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第6章 森の奥の隠れ里
第89話 懐かれてしまった
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「まったく、教育に良くないですなあ」
ニヤニヤしながらライザに言うと、鋭い眼差しで睨まれた。だが、いくら睨まれたって何も怖くない。ざまあ見やがれ。
必死に笑いを堪えていると、やがてライザは嘆息をつき、リオンを手招きした。
「お前も来い。一緒に行くぞ」
だが、リオンはふるふると首を横に振り、俺の太ももにしがみついた。
「いやだ。今日はムギト君と一緒に寝る」
「は??」
その発言に、俺とライザの声が重なった。
「何言ってるんだお前……そいつはあぶねえ奴なんだからこっちに来いって」
「いやだいやだ。ムギト君と一緒がいい」
ライザがもう一度説得するが、リオンは断固拒否する。というか、「あぶねえ奴」ってなんだよ。いや、今の姿は確かに危ないかもしれないけど。
だが、俺をよそに兄弟のやり取りはまだ続く。
「その前に、こいつがお前の部屋で寝るんだから、お前のベッドねえぞ」
「同じベッドで寝るから大丈夫。お兄ちゃんもそうするんでしょ?」
「……そうだがよ」
「いや、そこは否定しろよ、兄として」
思わずツッコミを入れるが、ライザに睨まれて終わった。一方、リオンは「やだやだ」とまだ駄々をこねている。これには完全にライザも困り果てていた。
「別に俺はリオンと一緒でいいけどよ……文句言える立場じゃねえし」
渋い顔をしながら頬を掻くと、すぐさまリオンが「本当!?」と反応した。ここまで目を輝かせ、嬉しそうな顔をされると俺も無下にできなかった。それは、兄であるライザも同感のようだ。
「……わかったよ。お前に任せる」
「わーい!」
了承を得た途端、リオンは楽しそうな声をあげながら部屋を駆け巡る。そんな彼を見て、ライザは深いため息をついた。
「……リオンの身に何かあったら撃ち殺すからな」
「しねえって。これでも命の恩人なんだし」
「ちっ……まあ、それもそうか」
はしゃぐリオンを眺めながら、ライザはがしがしと自分の頭を掻く。彼も色々と諦めがついたようだ。
「リオン。俺は行くからあとは頼んだぞ」
「はーい。いってらっしゃーい」
にこにこと笑いながらリオンはライザに向かって大きく手を振る。そんな彼に「やれやれ」と言いながら、ライザは家を出た。
……さて、どうしようか。引き受けたはいいが、正直子守りはしたことがない。アンジェはそういうの得意そうではあるが、彼は彼で本調子でないし、何より俺はこのリオン様にご指名を受けている。
「とりあえず、着替えていいか?」
「僕もパジャマになるー!」
リオンは元気よく手を挙げ、俺が寝ていた部屋に戻っていく。そういえば、この部屋がリオンの部屋なのか。
いやはやと思いつつ、ようやく着衣にありつけた。その隣でリオンも服を脱ぎ、タンスから寝巻らしきローブを取り出してそれに着替える。
「……そのローブでかくね?」
身長に合っていないだぼだぼの袖を見ながら言うが、リオンは不思議そうに首を傾げる。どう見てもぶかぶかなのに、リオンは何も気にしていないようだ。寝巻なのだからいいのかもしれないが。
「もう夜だから寝るぞ」
そう言って先にベッドの中に入ると、リオンは再び布団ごと俺の上に乗ってきた。
「え? そこでいいの?」
「うん」
俺に抱き着きながら、リオンはコクリと頷く。ノアにしろ、リオンにしろ、どうしてみんな俺の上に乗りたがるのだろう。
そんなことを考えていると、突然リオンが俺に問うてきた。
「ねえねえ。ムギト君たちはあの森の向こうからやってきたの?」
「ん? まあ、そうだけど……」
「あの森の向こうには、何があるの?」
「何って……草原と、『オルヴィルカ』って街があるかな。俺もこっちに来たばかりだからそんなに詳しくないけど」
俺の答えにリオンが「おるびるか?」と目を丸くしている。そして、終いにはこんなことまで俺に訊いていた。
「ねえ、街ってなあに?」
「え? 街?? お前、街のこと知らないの?」
尋ねるとリオンは「うん」と即答する。と言っても、なんて説明すれば通じるのだろうか。
ニヤニヤしながらライザに言うと、鋭い眼差しで睨まれた。だが、いくら睨まれたって何も怖くない。ざまあ見やがれ。
必死に笑いを堪えていると、やがてライザは嘆息をつき、リオンを手招きした。
「お前も来い。一緒に行くぞ」
だが、リオンはふるふると首を横に振り、俺の太ももにしがみついた。
「いやだ。今日はムギト君と一緒に寝る」
「は??」
その発言に、俺とライザの声が重なった。
「何言ってるんだお前……そいつはあぶねえ奴なんだからこっちに来いって」
「いやだいやだ。ムギト君と一緒がいい」
ライザがもう一度説得するが、リオンは断固拒否する。というか、「あぶねえ奴」ってなんだよ。いや、今の姿は確かに危ないかもしれないけど。
だが、俺をよそに兄弟のやり取りはまだ続く。
「その前に、こいつがお前の部屋で寝るんだから、お前のベッドねえぞ」
「同じベッドで寝るから大丈夫。お兄ちゃんもそうするんでしょ?」
「……そうだがよ」
「いや、そこは否定しろよ、兄として」
思わずツッコミを入れるが、ライザに睨まれて終わった。一方、リオンは「やだやだ」とまだ駄々をこねている。これには完全にライザも困り果てていた。
「別に俺はリオンと一緒でいいけどよ……文句言える立場じゃねえし」
渋い顔をしながら頬を掻くと、すぐさまリオンが「本当!?」と反応した。ここまで目を輝かせ、嬉しそうな顔をされると俺も無下にできなかった。それは、兄であるライザも同感のようだ。
「……わかったよ。お前に任せる」
「わーい!」
了承を得た途端、リオンは楽しそうな声をあげながら部屋を駆け巡る。そんな彼を見て、ライザは深いため息をついた。
「……リオンの身に何かあったら撃ち殺すからな」
「しねえって。これでも命の恩人なんだし」
「ちっ……まあ、それもそうか」
はしゃぐリオンを眺めながら、ライザはがしがしと自分の頭を掻く。彼も色々と諦めがついたようだ。
「リオン。俺は行くからあとは頼んだぞ」
「はーい。いってらっしゃーい」
にこにこと笑いながらリオンはライザに向かって大きく手を振る。そんな彼に「やれやれ」と言いながら、ライザは家を出た。
……さて、どうしようか。引き受けたはいいが、正直子守りはしたことがない。アンジェはそういうの得意そうではあるが、彼は彼で本調子でないし、何より俺はこのリオン様にご指名を受けている。
「とりあえず、着替えていいか?」
「僕もパジャマになるー!」
リオンは元気よく手を挙げ、俺が寝ていた部屋に戻っていく。そういえば、この部屋がリオンの部屋なのか。
いやはやと思いつつ、ようやく着衣にありつけた。その隣でリオンも服を脱ぎ、タンスから寝巻らしきローブを取り出してそれに着替える。
「……そのローブでかくね?」
身長に合っていないだぼだぼの袖を見ながら言うが、リオンは不思議そうに首を傾げる。どう見てもぶかぶかなのに、リオンは何も気にしていないようだ。寝巻なのだからいいのかもしれないが。
「もう夜だから寝るぞ」
そう言って先にベッドの中に入ると、リオンは再び布団ごと俺の上に乗ってきた。
「え? そこでいいの?」
「うん」
俺に抱き着きながら、リオンはコクリと頷く。ノアにしろ、リオンにしろ、どうしてみんな俺の上に乗りたがるのだろう。
そんなことを考えていると、突然リオンが俺に問うてきた。
「ねえねえ。ムギト君たちはあの森の向こうからやってきたの?」
「ん? まあ、そうだけど……」
「あの森の向こうには、何があるの?」
「何って……草原と、『オルヴィルカ』って街があるかな。俺もこっちに来たばかりだからそんなに詳しくないけど」
俺の答えにリオンが「おるびるか?」と目を丸くしている。そして、終いにはこんなことまで俺に訊いていた。
「ねえ、街ってなあに?」
「え? 街?? お前、街のこと知らないの?」
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