32 / 242
第2章 創造者《クリエイター》の冒険者ギルド
第32話 バトル終了
しおりを挟む
うさぎは目くじらを立てて俺を睨んでいる。
鼻息も興奮のせいで荒くなっているし、殴られて怒っているのだろう。
うさぎがいつ飛び込んでくるのかわからないので、ひとまず両手でフォークを握る。だが、突進してくると思ったのに、うさぎはその場で力んで頭を振った。
すると、ツノから鋭利な氷柱が何発も噴射してきた。
「やっべ――」
氷柱はまるで弾丸のように俺のほうへと飛ぶ。
咄嗟にフォークの面を盾にしようとするがおそらく間に合わないだろう。
痛みを堪えるためにギュッと目をつぶる。だが、その瞬間に俺の横から火炎が一直線に放射された。アンジェの炎だ。炎は氷柱の弾丸を溶かすだけでなく、奥にいたうさぎまでも燃やしていく。属性が氷だからうさぎもあれだけで痛恨の一撃なのだろう。断末魔をあげると紫色の靄を発して消えていった。
「サンキュー、アンジェ」
アンジェのほうを見るとちょうど彼が安堵の息をついているところだった。
しかし、その背後ではムカデが最後の力を振り絞って体を起こしあげていた。気配を察したアンジェも慌てて振り向くが、牙はすでにアンジェに向けられている。
アンジェが、危ない。そう頭によぎった時には、俺も反射的に動いていた。
「アンジェ! しゃがめ!」
声をあげた後、強く握ったフォークをムカデに向かって投げる。
フォークはまるで槍投げのようにまっすぐムカデのほうへ飛んでいき、そのまま体を貫通させた。
耳を塞ぎたくなるほどの金切り声をあげたムカデは、うさぎと同様にコアを消えていく。
フォークはというと、戦いを終えると元の大きさに戻って地面に転がり落ちた。
戦闘終了。なんとか無傷で勝てた。
ホッとすると力が抜け、ついその場で座り込む。その様子をアンジェが目をパチクリさせて見ていたが、やがてニッコリと笑って俺に近づいた。
「やるじゃないムギちゃん!」
「いやー、それほどでも……正直ギリギリだし。ほとんどダメージ与えてるのアンジェだし」
「そんなことないわ。助けてくれてありがとう。惚れちゃいそう」
「それは……やめてくれ」
ウフッと語尾にハートをつけたアンジェに苦笑いを浮かべながら、徐に立ち上がる。
顔を上げると岩から飛び降りていたノアがこちらへ近づき、話しかけてきた。
「貴様、こっちの世界のほうが向いているでは?」
褒められているようなセリフだが、ノアに言われると皮肉に聞こえる。
「うるせ」
アンジェに聞こえないよう小声で吐く。
とりあえず武器を回収しようと、俺は落ちたフォークに目を向けた。
すると、地面に転がっていたフォークが紫色の靄に包まれて消えた。だがそれも一瞬で、今度は俺の右手にフォークが戻ってきた。どうやら武器を手放しても、主人の元に戻ってくる仕組みらしい。
とはいえ、これにはアンジェも驚いていた。
「その武器……自在に伸びたり、戻ってきたりして凄いわね」
彼がそう言うということは、他の武器はそんな機能はないということなのだろう。
不思議な現象に首をひねることしかできないが、一旦革ケースにフォークを戻す。
静まり返った空気にアンジェが「ふぅ」と息を吐く。
「――先に進みましょうか」
アンジェの言葉に俺も深く頷いた。道は、まだ長そうだ。
◆ ◆ ◆
一本道なので迷いはしないが、あれからも何回か魔物と戦闘があった。
ただ、洞窟の中が太陽の光が届かなくて涼しいからか、氷属性の魔物が多かった。
この世界でも属性の弱点があるようで、炎属性のアンジェは奴らと相性が良い。一対一だとまず負けない。
だが、同属性である俺の魔法攻撃は効果がいま一つだ……と言いたいところだが、俺の魔法は弱すぎてそもそもダメージを与えていない。せいぜい雪で目眩しできるくらいだ。倒すなら物理攻撃のほうが断然早い。
「おい、ノア……ステータスボード出してくれないか?」
頭上のノアに小声で尋ねると、ピクッと彼の体が動いた。
鼻息も興奮のせいで荒くなっているし、殴られて怒っているのだろう。
うさぎがいつ飛び込んでくるのかわからないので、ひとまず両手でフォークを握る。だが、突進してくると思ったのに、うさぎはその場で力んで頭を振った。
すると、ツノから鋭利な氷柱が何発も噴射してきた。
「やっべ――」
氷柱はまるで弾丸のように俺のほうへと飛ぶ。
咄嗟にフォークの面を盾にしようとするがおそらく間に合わないだろう。
痛みを堪えるためにギュッと目をつぶる。だが、その瞬間に俺の横から火炎が一直線に放射された。アンジェの炎だ。炎は氷柱の弾丸を溶かすだけでなく、奥にいたうさぎまでも燃やしていく。属性が氷だからうさぎもあれだけで痛恨の一撃なのだろう。断末魔をあげると紫色の靄を発して消えていった。
「サンキュー、アンジェ」
アンジェのほうを見るとちょうど彼が安堵の息をついているところだった。
しかし、その背後ではムカデが最後の力を振り絞って体を起こしあげていた。気配を察したアンジェも慌てて振り向くが、牙はすでにアンジェに向けられている。
アンジェが、危ない。そう頭によぎった時には、俺も反射的に動いていた。
「アンジェ! しゃがめ!」
声をあげた後、強く握ったフォークをムカデに向かって投げる。
フォークはまるで槍投げのようにまっすぐムカデのほうへ飛んでいき、そのまま体を貫通させた。
耳を塞ぎたくなるほどの金切り声をあげたムカデは、うさぎと同様にコアを消えていく。
フォークはというと、戦いを終えると元の大きさに戻って地面に転がり落ちた。
戦闘終了。なんとか無傷で勝てた。
ホッとすると力が抜け、ついその場で座り込む。その様子をアンジェが目をパチクリさせて見ていたが、やがてニッコリと笑って俺に近づいた。
「やるじゃないムギちゃん!」
「いやー、それほどでも……正直ギリギリだし。ほとんどダメージ与えてるのアンジェだし」
「そんなことないわ。助けてくれてありがとう。惚れちゃいそう」
「それは……やめてくれ」
ウフッと語尾にハートをつけたアンジェに苦笑いを浮かべながら、徐に立ち上がる。
顔を上げると岩から飛び降りていたノアがこちらへ近づき、話しかけてきた。
「貴様、こっちの世界のほうが向いているでは?」
褒められているようなセリフだが、ノアに言われると皮肉に聞こえる。
「うるせ」
アンジェに聞こえないよう小声で吐く。
とりあえず武器を回収しようと、俺は落ちたフォークに目を向けた。
すると、地面に転がっていたフォークが紫色の靄に包まれて消えた。だがそれも一瞬で、今度は俺の右手にフォークが戻ってきた。どうやら武器を手放しても、主人の元に戻ってくる仕組みらしい。
とはいえ、これにはアンジェも驚いていた。
「その武器……自在に伸びたり、戻ってきたりして凄いわね」
彼がそう言うということは、他の武器はそんな機能はないということなのだろう。
不思議な現象に首をひねることしかできないが、一旦革ケースにフォークを戻す。
静まり返った空気にアンジェが「ふぅ」と息を吐く。
「――先に進みましょうか」
アンジェの言葉に俺も深く頷いた。道は、まだ長そうだ。
◆ ◆ ◆
一本道なので迷いはしないが、あれからも何回か魔物と戦闘があった。
ただ、洞窟の中が太陽の光が届かなくて涼しいからか、氷属性の魔物が多かった。
この世界でも属性の弱点があるようで、炎属性のアンジェは奴らと相性が良い。一対一だとまず負けない。
だが、同属性である俺の魔法攻撃は効果がいま一つだ……と言いたいところだが、俺の魔法は弱すぎてそもそもダメージを与えていない。せいぜい雪で目眩しできるくらいだ。倒すなら物理攻撃のほうが断然早い。
「おい、ノア……ステータスボード出してくれないか?」
頭上のノアに小声で尋ねると、ピクッと彼の体が動いた。
10
あなたにおすすめの小説
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる