転生するのにベビー・サタンの能力をもらったが、案の定魔力がたりない~最弱勇者の俺が最強魔王を倒すまで~

葛来奈都

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第16章 魔王は4人で倒すもの

第218話 『この世界を殺すため』

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「言っておくが、あやつらが同化したからと言って、貴様と同化するのはごめんだぞ」

「奇遇だな。俺もだよ」

 悪態をつきながらもバトルフォークを構えると、セトも「やるか?」と手をかざした。

 かざした手から三叉槍が出てくる。三叉槍からは電流がバチバチと流れ出ていた。もうすでに魔力が溢れているように見える。武器も、なんなら中身ですらも先ほどと変わらないはずなのに、肌で感じ取れる殺気が今までと違う。呼吸が勝手に浅くなるほど、セトには圧力がある。こいつは情けのかけらもない。本気で俺たちと──旧友ノアを殺す気だ。

「お前……どうしてそこまでして戦うんだよ」

 震える体を抑え込みながらセトに問う。すると、彼は目を見開きながら歯を見せて俺に答えた。

「決まってるだろ。この世界を殺すためだよ」

 その答えと迷いなく狂った眼差しでようやく理解した。この世界を潰したかったのはライトではない。セトだ。これはこいつの復讐劇。魔王ライトですらも、あいつの駒でしかない。

「殺させねえよ。世界も、ライトも」

 バトルフォークを握り直しながら、徐に後ろを振り返る。そこにはいつにも増して真剣な表情を浮かべた仲間たちが臨戦態勢になっていた。

「ごめん。もう一戦付き合ってくれ」

 多分、これで最後だ。けれども、一人ではきっと死ぬ。そうやって仲間たちに請うと、彼らはニッと口角を上げた。

「わかってるよ、ムギト君」

「最初からそのつもりだから安心して」

「サポートは任せてください」

 そう言ってくれる仲間たちの迷いない表情を見ていると、自然と笑みがこぼれた。大丈夫。一人じゃない。その思えるだけで、俺の手に自然と力が籠った。

「そんじゃ、戦うとしますか」

 俺たちの戦意を感じたセトが、不敵に笑いながら指をパチンと鳴らした。それが俺たちの戦いの合図でもあった。

「雷の魔法はこうやって使うんだよ!」

 セトが高らかに声をあげながら三叉槍の切っ先を天に向ける。すると、バチバチと流れ出ていた電流が一気に切っ先に集まってきた。集まった電流が球体に変化する。エレキボールだ。

 セトが三叉槍を大きく振り下ろすと、生まれ出たエレキボールがこちらに向かって飛んできた。

 スピードに乗ったエレキボールがまっすぐこちらに飛んでくる。当たったら感電することまちがいないだろう。だが、エレキボールを避けている間もセトの三叉槍からはどんどんエレキボールが生まれており、休む暇もなく次々と飛んでいった。

 避けられないスピードではないものの、次々と飛んでくるエレキボールの間をかいくぐるには反射神経を研ぎ澄ます他なかった。避けるだけでギリギリなのに、これではとてもセトには近づけない。

「ほらほら、まだあるぞ」

 笑いながらセトが三叉槍を空へと突き出すと、三叉槍を中心に黒い雷雲が渦巻き始めた。落雷魔法が来る。けれども、こんなにも辺りにエレキボールが散りばめられているなら、落雷など避けられない。

 そう思った時、リオンが声をあげた。

「みんな! こっちに来て!」

 リオンのひと声で、全員がリオンのそばに寄る。だが、寄ったところで黒雲からはバチバチと音を鳴らしながらプラズマが発生していた。雷が落ちてくるまで、もう数秒もない。

 そう思った時、リオンが天に向けて両腕を目いっぱい伸ばした。

「護って! 『風の盾ウィング・シールド』」

 その詠唱と共に、リオンを中心にドーム型の風の護りが俺を包み込んだ。

 風の盾であるはずなのに、雷が落ちてきても稲妻は風の護りを通さない。エルフの力が流れているリオンが詠唱破棄をせずに唱えた風属性の守備魔法だ。守備力が段違いだ。問題があるとすれば、俺たちもここから動けないということ。そして、俺たちを一か所にまとめたことがセトの狙いだったということだ。

「はい、ご苦労さん」

 労いの言葉とは裏腹に、冷ややかな眼差しを浮かべたセトが三叉槍の切っ先を向ける。

 三叉槍の切っ先からはバチバチと電流が流れていた。しかし、今回はエレキボールも、少し前にライトが飛ばしたような火球も出てこない。ただどこかから漂い始める焦げ臭いにおいに嫌な予感がした。
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