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第2章 創造者《クリエイター》の冒険者ギルド
第26話 コアの武器
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「しかもセリちゃんは鑑定スキル持ち。本当に優秀なんだから。ただの可愛い受付嬢なんて思っていたらダメなんだかね」
「お、恐れ入ります」
ウィンクするアンジェだったが、セリナは「そんなことないです」と首を振って謙遜した。
「私なんてまだまだです。ギルド創設者様なんて家まで一瞬で造れたって言いますし……」
「何それ。もう神じゃん」
「それは比べる相手が違うわよセリちゃん。あのお方は最早伝説なんだから」
アンジェのフォローにセリナははにかみながら会釈する。俺からしてみれば、セリナも十分優秀だと思うのに。
さて、【創造者】が凄いのは勿論なのだが、その能力を成し得るにはコアの力も必要なのだという。
「魔物のコアには魔力が溜まっているので、ベースとなる物質さえあればこうして魔法で合成もできるんです。しかもその魔物特有の魔力を利用して作るので、この小手みたいに魔物の特色が現れることがあるんですよ」
そう言ってセリナはできあがった小手の緩衝材部分を指差した。言わずもがな、このジェル状の緩衝材がスライムの特色を現している。
なるほど、これはノアも「拾っておけ」と言うはずだ。
ふとノアを見ると、奴もにんまりと口角を上げてこちらを見ていた。そのゲスい笑顔からノアがなぜコアの説明を端折った理由も把握した。ただ、面倒臭かっただけである。
「よかったな。専門家に教えてもらえて」
皮肉ってくるノアに思わず舌打ちする。
この数十分でコアのことも理解できたが、クラスの能力格差をひしひしと感じた。
万能すぎないか【創造者】。そして、お前はいったいなんなんだ【赤子の悪魔。
世界の不条理に不貞腐れそうになったが、せっかくセリナが作ってくれたので小手をつけてみた。
ベースが金属だから重たいかと思ったが、想像よりも軽い着け心地で動きにくさは感じなかった。これなら戦闘も妨げないし、防御力も上がる。
「ありがとう、アンジェ。セリナ」
素直に礼を言うと、二人とも「どういたしまして」と微笑んだ。美男美女の笑顔は絵になるなと思ったのは内緒だ。
ひと段落ついたところで、ふと思い出した。
確かアンジェの新しい剣もコアから作ったと言っていたはず。
「なあ、その剣のコアってもしかして」
「そ。ルソードのコアから作ったの」
「ウフッ」と笑ったアンジェだったが、俺はつい退いてしまった。
確かに剣のデザインはナイフに近いと感じたが、それがまさか昨日自分の肩をぶっ刺したものから取られているとは――ちょっと血の気が引く。
それを言うと俺も同じか。俺だって、バトルフォークでぶっ刺したスライムの小手をつけているのだ。
「これって自分が殺った魔物で作った武器防具を使ってるんだな……」
冷静になって考えると、俺のやっていることってただのサイコパス。
そんな懸念をしていると、アンジェが「うーん」と腕を組んで唸った。
「魔物も『倒した』とは言うけど、『殺した』訳ではないのよね。コアをなくした彼らは魔界に戻るだけ」
「魔界? そんなのがあるのか?」
「あくまでも言い伝えだけどね。人は天に昇る。魔物は地に帰る。そうやって言われてるのよ」
魔界。また新たな単語が出てきた。それが本当に存在するのなら、そこの住民が魔物で、そこを統べる者が魔王……ということだろうか。ここに来てようやく魔王に関する情報を得た気がする。覚えておこう。
「でも、それならなんで消えた時にコアだけ残るんだ?」
なんとなしに浮かんだ疑問を二人にぶつける。
アンジェは「鋭いわね」と褒めてくれたが、彼もセリナも回答に困っていた。彼らいわく、コアには謎が多く、まだ解明されていないことがたくさんあるらしい。
「それを研究するのも、私たちの仕事なんですよ」
「え、だって他にもクエストの斡旋やアイテムの錬成もやってるんだろ? 大変じゃないの?」
「大変と言えば大変ですけど……でも、やりがいがあって楽しいですよ」
セリナが口角を上げてにっこりと笑う。その屈託のない笑顔が眩しくて目がくらみそうになる。
「やりがいか……凄いなセリナ」
ああ、俺に足りないものはこの輝きなんだろうなあ。俺
なんて、働く前から目が死んでたもんなあ。そら内定決まらねえわ。
そんなことをしみじみと思っていると、アンジェがフフッと微笑ましくしていた。
「お、恐れ入ります」
ウィンクするアンジェだったが、セリナは「そんなことないです」と首を振って謙遜した。
「私なんてまだまだです。ギルド創設者様なんて家まで一瞬で造れたって言いますし……」
「何それ。もう神じゃん」
「それは比べる相手が違うわよセリちゃん。あのお方は最早伝説なんだから」
アンジェのフォローにセリナははにかみながら会釈する。俺からしてみれば、セリナも十分優秀だと思うのに。
さて、【創造者】が凄いのは勿論なのだが、その能力を成し得るにはコアの力も必要なのだという。
「魔物のコアには魔力が溜まっているので、ベースとなる物質さえあればこうして魔法で合成もできるんです。しかもその魔物特有の魔力を利用して作るので、この小手みたいに魔物の特色が現れることがあるんですよ」
そう言ってセリナはできあがった小手の緩衝材部分を指差した。言わずもがな、このジェル状の緩衝材がスライムの特色を現している。
なるほど、これはノアも「拾っておけ」と言うはずだ。
ふとノアを見ると、奴もにんまりと口角を上げてこちらを見ていた。そのゲスい笑顔からノアがなぜコアの説明を端折った理由も把握した。ただ、面倒臭かっただけである。
「よかったな。専門家に教えてもらえて」
皮肉ってくるノアに思わず舌打ちする。
この数十分でコアのことも理解できたが、クラスの能力格差をひしひしと感じた。
万能すぎないか【創造者】。そして、お前はいったいなんなんだ【赤子の悪魔。
世界の不条理に不貞腐れそうになったが、せっかくセリナが作ってくれたので小手をつけてみた。
ベースが金属だから重たいかと思ったが、想像よりも軽い着け心地で動きにくさは感じなかった。これなら戦闘も妨げないし、防御力も上がる。
「ありがとう、アンジェ。セリナ」
素直に礼を言うと、二人とも「どういたしまして」と微笑んだ。美男美女の笑顔は絵になるなと思ったのは内緒だ。
ひと段落ついたところで、ふと思い出した。
確かアンジェの新しい剣もコアから作ったと言っていたはず。
「なあ、その剣のコアってもしかして」
「そ。ルソードのコアから作ったの」
「ウフッ」と笑ったアンジェだったが、俺はつい退いてしまった。
確かに剣のデザインはナイフに近いと感じたが、それがまさか昨日自分の肩をぶっ刺したものから取られているとは――ちょっと血の気が引く。
それを言うと俺も同じか。俺だって、バトルフォークでぶっ刺したスライムの小手をつけているのだ。
「これって自分が殺った魔物で作った武器防具を使ってるんだな……」
冷静になって考えると、俺のやっていることってただのサイコパス。
そんな懸念をしていると、アンジェが「うーん」と腕を組んで唸った。
「魔物も『倒した』とは言うけど、『殺した』訳ではないのよね。コアをなくした彼らは魔界に戻るだけ」
「魔界? そんなのがあるのか?」
「あくまでも言い伝えだけどね。人は天に昇る。魔物は地に帰る。そうやって言われてるのよ」
魔界。また新たな単語が出てきた。それが本当に存在するのなら、そこの住民が魔物で、そこを統べる者が魔王……ということだろうか。ここに来てようやく魔王に関する情報を得た気がする。覚えておこう。
「でも、それならなんで消えた時にコアだけ残るんだ?」
なんとなしに浮かんだ疑問を二人にぶつける。
アンジェは「鋭いわね」と褒めてくれたが、彼もセリナも回答に困っていた。彼らいわく、コアには謎が多く、まだ解明されていないことがたくさんあるらしい。
「それを研究するのも、私たちの仕事なんですよ」
「え、だって他にもクエストの斡旋やアイテムの錬成もやってるんだろ? 大変じゃないの?」
「大変と言えば大変ですけど……でも、やりがいがあって楽しいですよ」
セリナが口角を上げてにっこりと笑う。その屈託のない笑顔が眩しくて目がくらみそうになる。
「やりがいか……凄いなセリナ」
ああ、俺に足りないものはこの輝きなんだろうなあ。俺
なんて、働く前から目が死んでたもんなあ。そら内定決まらねえわ。
そんなことをしみじみと思っていると、アンジェがフフッと微笑ましくしていた。
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