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第1章 異世界《エムメルク》の歩き方
第9話 バトル終了。次の街へ──?
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そうしている間に倒れていたスライムが復活している。しかも今ので完全に堪忍袋の緒が切れたようで、つぶらな目が怒りで吊り上っていた。
次も来る。そう思った途端、本当に突進してきた。
助走がついている分、先程よりもずっとスピードが速い。だが、飛んでくる方向が真正面というのは変わりない。
スライムが勢いに身を任せ、飛び上がる。あとは、その勢いを利用するだけだ。
「これでも食らっとけ!」
バトルフォークを強く握り、突撃するスライムに向けてバトルフォークの先を突き刺す。すると、狙い通りスライムはフォークの先に貫通した。
差し込んだスライムの体はぬるっと柔らかい感触だったが、手応えを感じた。
そしてスライムは大きく目を見開いたまま、体から紫色の靄を発して音もなく消えていった。
スライムが完全に消えると、どこからか手のひらサイズに角張った石が転がり落ちた。いきなり現れた石だが、俺にはスライムの体からこれが出てきたように見えた。
消えたスライムが再び出てくる気配はない。
これは、やったか?
緊張が抜けたのか、俺は無意識にバトルフォークを手から落とし、崩れるようにその場に座り込んだ。
アドレナリンが切れたようで、スライムに食らわされた肋がズキズキと痛んだ。動けているから折れてはいなさそうだが、青あざはできるだろう。
たった一回の戦闘でここまで疲労困憊している俺だったが、意外にもノアは貶してこなかった。
「思ったより喧嘩慣れしているではないか。反応もいいし、攻撃に迷いがない」
「そりゃ、どうも……」
「でも、これでよくわかっただろ?」
ノアに問いかけられ、深く頷く。この世界には魔物がいる。魔物が存在するのならば、そいつらを統一する魔王がいてもなんらおかしくない。だからこの世界の人は魔王のことを信じざるを得ないのだ。
「くっそ~、これからこんな奴らと戦うのかよ」
スライムでこのザマなら、この状態で魔王になんか勝てる訳ないだろうが。
先行きが不安になっていたが、ノアいわく魔物を倒すメリットもあるのだという。
「ほら、さっきので経験値もらえたぞ」
そう言いながらノアはステータスボードを出した。ノアの言う通り、俺のステータスに経験値が「六」入っている。
「戦闘経験を積むと基礎ステータスが上がるからな。貴様のカスみたいな魔力もそのうち増えるかもわからん」
「カスって言うな、カスって」
あと、魔力が上がることは断定してくれ。
疑わしく眉をひそめていたが、ノアはこれっぽっちも気にしていないようだ。こちらに見向きもせず、転がった例の石に近づく。
「これは持っておけよ」
「持っておけって……なんなんだよ、これ」
ノアに言われるがままに石を拾い上げる。遠目からでは分からなかったが、よく見ると石の真ん中に青い水晶のようなものが入っていた。
「それが魔物のコアだ。簡単に言えば魔物の心臓部だな。この世界ではそれが金にも武器にもなる」
ノアはそう言うものの、こんな石にそれまでの利便性を感じない。そもそも、金と武器って用途が全然違うではないか。石を持ちながらそんなことを考えていたが、ノアは「あとでわかる」というだけで、それ以上の説明はなかった。
「そのうち専門家に会うんだ。そいつに訊けばいい」
そう言ってノアは尻尾をゆらゆらとしながら、俺の前へとついた。
「ほら、さっさと街に行くぞ」
「へいへい。わかったよ」
痛む肋に触れながら落ちたバトルフォークを拾い上げる。そして背中を起こし、改めて歩き出そうとした。
その時だ。前を歩いていたはずのノアが、いきなり俺の顔面に飛びついてきた。
次も来る。そう思った途端、本当に突進してきた。
助走がついている分、先程よりもずっとスピードが速い。だが、飛んでくる方向が真正面というのは変わりない。
スライムが勢いに身を任せ、飛び上がる。あとは、その勢いを利用するだけだ。
「これでも食らっとけ!」
バトルフォークを強く握り、突撃するスライムに向けてバトルフォークの先を突き刺す。すると、狙い通りスライムはフォークの先に貫通した。
差し込んだスライムの体はぬるっと柔らかい感触だったが、手応えを感じた。
そしてスライムは大きく目を見開いたまま、体から紫色の靄を発して音もなく消えていった。
スライムが完全に消えると、どこからか手のひらサイズに角張った石が転がり落ちた。いきなり現れた石だが、俺にはスライムの体からこれが出てきたように見えた。
消えたスライムが再び出てくる気配はない。
これは、やったか?
緊張が抜けたのか、俺は無意識にバトルフォークを手から落とし、崩れるようにその場に座り込んだ。
アドレナリンが切れたようで、スライムに食らわされた肋がズキズキと痛んだ。動けているから折れてはいなさそうだが、青あざはできるだろう。
たった一回の戦闘でここまで疲労困憊している俺だったが、意外にもノアは貶してこなかった。
「思ったより喧嘩慣れしているではないか。反応もいいし、攻撃に迷いがない」
「そりゃ、どうも……」
「でも、これでよくわかっただろ?」
ノアに問いかけられ、深く頷く。この世界には魔物がいる。魔物が存在するのならば、そいつらを統一する魔王がいてもなんらおかしくない。だからこの世界の人は魔王のことを信じざるを得ないのだ。
「くっそ~、これからこんな奴らと戦うのかよ」
スライムでこのザマなら、この状態で魔王になんか勝てる訳ないだろうが。
先行きが不安になっていたが、ノアいわく魔物を倒すメリットもあるのだという。
「ほら、さっきので経験値もらえたぞ」
そう言いながらノアはステータスボードを出した。ノアの言う通り、俺のステータスに経験値が「六」入っている。
「戦闘経験を積むと基礎ステータスが上がるからな。貴様のカスみたいな魔力もそのうち増えるかもわからん」
「カスって言うな、カスって」
あと、魔力が上がることは断定してくれ。
疑わしく眉をひそめていたが、ノアはこれっぽっちも気にしていないようだ。こちらに見向きもせず、転がった例の石に近づく。
「これは持っておけよ」
「持っておけって……なんなんだよ、これ」
ノアに言われるがままに石を拾い上げる。遠目からでは分からなかったが、よく見ると石の真ん中に青い水晶のようなものが入っていた。
「それが魔物のコアだ。簡単に言えば魔物の心臓部だな。この世界ではそれが金にも武器にもなる」
ノアはそう言うものの、こんな石にそれまでの利便性を感じない。そもそも、金と武器って用途が全然違うではないか。石を持ちながらそんなことを考えていたが、ノアは「あとでわかる」というだけで、それ以上の説明はなかった。
「そのうち専門家に会うんだ。そいつに訊けばいい」
そう言ってノアは尻尾をゆらゆらとしながら、俺の前へとついた。
「ほら、さっさと街に行くぞ」
「へいへい。わかったよ」
痛む肋に触れながら落ちたバトルフォークを拾い上げる。そして背中を起こし、改めて歩き出そうとした。
その時だ。前を歩いていたはずのノアが、いきなり俺の顔面に飛びついてきた。
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