ドゥームレジスター

バルッ!!

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炎の封印を解放し、一行は炎の峡谷を後にした。その途中、大地は何か言い知れぬ不安を覚えていた。力を得た充実感と同時に、この力が呼び寄せる新たな敵の存在を意識せざるを得なかった。

「大地、大丈夫か?」
ロイクが横から声をかける。

「ああ、ちょっと考え事してただけだ。」

「そりゃそうだろ。あんな力を手にしたんだからな。けど、無理はするなよ。俺たちも一緒なんだから。」

その言葉に大地は微笑み、小さく頷いた。


一行が砦に戻る道中、伝令が急いで駆け寄ってきた。彼の表情は険しく、緊迫した様子が伝わってくる。

「フィーネ教官!砦からの緊急報告です。北方の『氷の大地』で異常が発生しています!」

「氷の大地……?」
エリオットが地図を広げ、北方の広大な凍土を指差した。

「ここは数百年前からほとんど人が近づかない場所だが、古代遺跡が埋まっているとも言われている。」

「具体的には何が起きているんだ?」
フィーネが尋ねると、伝令は息を整えながら答えた。

「砦の偵察隊が異常な寒波と、氷に覆われた巨大な生物の痕跡を発見したとのことです。また、ローブを纏った集団が活動している形跡も……。」

「またローブの男たちか……!」
大地が拳を握りしめる。


「ここでじっとしている時間はないな。」
フィーネが即座に判断を下す。「砦に戻るのは後回しだ。北方の異変を直接確かめる必要がある。」

エリオットが地図を巻きながら補足する。
「氷の大地は炎の峡谷とは異なる危険が待ち受けているだろう。寒冷地での装備や準備が必要だ。」

「準備する時間はあるのか?」
ロイクが不安そうに尋ねると、フィーネは短く頷いた。

「必要最低限の装備を揃え、すぐに出発する。時間が惜しい。」


砦に立ち寄る時間も最小限に抑え、一行は氷の大地を目指して北へと進んだ。気温は次第に下がり、寒さが骨身に染みるようになってきた。道中、白い雪原が広がり、風の音だけが響く不気味な静寂が彼らを包み込む。

「炎の峡谷とは真逆の環境だな……。」
大地は息を吐きながら呟いた。白い息が冷たい空気に溶けていく。

「寒さは慣れるしかない。」
フィーネが凛とした表情で答える。「だが、この寒波は自然のものではない。強力な魔力が関係しているのは間違いない。」

「また試練ってわけか……。」
ロイクが苦笑しながら歩を進めた。


旅を続ける中、一行は凍りついた湖の近くで異常な光景を目にした。巨大な氷柱が無数にそびえ立ち、その間を何かが動き回っている。

「……あれは……魔獣か?」
大地が目を凝らすと、氷柱の間を抜けるように巨大な狼型の魔獣が現れた。その体は氷で覆われており、目は青白く光っている。

「氷狼(ひょうろう)だ。」
エリオットが険しい表情で言う。「寒冷地に現れる魔獣だが、これほど巨大な個体は見たことがない。」

「見てる暇はないぞ。来る!」
フィーネが剣を構えると同時に、氷狼が咆哮を上げ、一行に向かって突進してきた。


氷狼の動きは素早く、足元の氷を滑るように一行を翻弄する。その牙がフィーネを狙うが、彼女は鋭い剣捌きでそれをかわした。

「大地、隙を作るんだ!」
フィーネが叫ぶ。

「分かった!」

大地は「時の輪廻」の力を発動し、氷狼の動きを捉えようとした。しかし、氷狼の動きは異様に速く、時間を操る力でも完全には追い切れない。

「くそっ……このままじゃ……!」

そのとき、黒い本が微かに光り、静かな声が響いた。

《神野大地、貴方の力を自然の流れに合わせることで、新たな力を引き出すことが可能です。「氷の調和」を覚醒させなさい。》

「氷の調和……?」

《この環境と魔獣に適応する力。それが貴方に与えられる新たな力です。》

大地は深呼吸し、剣を握り直した。
「俺にできるなら……やる!」

剣が青白い光を放ち、周囲の冷気を吸収するように輝き始めた。

「これが……氷の調和の力……!」

大地の新たな力が、氷狼との戦いに新たな展開をもたらす――。
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