。俺だって、そんな勉強会なんて青春じみたことはしたことない。
別に嫌いなわけじゃないんだけどな。
東はポリポリを頭をかくと、紅月に一足遅れて駅へ向かった。




紅月先生が、来てくれる。
そう考えると、嬉しくてじっとしてる事は不可能だった。両親は共働きで、遅くまで一人でいる。
だから、並大抵のことは出来た。
家事はもちろん、料理は特に力を入れている。
そう、今日は紅月先生に手作り料理を作るのだ。
30分で何が作れるだろうか?
紅月先生は、両親の古い付き合いで仲がいいらしい。若干両親の方が優位に立っている気はするが…それもあり、今ではすっかりアカネの家庭教師になりつつある。
そんな不思議な出会いに、アカネは恋心を抱いていた。
紅月先生が、好き。いつからか、何がキッカケなのか、とんと見当もつかない。だが、それでいい。
何だか好き、そっちの方がぼんやりしていて心地良い。
アカネは冷蔵庫を開け、具材を確認し試行錯誤をする。
冷蔵庫から流れ出る冷気とは裏腹にアカネの気持ちは熱を帯びるのだった。




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