転生するのにベビー・サタンの能力をもらったが、案の定魔力がたりない~最弱勇者の俺が最強魔王を倒すまで~

葛来奈都

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第14章 旅立ちへ

第188話 セリナの調べもの

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「まあ、入れよ」

 いつの間にかリオンの頭から降りたノアが玄関の前に立っている。近くにいたセリナがドアを開けてみせると、彼女の表情が一気に輝いた。

「わあ……みなさんも見てくださいよ」

 セリナに呼ばれて家の中に入ってみると、確かに素敵な内装だった。

 レンガ調のキッチンに部屋の中心に四人掛けのテーブルが一つ。しかも食器棚やアイス・コア・ボックスまである。こじんまりとした小さい家ではあるが、二階はロフトのように梯子がかかってあるから、寝るところにも困らなさそうだ。ただ、無人だっただけあって、埃だけはところどころ溜まっていた。

「まずは掃除からってところね」

「あ、それは私に任せてください」

 腕まくりをしようとしていたアンジェをセリナが止める。けれども彼女はなぜか玄関の扉を開け、一度家の外に出た。

「お願い、ゴレちゃん、ムンちゃん」

 セリナの両手がオレンジ色に光ったと思ったら、今度はその手を地面につけた。

 地面がもこもこと蠢いたと思うと、そこからゴーレムたちがピョンと元気に飛び出た。久しぶりに見たセリナのゴーレムたちだ。しかし、「ゴレちゃん」「ムンちゃん」と言った割にはゴーレムたちが三匹も四匹も生まれてきている。

「それではみなさん、おうちのお掃除をお願いしますね」

「ム~~!」

 セリナの命令に小さなゴーレムたちが気合い満々に両腕をあげる。ざっと数えても十体以上はいるだろう。そんなゴーレムたちがわらわらと家の中に入っていき、みんなで掃除をし始めた。

「な、なんて便利な能力……」

「本当、セリちゃんが居れば人手に困らないわね」

 働くゴーレムたちを見ながらアンジェと一緒に感心していると、セリナは「えへへ」と照れ臭そうに笑った。けれども、その可愛らしい笑顔もすぐに消える。

「その間……みなさんに私が調べていたことを報告しようと思っていたのです」

 セリナの発言でアンジェの眉がピクリと動いた。

「それはもしかして、あたしがセリちゃんに頼んでいたこと?」

「はい、そうです」

「──聞きましょう。みんなもいい?」

 アンジェに言われ、無言で首を縦に振る。俺たちの真剣な雰囲気はリオンにも伝わったらしく、忙しなく掃除をしていたゴーレムを物珍しそうに見ていた彼もこちらにやってきた。

 話し合いの場所は外だった。ちょうど外にテーブルにできそうな切り株があったので、俺たちはそれを囲んでセリナの報告を聞くことにした。

「私が調べていたことは、みなさんがこれまで戦ってきた人間の魔王の配下です」

「人間のって……あのギルドを爆破した野郎とかか?」

 セリナが頷く。

 彼女が調べたのは三人。ギルドを爆破したあのクソ野郎。エルフの森を襲った【魔物使いテイマー】のアルジャー。そして、先日戦った【暗殺者アサシン】のパルスだ。

「最初に会ったフードの男は『ケイン』という者でした。自分の生まれ育った町の住民を大量虐殺して指名手配になってます」

 彼女が鞄から取り出したのは彼の似顔絵が書かれた指名手配書だった。あの時と同様、フードがついた服を着ており、人を小馬鹿にするようにニヤリと笑っていた。

「アルジャーという人は、所属していたサーカス団の団員たちを殺して金品を奪ったという事件を起こしています。こちらも指名手配書がありました」

 セリナが見せてくれたのはピエロの姿をしたアルジャーとリッチーヌが描かれた手配書だ。ピエロのペイントも目の下に雫のような模様が描かれていただけだったので、彼の面影はきちんと残っていた。

「そして最後──パルスですが、指名手配書はありませんでしたが、【暗殺者《アサシン》】だけあって名は知れていたようです。勿論、殺し屋として」

「なるほど……まあ、あいつらならお尋ね者と言われても納得するわな」

 ペラッと指名手配書を手に取ってまじまじと見つめる。絵で描かれているのに本物そっくりだ。きっと画家みたいなクラスの人が描いたのだろう。髪色も瞳の色もちゃんとカラーで描かれている。

「僕も見るー」

 奴らの似顔絵に興味を持ったリオンが、あぐらをかいた俺の上に乗りながら顔を覗き込んできた。

「……あれ、この人……前に会った時となんか違う気がする」

 リオンが不思議な顔でアルジャーの指名手配書を指す。確かにピエロの姿ではあるが、そこまで違和感を抱くほどではない。

 しかし、リオンの違和感は正しかった。

「この人って……目の色、赤かったっけ?」

「え?」
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