金髪美少女によって異世界へと連れ去られた僕の話

たかまちゆう

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8.夜

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 それからも、僕らはひたすらカードゲームをした。

 最初のゲームをもう何周かした後には、別のゲームもやった。
 伏せられたカードの中から、より大きなカードを当てるゲームだった。
 周囲の人の感情を感じ取りながら、より大きな数字を開くように努めるのだ。

 魔法の力だけではなく、記憶力なども重要になるゲームだ。
 それに、誰が正確にカードの数字を覚えているかを考慮して戦わなければならない。

 そのゲームでは運の要素で勝てたこともあったが、やはり僕の成績は良くなかった。

 そして、どちらのゲームでもレムは弱かった。
 基本的に、彼女はゲームで勝つことにこだわらないらしい。
 逆に、ミミはどちらのゲームをやる時にも真剣で強かった。


 ちなみに、この世界では一日4食が基本らしい。
 ゲームの合間に、5人で食事をとったのだが、昼は甘いコーンスープのような物を啜り、間食の時間には、こしあんのような物が入った饅頭らしき物を食べ、夜には桃のような甘い果物を食べる、という食生活だった。

 この一日、食べた物は甘い料理だけである。
 しかも、野菜や肉は全く食べていない。

 レムによれば、この食生活は一般的なものらしい。
 地位が高い彼女達が贅沢をしているわけでもなければ、宗教で食材を制限されているといった事情もないそうだ。
 単に「甘い物が美味しいから」食べているという。

 この世界の住人の体が弱いのは、体質よりも食生活のせいではないだろうか?
 そのような疑問をぶつけても、彼女達にはピンとこない様子だった。

 この世界の人には、栄養学の知識が無いらしい。
 ひょっとして、ここを改善できれば、僕はこの世界を救えるかもしれない。思わぬ発見だった。


 夜は、レムと一緒に寝るハメになった。
 どんなに説得しても「夫婦だから当然一緒に寝る」と言われてしまったのだ。

 ミミに助けを求めたが、不機嫌そうに「夫婦の問題は当事者で解決して」と言われてしまった。
 本心では反対らしいが、レムが心から僕を愛しているなら仕方がない、ということらしい。


 その夜は、とてつもなく気まずい思いをした。
 隣で寝ているレムは、すぐに寝息を立て始めたが、僕は後ろめたい気分で、なかなか眠れなかった。

 そうしていると、色々なことを考えてしまう。

 何より気になるのは、僕が突然いなくなって両親がとても心配しているだろう、ということだ。
 虚弱体質の僕のことを、いつも心配してくれた両親に、とてつもない不安を与えていることは心苦しい。
 僕の一人暮らしにも、最初は反対していたくらいなのだ。

 僕の魔力はミミより下だという。
 レムですら僕の世界に転移できないということは、僕の魔力で元の世界に戻ることは到底不可能である。

 掟で元の世界に帰ることが禁じられているということは、他の人の助けを得ることはできないということだ。
 つまり、僕はこの世界に永住するしかない。

 いや、本当にそうか……?
 貴族じみた生活をしている彼女達の仕事は、新しい魔法を開発することだという。
 今よりも優れた異世界転移の魔法を開発できる可能性だってあるはずだ。

 もし新しい魔法が開発できなかったとしても、レムが僕に幻を見せた時のように、僕のメッセージを伝えることは可能だろう。
 やはり、早く魔法を使えるようになる必要がある。


 それにしても……親しい人と別れるための時間すら与えず、いきなり異世界に連れ去るというのはあまりにも酷い。
 今回は、つい勢いで承諾してしまった僕にも落ち度があるとはいえ、家族と引き離される異世界人の立場も考えてほしいものだ。


 隣のレムを見る。
 そういえば、彼女の両親はどこにいるのだろうか?
 この城のどこかに住んでいるのか?

 いずれにせよ、近いうちに婚約者として挨拶させられるだろう。
 いや……ひょっとしたら、この世界では結婚相手の親に挨拶する習慣は無いのかもしれない。

 この世界は不思議なことばかりだ。
 よく考えると、疑問に思うことが幾つもある。

 だが、それらをいっぺんに尋ねることは不可能だろう。
 少しずつ情報を引き出して、この世界のことを知っておかねばならない。

 永住するにせよ、しないにせよ、今はなるべく多くの情報が欲しかった。


 今後の方針を決めたら、少しずつ眠くなってきた。
 元々、今日は色々なことがあり過ぎて疲れていたのだ。
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