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一通の手紙
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お父さんが瀕死になって、ギルに助けられて数ヶ月が経った。ギルはラリサに似た人を知ってると言い、掛け合ってくれるとは聞いたが、遅すぎる…。
エリカは学校の帰りや暇な時は、父が行ったという泉に行ってみたりもするが、特に変化はない。泉も不純物がなく鏡のように透明で美しいものだった。
時々見知らぬ人が訪れる程度で、これといった情報がなく、約束を忘れ去られたんじゃないかという錯覚までしてしまう。俗に言う、"待ってる人は長い"というやつだ。
ギルと再び会うための手がかりもなく、八方塞がりである。エリカは泉のサークルに腰をかけ、ため息をついた。
「あーあ、もう何ヶ月経つの……。ギルには会えないし、あれ以来特に変化もない。ラリサって本当は居ないんじゃないのかって思えてくるわ…。
でも……、いるんだよね…」
エリカの手元には、エリカが7つの時に撮られた、ラリサを含めた4人の家族写真があった。ほとんど記憶にない朧げなラリサの姿が脳裏に浮かぶ。
「ラリサって…何が好きなんだっけ……」
10年以上経った今でも何故か、妹の姿を追ってしまう自分が時々嫌だった。でも、お母さんの悲しむ姿は見たくない…。だから、私は捜し続けてる。
──サクッ
何度目か分からないため息をつくと、聞き慣れない音が聞こえた。音を頼りに辺りを探すと、1本の矢が刺さっていた。
「……矢…だよね? 初めて見た…」
エリカは物珍しそうに、刺さっている矢をマジマジと見つめて、地面から抜いてみる。鏃は鉄で出来ているらしく、少し重かった。反対側を見ると、羽根のすぐ下に結び付けられた紙があった。矢文である。
「えっと、何々……」
エリカは紙を広げて数分ほどその体勢を崩さなかった。そして、ゆっくりと顔を上げ、一言。
「読めない!!! 何? これ?」
紙には、達者な筆字で書かれており、くずし字が使われていた。暗号のようにしか見えない文字ともう一度にらめっこする。
「…エリカ………返事………出来なかった?……手紙……返る………」
エリカは辛うじて読める部分を音読したが、なんのことかさっぱり分からなかった。ただ、多分、私の名前が入ってるのと、返事が遅れたことに関して謝っているような文章は見受けられた気がしたので、エリカ宛なのだろうとだけ分かった……と、思う。
そして、手紙の2枚目があることに気づき、再び目を通すが、やはり同じように読めず、1度家に帰ることになった。
エリカは学校の帰りや暇な時は、父が行ったという泉に行ってみたりもするが、特に変化はない。泉も不純物がなく鏡のように透明で美しいものだった。
時々見知らぬ人が訪れる程度で、これといった情報がなく、約束を忘れ去られたんじゃないかという錯覚までしてしまう。俗に言う、"待ってる人は長い"というやつだ。
ギルと再び会うための手がかりもなく、八方塞がりである。エリカは泉のサークルに腰をかけ、ため息をついた。
「あーあ、もう何ヶ月経つの……。ギルには会えないし、あれ以来特に変化もない。ラリサって本当は居ないんじゃないのかって思えてくるわ…。
でも……、いるんだよね…」
エリカの手元には、エリカが7つの時に撮られた、ラリサを含めた4人の家族写真があった。ほとんど記憶にない朧げなラリサの姿が脳裏に浮かぶ。
「ラリサって…何が好きなんだっけ……」
10年以上経った今でも何故か、妹の姿を追ってしまう自分が時々嫌だった。でも、お母さんの悲しむ姿は見たくない…。だから、私は捜し続けてる。
──サクッ
何度目か分からないため息をつくと、聞き慣れない音が聞こえた。音を頼りに辺りを探すと、1本の矢が刺さっていた。
「……矢…だよね? 初めて見た…」
エリカは物珍しそうに、刺さっている矢をマジマジと見つめて、地面から抜いてみる。鏃は鉄で出来ているらしく、少し重かった。反対側を見ると、羽根のすぐ下に結び付けられた紙があった。矢文である。
「えっと、何々……」
エリカは紙を広げて数分ほどその体勢を崩さなかった。そして、ゆっくりと顔を上げ、一言。
「読めない!!! 何? これ?」
紙には、達者な筆字で書かれており、くずし字が使われていた。暗号のようにしか見えない文字ともう一度にらめっこする。
「…エリカ………返事………出来なかった?……手紙……返る………」
エリカは辛うじて読める部分を音読したが、なんのことかさっぱり分からなかった。ただ、多分、私の名前が入ってるのと、返事が遅れたことに関して謝っているような文章は見受けられた気がしたので、エリカ宛なのだろうとだけ分かった……と、思う。
そして、手紙の2枚目があることに気づき、再び目を通すが、やはり同じように読めず、1度家に帰ることになった。
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