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第1章 異世界《エムメルク》の歩き方
第7話 VSスライム ※ただし、武器は食器
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「ちょうどいい。雑魚敵だ」
「すらいむ?」
聞いたことがある名前が出たので、改めて踏みつけたモノを見る。
スライムとは言っていたが、俺が知っているのとは少し形が違っていた。
パッチリとした両目はついているものの饅頭のような楕円形で、緑色の体をしている。余程体に水分を含んでいるのか、動かなくても体がタプタプと波打つように動いている。
「ピギー! ピギー!」
スライムは俺に踏みつけられたことを怒っているのか鳴き声をあげて何度もジャンプしていた。しかし、体長は二十センチくらいしかないものだから、いくらジャンプしても威厳は感じない。こう言ってはなんだが、とても弱く見える。
そんな余裕ぶっこきながらスライムを見ていると、やがてスライムは眉間にしわを寄せ、俺に向かって勢いよく体当たりしてきた。
スライムの体が俺の腹部に当たる。その衝撃は肋がミシッと音をたてるほど強く、俺はその場に吹っ飛ばされた。
「いってぇ……」
あまりの痛さに立っていられず、腹を抑えながらうずくまる。雑魚敵だと思っていたがとんでもない。完全に油断していた。
「おいおい、こんなところで死なれたらこっちが困る」
ノアが口角を上げながら俺の周りをうろちょろしている。そんなところで動きまわるくらいなら、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいではないか。
そう思っているのが顔に出ていたのか、ノアは呆れたようにため息をついた。
「言っておくが、私は戦えないぞ」
「なんでだよ。お前、神の使いなんだろ。こんなスライムくらい蹴散らせよ」
「神の使いだからこの世界に干渉できないのだよ。今だってこうして仮の姿でないと実体化すらできない。この声だって契約している貴様にしか聞こえないのだ」
「なんだって?」
ということは、こいつには俺のステータスを管理するメニュー画面と同じ機能しかないということか。確かにどうして猫の姿に戻っているのかとは思っていたけれど、そういうことならもっと早く言ってほしかった。
「ほら、さっさと起きろ。説明はまだ終わってないぞ」
ノアは俺に気合を入れるように前足で俺の肩を叩く。
ふと前を見ると、まだスライムが怒っていた。ピョンピョンとその場で飛び上がっており、またいつ飛びかかってくるかはわからない。
「スライムに殺されるとか……笑えないよな」
そう言い聞かせて肋を抑えながらゆっくりと立ち上がる。
よろめきながらも臨戦態勢を取る俺を見てノアは「よし」と頷くと、そのまま飛び上がって俺の肩に乗った。
「まずは武器の確認だ。貴様の腰元に差してあるだろ?」
ノアに言われた通りに腰を見るといつの間にか銀色の細い柄がついたステッキのようなモノが差さっている。十センチくらいの革のケースに入るくらい小振りだったので今の今まで気づかなかった。
「それが貴様の武器だ」
ニヤリとノアが不敵な笑みを浮かべる。
俺の武器……心の中で反芻すると、自然と胸が高鳴った。
緊張しながら銀色の柄を握る。丸腰では勝てないだろうから、迷っている時間はない。
――でも、この武器いったいなんだ?
疑問を持ちながらも、俺は意を決して銀色の柄を革のケースから引き抜いた。
そこから出てきたのは――……なんの変哲もない、食事でよく使う銀色のフォークだった。
「おぃぃぃ! これが俺の武器だっていうのかよ!」
再びノアに捲したてるが、彼女は相変わらずあっけらかんとしていた。
「だって、まだ赤子であろう? 赤子が物騒な武器なんて持てるか」
「そうだけどよ! 確かに俺の知ってるベビーサタンもこんなの持っていたけどよ! いいよここまで忠実に再現しなくても! もっとまともな武器よこせよ!」
凄い剣幕でノアを睨めつけていると、ノアは「うるさいなあ」と言いながら前足で自分の耳を掻いた。
「すらいむ?」
聞いたことがある名前が出たので、改めて踏みつけたモノを見る。
スライムとは言っていたが、俺が知っているのとは少し形が違っていた。
パッチリとした両目はついているものの饅頭のような楕円形で、緑色の体をしている。余程体に水分を含んでいるのか、動かなくても体がタプタプと波打つように動いている。
「ピギー! ピギー!」
スライムは俺に踏みつけられたことを怒っているのか鳴き声をあげて何度もジャンプしていた。しかし、体長は二十センチくらいしかないものだから、いくらジャンプしても威厳は感じない。こう言ってはなんだが、とても弱く見える。
そんな余裕ぶっこきながらスライムを見ていると、やがてスライムは眉間にしわを寄せ、俺に向かって勢いよく体当たりしてきた。
スライムの体が俺の腹部に当たる。その衝撃は肋がミシッと音をたてるほど強く、俺はその場に吹っ飛ばされた。
「いってぇ……」
あまりの痛さに立っていられず、腹を抑えながらうずくまる。雑魚敵だと思っていたがとんでもない。完全に油断していた。
「おいおい、こんなところで死なれたらこっちが困る」
ノアが口角を上げながら俺の周りをうろちょろしている。そんなところで動きまわるくらいなら、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいではないか。
そう思っているのが顔に出ていたのか、ノアは呆れたようにため息をついた。
「言っておくが、私は戦えないぞ」
「なんでだよ。お前、神の使いなんだろ。こんなスライムくらい蹴散らせよ」
「神の使いだからこの世界に干渉できないのだよ。今だってこうして仮の姿でないと実体化すらできない。この声だって契約している貴様にしか聞こえないのだ」
「なんだって?」
ということは、こいつには俺のステータスを管理するメニュー画面と同じ機能しかないということか。確かにどうして猫の姿に戻っているのかとは思っていたけれど、そういうことならもっと早く言ってほしかった。
「ほら、さっさと起きろ。説明はまだ終わってないぞ」
ノアは俺に気合を入れるように前足で俺の肩を叩く。
ふと前を見ると、まだスライムが怒っていた。ピョンピョンとその場で飛び上がっており、またいつ飛びかかってくるかはわからない。
「スライムに殺されるとか……笑えないよな」
そう言い聞かせて肋を抑えながらゆっくりと立ち上がる。
よろめきながらも臨戦態勢を取る俺を見てノアは「よし」と頷くと、そのまま飛び上がって俺の肩に乗った。
「まずは武器の確認だ。貴様の腰元に差してあるだろ?」
ノアに言われた通りに腰を見るといつの間にか銀色の細い柄がついたステッキのようなモノが差さっている。十センチくらいの革のケースに入るくらい小振りだったので今の今まで気づかなかった。
「それが貴様の武器だ」
ニヤリとノアが不敵な笑みを浮かべる。
俺の武器……心の中で反芻すると、自然と胸が高鳴った。
緊張しながら銀色の柄を握る。丸腰では勝てないだろうから、迷っている時間はない。
――でも、この武器いったいなんだ?
疑問を持ちながらも、俺は意を決して銀色の柄を革のケースから引き抜いた。
そこから出てきたのは――……なんの変哲もない、食事でよく使う銀色のフォークだった。
「おぃぃぃ! これが俺の武器だっていうのかよ!」
再びノアに捲したてるが、彼女は相変わらずあっけらかんとしていた。
「だって、まだ赤子であろう? 赤子が物騒な武器なんて持てるか」
「そうだけどよ! 確かに俺の知ってるベビーサタンもこんなの持っていたけどよ! いいよここまで忠実に再現しなくても! もっとまともな武器よこせよ!」
凄い剣幕でノアを睨めつけていると、ノアは「うるさいなあ」と言いながら前足で自分の耳を掻いた。
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