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第15章 絶望の街『イルニス』
第199話 仲間になるのはお断り
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しかし、そんなのほほんとした空気もすぐに取りやめとなった。
「それよりも……話せよ。今の世界の状況を」
リオンを膝の上に乗せたまま、ライザがいきなり真顔になる。
「これでもエルフの長なんでな。リオンに会う口実とはいえ、里の連中にも伝えなきゃいけない」
「お前……なんか前より正直になったな……」
サラリと本音が混ざっているが、長の仕事はきちんとやっているみたいだ。
「空の色が変わって里の連中も不安がっている。実際のところ、どうなんだ?」
「ああ……事態は最悪だよ。なんせ魔王様が復活しちまったんだからな」
ため息をしつつ、ライザにこれまでのことを話した。魔界にいた魔王がついに動き出したこと。天界にいる女神に認められ、この四人とノアで魔王を討伐しにいくこと。そして、復活した魔王が異世界から転生した俺の実弟であることも。
話している時、ライザは常に表情を変えなかった。だが、ライトのことを話した時だけわずかに眉をひそめた。
「お前がどの悪魔の赤子かと思っていたが……魔王の赤子とは誰も思わんわな」
リオンの頭を軽く撫でたライザが、深いため息をつく。俺のことを最初から怪しんでいただけあって、ライトが魔王だったことは驚いていないようだ。
「んで、お前は実の弟とやりあえるのかよ」
「まあ、刺し違えても止める気ではいるよ。ただ──」
「ただ、実力差が目に見えてるってか?」
間髪入れずにライザに図星をつかれ、堪らず押し黙る。一度共に戦ったことがあるからこそ俺の実力について期待はしていないようだが、そうやってライザに冷ややかな目で見られるのはつらいものがあった。
「あの……ライザさんのお力を借りることはできないのでしょうか?」
おそるおそる提案してくるセリナに、ライザは困ったように頭を掻いた。そして一息ついた後、はっきりとこう言った。
「悪いな。それだけはできない」
「あら……連れないわね。あたしたちと一緒じゃご不満? あなたもリオちゃんのそばにいられるんだから、いいんじゃなくて?」
アンジェも後押しするように聞いてみるが、ライザはそれでも断った。それは奴なりの固い意志があるからだった。
「……こいつと一緒にいれるからだよ。これからの戦いの最中、絶対俺はリオンの命を優先して護ってしまう。でも、命をかけてでも護らないといけないのはこいつだ」
名前は呼ばれなかったが、ライザからの視線でわかった。
ライザの言う通りだ。俺はこの戦いで死んではいけない。その理由も俺は知っているし、おそらくこいつも気づいているのだろう。
「どうせお前だけなんだろ? 魔王とその一派をぶっ飛ばせるの」
その問いに俺は黙ったまま首を縦に振る。そのリアクションにライザは「やっぱりな」と納得したように頷いた。
「アルジャーっつったか? あの【魔物使い】、俺の銃弾を散々食らっておいて生きていたからな。だが、お前の一撃であっけなく死んだ。多分、お前のへんてこなフォークじゃないととどめを刺せないんだろうよ」
「そっか……バトルフォークの素材が銀だからですね」
思い出したようにセリナが言う。そういえば、以前セリナにバトルフォークを鑑定してもらったことがあった。このバトルフォークには「魔除けの力」が強く出ていること。そして、持ち主である俺の魔力でしか反応しないことも。
「魔王の配下であっても、魔物であれば俺たちでも殺せる。実際、アルジャーのペットはリオンとそこのカマ野郎が仕留めたしな。けど、アルジャーはそれができなかった。違いは、おそらく『恩恵』だ。どうせその『恩恵』も魔王からなんだろうがな」
淡々と語るライザに迷いはなかった。だが、核心は突いている。その証拠に、ライザが話している最中ノアがずっとニヤニヤしていた。
「こいつ……面白いな」
ボソッと呟いたノアの言葉はライザには届いていない。けれども、ノアが一番望んでいたはずだ。「こいつを仲間にしたかった」と。だが、残念ながらそれは叶うことはない。
「勇者様を護れない足手まといは、最初からいないほうがいい。それに、リオンは俺がいなくても大丈夫だろ」
そう言いながら、ライザはリオンの頭を優しく撫でる。しかしその表情はどことなく寂しそうで、「苦肉の策なんだ」というのがひしひしと伝わった。
「それよりも……話せよ。今の世界の状況を」
リオンを膝の上に乗せたまま、ライザがいきなり真顔になる。
「これでもエルフの長なんでな。リオンに会う口実とはいえ、里の連中にも伝えなきゃいけない」
「お前……なんか前より正直になったな……」
サラリと本音が混ざっているが、長の仕事はきちんとやっているみたいだ。
「空の色が変わって里の連中も不安がっている。実際のところ、どうなんだ?」
「ああ……事態は最悪だよ。なんせ魔王様が復活しちまったんだからな」
ため息をしつつ、ライザにこれまでのことを話した。魔界にいた魔王がついに動き出したこと。天界にいる女神に認められ、この四人とノアで魔王を討伐しにいくこと。そして、復活した魔王が異世界から転生した俺の実弟であることも。
話している時、ライザは常に表情を変えなかった。だが、ライトのことを話した時だけわずかに眉をひそめた。
「お前がどの悪魔の赤子かと思っていたが……魔王の赤子とは誰も思わんわな」
リオンの頭を軽く撫でたライザが、深いため息をつく。俺のことを最初から怪しんでいただけあって、ライトが魔王だったことは驚いていないようだ。
「んで、お前は実の弟とやりあえるのかよ」
「まあ、刺し違えても止める気ではいるよ。ただ──」
「ただ、実力差が目に見えてるってか?」
間髪入れずにライザに図星をつかれ、堪らず押し黙る。一度共に戦ったことがあるからこそ俺の実力について期待はしていないようだが、そうやってライザに冷ややかな目で見られるのはつらいものがあった。
「あの……ライザさんのお力を借りることはできないのでしょうか?」
おそるおそる提案してくるセリナに、ライザは困ったように頭を掻いた。そして一息ついた後、はっきりとこう言った。
「悪いな。それだけはできない」
「あら……連れないわね。あたしたちと一緒じゃご不満? あなたもリオちゃんのそばにいられるんだから、いいんじゃなくて?」
アンジェも後押しするように聞いてみるが、ライザはそれでも断った。それは奴なりの固い意志があるからだった。
「……こいつと一緒にいれるからだよ。これからの戦いの最中、絶対俺はリオンの命を優先して護ってしまう。でも、命をかけてでも護らないといけないのはこいつだ」
名前は呼ばれなかったが、ライザからの視線でわかった。
ライザの言う通りだ。俺はこの戦いで死んではいけない。その理由も俺は知っているし、おそらくこいつも気づいているのだろう。
「どうせお前だけなんだろ? 魔王とその一派をぶっ飛ばせるの」
その問いに俺は黙ったまま首を縦に振る。そのリアクションにライザは「やっぱりな」と納得したように頷いた。
「アルジャーっつったか? あの【魔物使い】、俺の銃弾を散々食らっておいて生きていたからな。だが、お前の一撃であっけなく死んだ。多分、お前のへんてこなフォークじゃないととどめを刺せないんだろうよ」
「そっか……バトルフォークの素材が銀だからですね」
思い出したようにセリナが言う。そういえば、以前セリナにバトルフォークを鑑定してもらったことがあった。このバトルフォークには「魔除けの力」が強く出ていること。そして、持ち主である俺の魔力でしか反応しないことも。
「魔王の配下であっても、魔物であれば俺たちでも殺せる。実際、アルジャーのペットはリオンとそこのカマ野郎が仕留めたしな。けど、アルジャーはそれができなかった。違いは、おそらく『恩恵』だ。どうせその『恩恵』も魔王からなんだろうがな」
淡々と語るライザに迷いはなかった。だが、核心は突いている。その証拠に、ライザが話している最中ノアがずっとニヤニヤしていた。
「こいつ……面白いな」
ボソッと呟いたノアの言葉はライザには届いていない。けれども、ノアが一番望んでいたはずだ。「こいつを仲間にしたかった」と。だが、残念ながらそれは叶うことはない。
「勇者様を護れない足手まといは、最初からいないほうがいい。それに、リオンは俺がいなくても大丈夫だろ」
そう言いながら、ライザはリオンの頭を優しく撫でる。しかしその表情はどことなく寂しそうで、「苦肉の策なんだ」というのがひしひしと伝わった。
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