転生するのにベビー・サタンの能力をもらったが、案の定魔力がたりない~最弱勇者の俺が最強魔王を倒すまで~

葛来奈都

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第2章 創造者《クリエイター》の冒険者ギルド

第24話 教えて、アンジェ先生

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「ギルドカードは更新できるので、ひとまずこれで作ってしまいましょう。行きますよ」

 そう言ってセリナはパンッ! と両手で机を叩いた。
創作魔法クリエイシッド

 セリナが呪文を唱えると、紙がぼんやりと青く光りだした。

「な、なんだ?」

 驚きのあまり身動ぎする。しかし、光が治まると机に置いてあったはずの紙が紺色のカードに変わっていた。

「はい、できましたよ」
 セリナがカードを手渡す。そのカードには俺が先程紙に書いた項目がきちん記されていた。

「これが……俺のギルドカード?」

 恐る恐るカードを受け取る。

 表も裏も見てみるが、よくあるプラスチック製のカードだ。アンジェが赤色だったから、カードの色は属性魔法を表しているのだろう。こんなのが一瞬でできあがってしまうなんて、魔法ってすげー。

 まじまじとカードを眺めていると、セリナが「あっ」と思い出したように手を叩いた。

「できあがったといえば、アンジェさんが頼んでいたものもできあがりましたよ」

「あら、本当? 仕事が早くて助かるわ~」

「フフッ、ちょっと待ってくださいね」

 会釈したセリナは早足で別室に向かう。すぐに出てきた彼女だが、その手には剣を持っていた。

「どうぞ、ご覧になってください」

 両手で丁寧に差し出され、アンジェは目を輝かせて剣を受け取る。鞘から抜かれた剣は、剣身が細く、ゆるやかに曲がっていた。さらに切っ先が尖っており、剣なのにナイフのデザインに近く見える。

「……うん、使っていたものよりもずっと軽いわ。切れ味も良さそう」

 剣を手に持ったアンジェは刃を見つめながら満足そうに笑う。

「ありがとうセリちゃん。作るの大変だったでしょ?」

「え? 作る? セリナが?」

 アンジェの言葉に思わず反応してしまったが、いささか信じられなかった。こんな可憐で華奢な彼女が剣を作るなんて……そもそも彼女は受付係ではないのか?

 だが、セリナは「そんなことないです」と照れている。

「コアと武器の相性がよかったから、とても作りやすかったですよ」

 まずい。コアまで出てきた。さっきから全然話についていけてない。

 そういえばコアで思い出した。俺もコアを持っていたのだった。

 ごそごそとズボンのポケットを探る。そこからスライムと戦った時に得たコアを取り出すと、二人とも「あ!」と声を揃えてこちらを見てきた。

「ムギトさんもコア持ってたんですね!」


「お、おう……アンジェと会う前に倒したんだ」

「そうだったんですか。よろしければ鑑定しますか? それとも、クリエイトにします?」

「鑑定? クリエイト??」

 いっぱい専門用語が出てきて、頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいただろう。

「た、助けてアンジェ」

 引きつった顔でアンジェに顔を向ける。高速に泳いでいる俺の目を見て色々察してくれたようだ。「あらあら」と言いながらも、スッと俺の持っていたコアに手を伸ばした。

「ムギちゃんはコアのことどこまで覚えてるの?」

「えっと……魔物の心臓部?」

『覚えている』というか、ノアからここしか聞いていないというのが正しいが、とりあえず話を合わせる。

「なら、このコアが何に使われるかは?」

 続け様に尋ねられたが、答えに詰まった。

 ノアは「金にも武器にもなる」と言っていた。だが、こんな石コロがどうやってその二つに変化するのか、その理屈は未だに想像できていない。

 言葉を噤んでいると、アンジェは「オーケー」と頷き、今度はセリナにコアを渡した。

「ここからは実際に見てもらったほうがわかりやすいわ。セリちゃん、まず鑑定からお願いできる?」

「はい、任せてください!」

 セリナは元気に応えてコアを受け取る。だが、コアを手にした途端、彼女はすぐに真顔になった。

鑑定魔法アプレザイド
 静かに呪文を唱えると、それを合図に彼女の手がぼやんとオレンジ色に光った。

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