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第1章 群青の騎士団と謎の佳人
閑話 ジーンとリーガス愛の劇場3
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妖魔の巣を発見。その知らせを受けて我々は出撃し、どうにかそれを守護する女王を倒した。
負傷された殿下は気がかりだが、まだまだする事は残っている。だが、騎馬兵団の到着まで、我々は一息つく事となった。
「……」
久しぶりに会う妻は、リリアナの足に腰かけたまま何か言いたげにこちらを見つめている。みんなの目を気にして近くに来るのを我慢しているのか、それとも疲れ切って動けないのか、とにかく私も癒しが欲しいので疲れた体に喝を入れて妻の側まで行くとその隣に腰かけた。
「大丈夫か?」
「……」
「疲れたのか?」
「……」
何だか、妻は怒っている?
「何を……怒ってる?」
「……防寒具」
ポツリと返ってきた言葉に私は思わず後ずさった。
「どうして……どうしてつけてないの?」
西の砦に赴任する前、彼女は手編みの防寒具をプレゼントしてくれた。今までしたことも無い編み物をフロリエ嬢やオリガ嬢に習いながら習得し、お揃いで防寒具を編み上げてプレゼントしてくれたのだ。真っ赤なハートをあしらった、ショッキングピンクの防寒具を……。
「使ってくれると言ったのに……」
確かに言ったが、さすがにあれは恥ずかしい……。誰にも見られないように箪笥の奥にしまいこんでいた。
「その、あの、も、もったいないからだ。君が折角編んでくれたのに、汚してしまうのが忍びなくて使えないんだ」
「……本当に?」
「ああ」
嘘ではない。確かに妻の手作りの防寒具は非常に嬉しかったし、汚したくないと言うのも本音だ。だが、それ以上に……恥ずかしすぎる。
「あれは宝物だからな」
「嬉しい……」
妻は唇を震わせ、うるんだ瞳で私を見上げる。思わずその柔らかな唇を味わいたくなる衝動に駆られるが、辛うじて理性で抑え込んだ。
「リーガス……好き」
妻はいつものように手を伸ばすと私の腕に触れてくる。力を込めるとうっとりとその感触を楽しむ。
どうにかごまかせた。安堵した私は彼女の頭を優しく撫で、そして妻との甘いひと時をしばし楽しんだ。
「余所でやれ」
byアスター
負傷された殿下は気がかりだが、まだまだする事は残っている。だが、騎馬兵団の到着まで、我々は一息つく事となった。
「……」
久しぶりに会う妻は、リリアナの足に腰かけたまま何か言いたげにこちらを見つめている。みんなの目を気にして近くに来るのを我慢しているのか、それとも疲れ切って動けないのか、とにかく私も癒しが欲しいので疲れた体に喝を入れて妻の側まで行くとその隣に腰かけた。
「大丈夫か?」
「……」
「疲れたのか?」
「……」
何だか、妻は怒っている?
「何を……怒ってる?」
「……防寒具」
ポツリと返ってきた言葉に私は思わず後ずさった。
「どうして……どうしてつけてないの?」
西の砦に赴任する前、彼女は手編みの防寒具をプレゼントしてくれた。今までしたことも無い編み物をフロリエ嬢やオリガ嬢に習いながら習得し、お揃いで防寒具を編み上げてプレゼントしてくれたのだ。真っ赤なハートをあしらった、ショッキングピンクの防寒具を……。
「使ってくれると言ったのに……」
確かに言ったが、さすがにあれは恥ずかしい……。誰にも見られないように箪笥の奥にしまいこんでいた。
「その、あの、も、もったいないからだ。君が折角編んでくれたのに、汚してしまうのが忍びなくて使えないんだ」
「……本当に?」
「ああ」
嘘ではない。確かに妻の手作りの防寒具は非常に嬉しかったし、汚したくないと言うのも本音だ。だが、それ以上に……恥ずかしすぎる。
「あれは宝物だからな」
「嬉しい……」
妻は唇を震わせ、うるんだ瞳で私を見上げる。思わずその柔らかな唇を味わいたくなる衝動に駆られるが、辛うじて理性で抑え込んだ。
「リーガス……好き」
妻はいつものように手を伸ばすと私の腕に触れてくる。力を込めるとうっとりとその感触を楽しむ。
どうにかごまかせた。安堵した私は彼女の頭を優しく撫で、そして妻との甘いひと時をしばし楽しんだ。
「余所でやれ」
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