掌中の珠のように2

花影

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波紋11

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 幸嗣は仰向けになった沙耶の膝裏を抱える様にして激しく腰を動かしていた。ズチュズチュと音をたてて幸嗣のモノが沙耶の中をかき回す度に、2人の体液が混ざった物が沙耶の秘裂から溢れ出てくる。既にシーツはぐっしょりと濡れていて、吸いきれなくなった場所は水たまりになっていた。
「あっ、あっ、あぁぁぁ!」
「あぁ、沙耶、沙耶、いい、いいよ」
 バスルームからベッドに移動した後も幾度となく幸嗣は精を放っているのだが、一向に衰える気配はない。沙耶も欲情する発作を起こしてしまい、箍が外れたように2人は交わり続けている。
 指定されていた夕食の時間になっても姿を現さない2人を心配し、一度綾乃が様子を覗きに来たのだが気付いていない。しかもその後、簡単に摘まめるものに作り直された食事をワゴンに乗せて差し入れられたのだが、それにも一向に気付く気配が無かった。
「あ、あ、あ、ひゃぁぁぁん!」
「くっ……」
 両手でも余るほどの絶頂を迎え、沙耶は体力が尽きたのかクタリと体から力が抜ける。その締め付けに耐え切れずに同時に精を放った幸嗣も荒い息を吐きながら彼女に覆いかぶさっていた。
「……沙耶?」
 腕の中に囲った愛しい少女は既に意識を飛ばしていた。そこで幸嗣はようやく我に返り、自分が彼女を抱きつぶしてしまった事に気付く。
「あ……」
 これはきっと綾乃のお小言だけでは済まないだろうなぁ……。猛省するものの、もう後の祭りで甘んじて受け入れるしかない。彼は一つため息をつくと、水分補給をしてから彼女の世話を甲斐甲斐しくするのだった。



 義総は酒杯を重ねながら理事長の須藤から学園祭で起きた事件のあらましの説明を受けた。本人は否定しているが、明人が5人組の学生に金を渡して沙耶達を襲わせ、それを助けて自分の株を上げる計画だったらしい。更に学生達は素直に事情聴衆に応じたが、明人は弁護士が迎えに来てさっさと帰ってしまっていた。自分の身内である事実を忘れてしまいたいほどの我儘ぶりだ。
 学園としては騒ぎを起こした彼には正式に謝罪を求める方針でまとまっているらしい。美弥子は美弥子で杏奈の怪我が悪化したのでその治療費と慰謝料を請求する訴訟の準備を進めているという。
「悠長に計画が云々なんて言ってないで、さっさと経営権取り戻しなさい!」
 今回の件には相当頭に来たらしく、美弥子は始終義総に経営権の奪還を命じ、他の3人も彼女程でないにしても義総に復職を希望した。
「明人を排除するのはそれ程難しくは無い。問題は久子だ」
「分かっているわよ。協力するからさっさと取り返しなさい」
「本当だな?」
 本来ならば、せめてもう1年……幸嗣が大学を卒業するまではこのまま静観する予定だったのだ。彼が正式なエトワールの社員となり、例え直ぐには無理でもきちんとした役職を得て周囲に認めさせたうえで自分の考えを全社に浸透させる手伝いをさせる予定だった。
 だが、明人の無能ぶりは思った以上にひどく、久子の強欲ぶりも目に余る様になっていた。まだ現場で働く従業員の努力によって救われているが、このままではエトワールの信用は地に落ちてしまうだろう。確かにもう潮時かもしれない。
 結局は待たせていた青柳も交えて義総たちの方針を伝えた上で、今後どのように彼等に協力してもらうか協議したのだった。



 義総が帰宅したのは日付が変わってからだった。迎え出た塚原と綾乃に沙耶が発作を起こして幸嗣がその相手をした事を伝えられる。
「……」
 部屋でシャワーを浴び、部屋着に着替えて沙耶の部屋を覗いて見ると、幸嗣の腕の中ですやすやと眠っている沙耶の姿が目に入る。
 沸々と嫉妬心が沸き起こり、幸嗣をすぐにでも叩き起こして部屋を追い出したい衝動に駆られる。だが、それだと沙耶が起きてしまうと1人で悩んでいると、幸嗣の方が義総の気配に気づいて目を覚ました。
「……あれ、兄さん……。おかえり」
「ああ……」
 幸嗣は沙耶を起こさないようにそっと体を起こすと、彼女の額に口づけてベッドから抜け出し、側に用意していたガウンを素肌に羽織る。何か言いたげな兄の気配を察し、とりあえず義総の私室へと移動する。
「沙耶は発作を起こしたのか?」
「ああ……。その……まあ、俺も久しぶりで……」
 怒られる覚悟はしているが、それでも正直に白状するのは少し躊躇する。
「仕方ないだろう。薬は?」
「……一度目を覚ましたから、軽く食事させてから飲ませた」
「そうか……」
 義総は飾り棚から秘蔵の1本を取り出すと、グラスを2つ用意して注ぐ。1つを幸嗣にも勧め、2人はそれを無言で飲み干した。
「予定が早まったが、計画を実行する」
「やるの?」
「ああ。とりあえず昨日の件を糾弾してあのバカをマカオに飛ばす。向こうでカジノにはまってもらおう」
 先ずは明人を破産に追い込み、彼が所有しているエトワール関連の株を手放させ、その株を義総が買い取り、社内の発言権を強化する狙いだ。
「……で、俺は何をすればいい?」
「私は出る機会が増えるだろうから、沙耶を守ってくれ」
「分かった」
 幸嗣は頷くと席を立って廊下への出口に向かう。
「戻るのか?」
「うん」
 沙耶を抱きつぶして後ろめたかったのもあるが、随分疲れている様子の義総への彼なりの心遣いだった。幸嗣は手を軽く上げ、部屋を出て行った。
「……」
 義総はもう一杯煽ると、立ち上がって沙耶の部屋に移動する。激しい性交で汚れたシーツは既に取り換えられており、幸嗣の手によって沙耶の体も清められてシルクのベビードールを着ている。
 義総は沙耶の額に口づけると、そのぬくもりを抱きしめる様にして彼女の傍らに横になった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「……あれ?」
「おはよう沙耶」
 目覚めた沙耶は、いつの間にか傍らで横になっているのが幸嗣から義総に替わっていて驚いた。
「おはよう……ございます」
「昨日はうまい弁当をありがとう。それから、帰れなくて済まない」
 義総は寝転がったまま沙耶を抱きしめると、その額に口づける。
「喜んでもらえて良かった……」
「また作ってくれるか?」
「はい……」
 沙耶は嬉しそうに頬を染め、小さく頷いた。
「礼をしなければな」
「え?」
 少し意地悪い笑みを浮かべたのは気のせいだろうか? だが、沙耶の体にその存在を示す熱い塊がワザとらしく押し付けられる。
「あの……」
「どうした?」
「そろそろ起きなきゃ……」
「休みなのだろう?」
「あの、昨日の学園祭の片付けが……」
「お前は体調不良で休みだ」
 義総は体を起こすと沙耶に覆いかぶさってくる。
「予定外の仕事で精神的に疲れているんだ。癒してくれないか?」
 欲情の籠った目で見つめられれば、沙耶はもう断れなかった。

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