転生するのにベビー・サタンの能力をもらったが、案の定魔力がたりない~最弱勇者の俺が最強魔王を倒すまで~

葛来奈都

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第4章 ギルド、崩壊

第59話 商人《マーチャント》の市場

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「同じ【創造者クリエーター】でもそれぞれ得意分野が違うから、彼ら一人一人が貴重な人材なのよ。特に【創造者クリエーター】のギルドって少ないからね。だからここのギルドに立ち寄る冒険者も多いの」

「へー、冒険者ねえ」

 言われてみると市場のほうはいかにも冒険しているという格好の人が多かった。ただし、コアの研究機関なだけあってクエストの内容は採取系ばかりなので単価が低いのだとか。代わりにコアが高く売れるからコアだけ売りに来るという人が殆どなのだとか。拠点にはしないということなのだろう。それでも重要なギルドであることは間違いない。

「さて、今日はどれを強化するんです?」

「あたしは剣で、この子は小手を。それぞれ攻撃力と防御力を最大値まで上げてくれる?」

「かしこまりました。色々取り付けるのでちょっと時間はかかりますが、明日の朝にはできると思います。明日はセリナさんが受付なので、セリナさんに渡しておきますね」

「了解、よろしくね」

 一旦武器防具を彼に預け、俺たちは研究棟を後にする。次は出店へ行って道具の補充だ。

 出店は今日も賑わっている。貼られた白い三角のテントの下では立ち寄った冒険者やギルド員が商人から武器や道具を買っているようだ。商人たちの声も明るく、威勢のいい声が行きかっている。

「ウィング・コア・ピンとか、何個あっても足りないからね」

 そう言ってアンジェはとあるテントに迷わず歩いた。

 そこにいたのは口とあごに髭を生やしたがたいのいいおっさんだった。腕の太さもレスラーのように太いし、スキンヘッドの頭がなお彼を厳つくさせる。そんなおっさんにアンジェは「ハーイ」と笑顔で話しかけた。

「こんにちは、ダルマンさん」

「おお、アンジェじゃねえか。らっしゃい」

 ダルマンと呼ばれたおっさんはアンジェの顔を見るとニッと歯を見せ笑った。

「紹介するわ。こちら【商人マーチャント】のダルマンさん。父親の友人なの」

「ど、どうも。ムギトっす」

「おう、よろしくな坊主」

 あれ、名乗った意味は?

 そう思ったが、ダルマンが豪快に笑っていたので、俺は突っ込むことなく半笑いした。

 ところでこの人、商人って言ったが凄い筋肉だ。この人しかり、ミドリーさんしかり、どうして正拳突きで敵を吹っ飛ばせそうな人ばかりなのだ。何この世界。商人って素早さは高くても力はないタイプなんじゃないの? みんな俺より強そうなんだけど。

 薄目にしながらアンジェとダルマンさんのやり取りを見る。ここは道具屋のようですでにコアから加工されていた商品が並んでいた。

「見ていくか坊主。今日は変わり物いっぱい仕入れてるぞ」

「へー……んじゃ、遠慮なく」

 興味本位で商品を眺める。それぞれ値札と仕様説明の書かれた商品ポップが置かれていたので初めて見るものでもどんな道具が粗方想像できた。

 小さな茶色のコアが組み込まれた銅製のベル。これは「アース・コア・ベル」と言ってゴーレムを召喚するベルらしい。これで農作業や工場の手伝いをしてもらうのだそうだ。

 その隣の赤いコアが入ったランタンは「ファイヤ・コア・ランプ」見た目通り蝋燭いらずのランプだ。こういった日用品も置かれているらしい。植物も置かれているが、こちらは薬草のようだ。解毒や麻痺、火傷を治す薬になるとか。

 それから、小さいが赤いコアがほぼむき出しになった球体もあった。ただし、これに手を伸ばそうとするとアンジェに「待って」と止められた。

「それはファイヤー・コア・ボール……火炎玉だから触るの注意して」

「うお、あぶねっ。ありがとう、アンジェ」

 すかさずアンジェに礼を言うと、そのやり取りを見ていたダルマンさんが不思議そうに首を傾げた。

「なんだ坊主……こんな道具の使い方わかんねえのか。どっから来た?」

「あ、いや、えっと……実は記憶喪失でして」

「なんだと? それでアンジェの世話になってるってのか。お前も相変わらずお人好しだな」

「好きでやってるからいいのよ。それに、彼がいるから淋しくないしね」

「まあ、お前がいいならいいが……坊主、あんま迷惑かけるなよ」

「う、うっす。頑張るっす」

 そう返すと歯を見せて笑ったダルマンにバシバシと肩を叩かれた。本人は軽く叩いているつもりだろうが、強打の音が聞こえるくらいの力なので俺は半笑いして痛みを堪えることしかできなかった。

 そんな平和的なやり取りも隣のテントから聞こえてきた荒々しい声で取りやめとなる。
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