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第15章 絶望の街『イルニス』
第202話 爆破事件、勃発
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そうこうしている間にも子供たちも俺のリフティングに飽きてしまったらしく、リオンと子供たちが雑談を始めていた。
「ねえねえ、見ない子だけど、どこから来たの?」
「えっと……『オルヴィルカ』というところ。昨日から来たの」
「へー、知らない場所だー」
街の子供たちが人見知りすることなくリオンに話しかける。エルフの隠れ里では迫害されていたリオンは同年代の子と話すのは殆どなかっただろうから、緊張しているように見えた。
「んで、お前らこんなところで遊んでいていいのか? 魔物とか襲ってきてるんだろ?」
リフティングを終えたボールを返しながら聞いてみると、子供たちはみんな口を揃えて「うーん」と唸った。
「家にいてもつまらないしな」
「うん。父ちゃんも母ちゃんも元気ないし、『行ってきます』って言っても返ってこないし」
「なんか、『全部どうでもよくなった』って言ってたよ」
さらりと流すように話してくれる子供たちだが、その証言に俺は表情を強張らせてしまった。これは大人たちのメンタルは相当来ている。
大人たちは空が赤くなった時点で諦めてしまったのだ。魔王が復活して動き出したら、最初に滅ぶのは魔王の拠点に近いこの街だ。だが、ここから逃げたところで魔王をどうにかしない限り世界は滅ぶ。だからもう彼らはすでに生きる気力をなくしているのだろう。魔王に一番近い街は、滅びにも一番近かったのだ。
現状は、俺が思っているよりもずっと重たかった。けれども、今の俺には彼らの親や彼ら自身も安心させられるような言葉が浮かんでこなかった。言えることもせいぜいこれだけ。
「……お前らも、達者でな」
俺の言葉にキョトンとした子供たちだったが、素直に「うん!」と頷いてくれた。その眩しい笑顔と明るさが逆に俺の胸を痛ませた。
「じゃーな、ピエロ!」
「君もまたね!」
立ち去る子供たちが、別れ際に俺たちに手を振ってくれる。きっと彼らはこのままだと世界が滅ぶということを理解していないのだろう。
「──責任重大だな、勇者様」
ノアが俺の内心を諭すように言う。しかし、こいつの言う通りだ。彼らの明るい未来は俺にかかっている。だからこそ、俺は振り返ってノアに向けて深く頷いた。
──爆発音が鳴ったのは、まさにその時だった。
慌てて振り向くと、爆発したのはマーケットワゴンだったことがわかった。木製のマーケットワゴンが木っ端微塵になるほど木片が辺りに散らばっている。爆風による砂煙のせいで被害の状況はまだわからないが、中には爆発に巻き込まれた買い物客もいたようで、パニックになった人たちが悲痛な叫び声をあげていた。
爆発したマーケットワゴンを前に呆然と立ち尽くしていると、騒ぎに紛れてコロコロとボールが転がっているのが見えた。あのボールは、さっき俺がリフティングしたボールだ。
見覚えのあるボールを前に目を瞠っていると、やがて砂煙が晴れていった。
飛び込んできた光景に俺たち三人は息を呑んだ。先ほどまで笑っていた子供たちが頭から血を流して横たわっているのだ。中には粉砕したマーケットワゴンの木片が腕や頭に刺さった子もいる。生きているかどうかも、正直ここからではわからない。
だが、駆け寄ろうとしたところで今度は民家が爆発した。しかも木造の外壁が爆発物のせいで火が点いてしまい、メラメラと燃え始めている。
「誰か水属性の者はいないか!」
「シスターを呼べ! それとありったけのクーラの水を持ってこい!」
街の男たちが指示をするが、混乱のせいで誰も聞いていなかった。パニックになった人々はただその場から逃げるので精一杯だったのだ。家が燃えても、子供たちが血を流しても、見向きもしない人が殆どだ。
そんな混乱の渦の中、俺はリオンに向けて声をあげていた。
「ねえねえ、見ない子だけど、どこから来たの?」
「えっと……『オルヴィルカ』というところ。昨日から来たの」
「へー、知らない場所だー」
街の子供たちが人見知りすることなくリオンに話しかける。エルフの隠れ里では迫害されていたリオンは同年代の子と話すのは殆どなかっただろうから、緊張しているように見えた。
「んで、お前らこんなところで遊んでいていいのか? 魔物とか襲ってきてるんだろ?」
リフティングを終えたボールを返しながら聞いてみると、子供たちはみんな口を揃えて「うーん」と唸った。
「家にいてもつまらないしな」
「うん。父ちゃんも母ちゃんも元気ないし、『行ってきます』って言っても返ってこないし」
「なんか、『全部どうでもよくなった』って言ってたよ」
さらりと流すように話してくれる子供たちだが、その証言に俺は表情を強張らせてしまった。これは大人たちのメンタルは相当来ている。
大人たちは空が赤くなった時点で諦めてしまったのだ。魔王が復活して動き出したら、最初に滅ぶのは魔王の拠点に近いこの街だ。だが、ここから逃げたところで魔王をどうにかしない限り世界は滅ぶ。だからもう彼らはすでに生きる気力をなくしているのだろう。魔王に一番近い街は、滅びにも一番近かったのだ。
現状は、俺が思っているよりもずっと重たかった。けれども、今の俺には彼らの親や彼ら自身も安心させられるような言葉が浮かんでこなかった。言えることもせいぜいこれだけ。
「……お前らも、達者でな」
俺の言葉にキョトンとした子供たちだったが、素直に「うん!」と頷いてくれた。その眩しい笑顔と明るさが逆に俺の胸を痛ませた。
「じゃーな、ピエロ!」
「君もまたね!」
立ち去る子供たちが、別れ際に俺たちに手を振ってくれる。きっと彼らはこのままだと世界が滅ぶということを理解していないのだろう。
「──責任重大だな、勇者様」
ノアが俺の内心を諭すように言う。しかし、こいつの言う通りだ。彼らの明るい未来は俺にかかっている。だからこそ、俺は振り返ってノアに向けて深く頷いた。
──爆発音が鳴ったのは、まさにその時だった。
慌てて振り向くと、爆発したのはマーケットワゴンだったことがわかった。木製のマーケットワゴンが木っ端微塵になるほど木片が辺りに散らばっている。爆風による砂煙のせいで被害の状況はまだわからないが、中には爆発に巻き込まれた買い物客もいたようで、パニックになった人たちが悲痛な叫び声をあげていた。
爆発したマーケットワゴンを前に呆然と立ち尽くしていると、騒ぎに紛れてコロコロとボールが転がっているのが見えた。あのボールは、さっき俺がリフティングしたボールだ。
見覚えのあるボールを前に目を瞠っていると、やがて砂煙が晴れていった。
飛び込んできた光景に俺たち三人は息を呑んだ。先ほどまで笑っていた子供たちが頭から血を流して横たわっているのだ。中には粉砕したマーケットワゴンの木片が腕や頭に刺さった子もいる。生きているかどうかも、正直ここからではわからない。
だが、駆け寄ろうとしたところで今度は民家が爆発した。しかも木造の外壁が爆発物のせいで火が点いてしまい、メラメラと燃え始めている。
「誰か水属性の者はいないか!」
「シスターを呼べ! それとありったけのクーラの水を持ってこい!」
街の男たちが指示をするが、混乱のせいで誰も聞いていなかった。パニックになった人々はただその場から逃げるので精一杯だったのだ。家が燃えても、子供たちが血を流しても、見向きもしない人が殆どだ。
そんな混乱の渦の中、俺はリオンに向けて声をあげていた。
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