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12.謎の少女
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レムは、ランゼローナ様と二人で話したいことがあるというので、僕は一人で部屋に戻った。
部屋の中で手持ち無沙汰でいると、扉がゆっくりと開いて、小さな女の子が部屋を覗いてきた。
「……君は?」
「おにいちゃん、異世界の人?」
少女は、大きな目をぱちくりとさせながら尋ねてきた。
「そうだよ。君は……ひょっとして迷子かい?」
「……探検してるの」
何かがおかしい気がした
ふと気付く。
少女の口の動きと、言葉が合っていない。
これは、翻訳の魔法を使っているのだろう。
改めて少女を観察する。
ピンク色の髪に、レムよりも濃い真紅のドレス。身長は130㎝ほどしかない。
さすがにレムより年下だと思う。
「おにいちゃん、この世界、好き?」
少女が唐突に尋ねてきた。
何だか不安そうな顔をしている。
「……そうだね。まだよく分からないところがあるけど、そのうちに好きになれそうかな」
嘘をついても確実にバレるので、嘘にならないように答えた。
「元の世界より、いいでしょ? おにいちゃん、元の世界で、嫌なこと、たくさんあったんだよね?」
誰かからそう聞かされたかのような言い方である。
それにしても、どうしてこの子はそんなことを気にするんだろう?
「それはまだ分からないな。僕は、強引に連れてこられただけだから」
そう言うと、少女は目を見開いた。
「うそ。おにいちゃん、この世界に来ること、快く受け入れてくれたって……」
「誰がそんなことを言ったのさ? まあ、確かに、最後は勢いで承諾しちゃったんだけどね……」
少女の顔は真っ青になった。
慌てたように駆けだして、扉の陰に消える。
「ちょっと待って!」
僕は、事情が分からず追いかけたが、廊下に出ても誰もいなかった。
あの子は、一体誰だったんだろう?
しばらく経ってから、レムが部屋に入ってきた。
「あのさ、初めて会った女の子に、変なことを尋ねられたんだけど」
「変なこと、ですか?」
「この世界は好きか? とか、元の世界よりいい世界か? とか」
「まあ。一体どなたでしょう?」
「ピンク色の髪をした女の子だったよ。背はミミより低くて、誰かから僕の話を聞いたみたいな口振りだったな」
「……ヒカリ様、その子のドレスの色は?」
「赤かったけど? レムはあの子のことを知ってるの?」
「その子のことは、絶対に口外してはいけませんわ。よろしいですね?」
レムに、恐い顔で言われてしまった。
僕は、その勢いに気圧されて頷いた。
「……ちなみに、ヒカリ様はその子の質問に何と答えましたか?」
「まだ分からないって答えたけど?」
「……そうですか」
レムは、僕の答えに安心した様子だった。
それからの数日は、この世界で今まで続けてきた日々の延長だった。
心を読み、読まれないようにするためのカードゲーム。身体に魔力を流す訓練。
成果ははっきりとは出なかった。
でも、時々相手の感情が伝わってくる気がして、カードを引くと40以上の数字だった。
そして、引こうとしたカードが、突然手元に飛んでくることがあった。
物を動かす魔法が、無意識に発動したのだ。
「素晴らしい成長ですわ!」
レムはとても喜んでくれた。
ミミも、ソトやセレも、僕の訓練に成果が伴ってきたことに安堵しているようだった。
起こったのはそんな小さな変化だけだった。
他には、天気が悪い日が増えたとレムやミミが嘆いていることくらいかもしれない。
あとは、小さな地震が起こって、皆が大騒ぎをしていたことくらいである。
どちらも、日本に住んでいた僕にとっては、大したことだと思えなかった。
変わったことはせいぜいその程度である。
この世界は全く変わらなかった。
異世界人への差別も、パヒーネスの外や城の外から来た人への差別も、偏りすぎた食事も変わらず、あの少女のことも分からずじまいである。
そんな日々が、これから暫くは続くと思っていた。
しかしある日、劇的な変化が起こったのである。
部屋の中で手持ち無沙汰でいると、扉がゆっくりと開いて、小さな女の子が部屋を覗いてきた。
「……君は?」
「おにいちゃん、異世界の人?」
少女は、大きな目をぱちくりとさせながら尋ねてきた。
「そうだよ。君は……ひょっとして迷子かい?」
「……探検してるの」
何かがおかしい気がした
ふと気付く。
少女の口の動きと、言葉が合っていない。
これは、翻訳の魔法を使っているのだろう。
改めて少女を観察する。
ピンク色の髪に、レムよりも濃い真紅のドレス。身長は130㎝ほどしかない。
さすがにレムより年下だと思う。
「おにいちゃん、この世界、好き?」
少女が唐突に尋ねてきた。
何だか不安そうな顔をしている。
「……そうだね。まだよく分からないところがあるけど、そのうちに好きになれそうかな」
嘘をついても確実にバレるので、嘘にならないように答えた。
「元の世界より、いいでしょ? おにいちゃん、元の世界で、嫌なこと、たくさんあったんだよね?」
誰かからそう聞かされたかのような言い方である。
それにしても、どうしてこの子はそんなことを気にするんだろう?
「それはまだ分からないな。僕は、強引に連れてこられただけだから」
そう言うと、少女は目を見開いた。
「うそ。おにいちゃん、この世界に来ること、快く受け入れてくれたって……」
「誰がそんなことを言ったのさ? まあ、確かに、最後は勢いで承諾しちゃったんだけどね……」
少女の顔は真っ青になった。
慌てたように駆けだして、扉の陰に消える。
「ちょっと待って!」
僕は、事情が分からず追いかけたが、廊下に出ても誰もいなかった。
あの子は、一体誰だったんだろう?
しばらく経ってから、レムが部屋に入ってきた。
「あのさ、初めて会った女の子に、変なことを尋ねられたんだけど」
「変なこと、ですか?」
「この世界は好きか? とか、元の世界よりいい世界か? とか」
「まあ。一体どなたでしょう?」
「ピンク色の髪をした女の子だったよ。背はミミより低くて、誰かから僕の話を聞いたみたいな口振りだったな」
「……ヒカリ様、その子のドレスの色は?」
「赤かったけど? レムはあの子のことを知ってるの?」
「その子のことは、絶対に口外してはいけませんわ。よろしいですね?」
レムに、恐い顔で言われてしまった。
僕は、その勢いに気圧されて頷いた。
「……ちなみに、ヒカリ様はその子の質問に何と答えましたか?」
「まだ分からないって答えたけど?」
「……そうですか」
レムは、僕の答えに安心した様子だった。
それからの数日は、この世界で今まで続けてきた日々の延長だった。
心を読み、読まれないようにするためのカードゲーム。身体に魔力を流す訓練。
成果ははっきりとは出なかった。
でも、時々相手の感情が伝わってくる気がして、カードを引くと40以上の数字だった。
そして、引こうとしたカードが、突然手元に飛んでくることがあった。
物を動かす魔法が、無意識に発動したのだ。
「素晴らしい成長ですわ!」
レムはとても喜んでくれた。
ミミも、ソトやセレも、僕の訓練に成果が伴ってきたことに安堵しているようだった。
起こったのはそんな小さな変化だけだった。
他には、天気が悪い日が増えたとレムやミミが嘆いていることくらいかもしれない。
あとは、小さな地震が起こって、皆が大騒ぎをしていたことくらいである。
どちらも、日本に住んでいた僕にとっては、大したことだと思えなかった。
変わったことはせいぜいその程度である。
この世界は全く変わらなかった。
異世界人への差別も、パヒーネスの外や城の外から来た人への差別も、偏りすぎた食事も変わらず、あの少女のことも分からずじまいである。
そんな日々が、これから暫くは続くと思っていた。
しかしある日、劇的な変化が起こったのである。
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