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第15章 絶望の街『イルニス』
第198話 兄弟、束の間のじゃれあい
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「でも、兄ちゃんはどうやってここまで来たの?」
「あ、そうだ。俺もまだそれを聞いてねえ」
急に話題が変わってライザは「あ?」と小首を傾げたが、抱きしめていたリオンの腕を解いて彼の胸元で光る緑色の石のペンダントを指で弾いた。
「これでリオンの在り処を探って追ってきた。以前、オリビア……こいつの母親が『誰かが迷子になってもすぐに合流できるように』って作っていてな。まあ、本当に使うことになるとは思わなかったが」
と、ライザは服のポケットをごそごそと探り出した。
出てきたのはリオンのペンダントより一回り大きい緑色の水晶玉とウィンド・コア・ピンによく似た羽ペンだ。一見丸く加工したウィンド・コアに見えるが、なぜかホタルの光のような淡い光が水晶玉の中で点滅している。
「こ、これは……」
出てきた不思議な道具を前にセリナがそわそわし始めた。どうやら見知らぬ道具を前に【創設者】心がくすぐられているらしい。
「あ、あの、こちらの道具を鑑定してもいいですか?」
「鑑定? 別に構わないが……ほら」
と、ライザに道具を渡されるとセリナは「失礼します」と頭を下げた。その空気を読んでか、リオンも首にかかっていたペンダントを手渡す。それらの道具を受け取ったセリナは切り株の上に丁寧に並べ、一つ一つ鑑定を始めた。
「『鑑定魔法』」
魔法を詠唱すると同時に、セリナの両手がオレンジ色に光る。
鑑定を見るのはリオンもライザも初めてのようで、興味津々にセリナのことを見ていた。だが、どんなに二人にまじまじと見られてもセリナの集中力は一切切れず、終始真剣な顔で鑑定をしていた。
暫時の沈黙。やがて三つの道具を鑑定し終えたセリナが感嘆の息を漏らした。
「凄いです……この水晶玉でこちらのペンダントの在り処を追跡して、この羽ペンでこの光るところを刺せばその場所に瞬間移動できるみたいです。しかもウィンド・コア・ピンのように使い捨てじゃない。一体どうやったらこんな品物が……」
と、鑑定を終えたあともセリナの目は輝いていた。簡単にいえば、この道具があればライザはすぐにリオンの元に駆け付けられるということらしい。
あれ、待てよ。ということはつまり……。
「……お前、俺たちを信じてリオンを預けてくれたんじゃねえの?」
「んなことできるか、阿呆。生体反応がなくなったら即座にお前らぶっ潰すつもりでいたわ」
俺の問いにライザが眉間にしわを寄せて答える。あんな別れ方をしたものの、結局こいつもリオンが心配で仕方がなかったという訳だ。まあ、当然と言えば当然か。
「とにかく、せっかく来たのだから少しくらいゆっくりしたら?」
一通りのやり取りを見ていたアンジェが、ここぞとばかりに提案する。確かにこんなところで立ち話するよりも茶でも飲みながらくつろいだほうがいいだろう。何より、リオンが一番ライザとゆっくり話をしたいはずだ。
「そうだな。なら、持て成してもらおうか」
そう言ってライザはゆっくりと立ち上がり、俺を差し置いて家の中へと入っていった。
偵察ついでに買い出しも行ってきてくれたらしく、アイス・コア・ボックスにはどんどん食材が入っていった。幸い、食器類も残っていたからお茶くらいはすぐに用意できた。
アンジェがお茶を淹れ、セリナが買ってきた物を片付けている間も、リオンはライザにべったりだった。今だってライザの膝の上に乗りながら、ノアのことを抱っこしている。
「あのね、この子はノアっていうんだよ。猫って言う生物なんだって」
「へえ、これが。噂にはかねがね聞いていたが、実物は初めて見るな」
「ノアは喋るし、お姉さんにもなるし、背中に乗れるくらい大きくもなるんだよ。猫って凄いよね」
「おーい、リオン君。お兄ちゃんに間違った情報を教えちゃだめだぞー」
微笑ましい兄弟のやり取りを見守っているつもりだったが、たまらずツッコミを入れてしまう。そのやり取りを見てアンジェもセリナもクスクスと笑った。
「あ、そうだ。俺もまだそれを聞いてねえ」
急に話題が変わってライザは「あ?」と小首を傾げたが、抱きしめていたリオンの腕を解いて彼の胸元で光る緑色の石のペンダントを指で弾いた。
「これでリオンの在り処を探って追ってきた。以前、オリビア……こいつの母親が『誰かが迷子になってもすぐに合流できるように』って作っていてな。まあ、本当に使うことになるとは思わなかったが」
と、ライザは服のポケットをごそごそと探り出した。
出てきたのはリオンのペンダントより一回り大きい緑色の水晶玉とウィンド・コア・ピンによく似た羽ペンだ。一見丸く加工したウィンド・コアに見えるが、なぜかホタルの光のような淡い光が水晶玉の中で点滅している。
「こ、これは……」
出てきた不思議な道具を前にセリナがそわそわし始めた。どうやら見知らぬ道具を前に【創設者】心がくすぐられているらしい。
「あ、あの、こちらの道具を鑑定してもいいですか?」
「鑑定? 別に構わないが……ほら」
と、ライザに道具を渡されるとセリナは「失礼します」と頭を下げた。その空気を読んでか、リオンも首にかかっていたペンダントを手渡す。それらの道具を受け取ったセリナは切り株の上に丁寧に並べ、一つ一つ鑑定を始めた。
「『鑑定魔法』」
魔法を詠唱すると同時に、セリナの両手がオレンジ色に光る。
鑑定を見るのはリオンもライザも初めてのようで、興味津々にセリナのことを見ていた。だが、どんなに二人にまじまじと見られてもセリナの集中力は一切切れず、終始真剣な顔で鑑定をしていた。
暫時の沈黙。やがて三つの道具を鑑定し終えたセリナが感嘆の息を漏らした。
「凄いです……この水晶玉でこちらのペンダントの在り処を追跡して、この羽ペンでこの光るところを刺せばその場所に瞬間移動できるみたいです。しかもウィンド・コア・ピンのように使い捨てじゃない。一体どうやったらこんな品物が……」
と、鑑定を終えたあともセリナの目は輝いていた。簡単にいえば、この道具があればライザはすぐにリオンの元に駆け付けられるということらしい。
あれ、待てよ。ということはつまり……。
「……お前、俺たちを信じてリオンを預けてくれたんじゃねえの?」
「んなことできるか、阿呆。生体反応がなくなったら即座にお前らぶっ潰すつもりでいたわ」
俺の問いにライザが眉間にしわを寄せて答える。あんな別れ方をしたものの、結局こいつもリオンが心配で仕方がなかったという訳だ。まあ、当然と言えば当然か。
「とにかく、せっかく来たのだから少しくらいゆっくりしたら?」
一通りのやり取りを見ていたアンジェが、ここぞとばかりに提案する。確かにこんなところで立ち話するよりも茶でも飲みながらくつろいだほうがいいだろう。何より、リオンが一番ライザとゆっくり話をしたいはずだ。
「そうだな。なら、持て成してもらおうか」
そう言ってライザはゆっくりと立ち上がり、俺を差し置いて家の中へと入っていった。
偵察ついでに買い出しも行ってきてくれたらしく、アイス・コア・ボックスにはどんどん食材が入っていった。幸い、食器類も残っていたからお茶くらいはすぐに用意できた。
アンジェがお茶を淹れ、セリナが買ってきた物を片付けている間も、リオンはライザにべったりだった。今だってライザの膝の上に乗りながら、ノアのことを抱っこしている。
「あのね、この子はノアっていうんだよ。猫って言う生物なんだって」
「へえ、これが。噂にはかねがね聞いていたが、実物は初めて見るな」
「ノアは喋るし、お姉さんにもなるし、背中に乗れるくらい大きくもなるんだよ。猫って凄いよね」
「おーい、リオン君。お兄ちゃんに間違った情報を教えちゃだめだぞー」
微笑ましい兄弟のやり取りを見守っているつもりだったが、たまらずツッコミを入れてしまう。そのやり取りを見てアンジェもセリナもクスクスと笑った。
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