記憶のカケラ

シルヴィー

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ストーリー

帰宅

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ペディアはリュカスに指示し、街外れでリュカスの背から下ろしてもらった。街の中ではリュカスの存在がかなり目立つであろう雰囲気オーラと姿をしているため、1番小さな大型犬サイズになってもらった。

久しぶりに帰ってきた街は、活気あふれ、各々おのおのが商売をいとなんでいた。ある店の武器屋を通り過ぎようとした時、見知った顔が表に出てきた。

「あれっ?ペディア??」

「あ、ジニア!久しぶり~。元気だった?」

ペディアが手を振りながら駆け寄ると、不思議そうな顔をされた。

「もちろん!…えっと、その隣にいる白いのは……?」

「私の友だちよ。久しぶりに街に帰ってきたし、この子は初めてだから、案内がてら家に帰ろうと思って」

「なるほどね。ね、最近のうわさって聞いてる?」

「……うわさ?帰ってきたばっかりだから、知らないよ。どうしたの?」

ペディアが不思議そうに聞き返すと、ジニアはサッと辺りを見回し、店の奥へとリュカスを先に入れてから、背中を強く押してくる。

「早く中に入って。あなたも目立つから」

「わ、分かった」

リュカスと一緒に店の奥へ入ると、ジニアが小声で打ち明けた。

「あのね、あなたのお父さんの様子がおかしいの。あちこち回ってはペディアのことを聞いて回ってて…。ジニアは何かあるのかなって思ったけど、しばらく会ってなかったし、疑問だったんだけど…」

『ペディア、この者ジニアに伝えよ』

しばらく黙っていたリュカスが念話をしてきた。人語を話せる魔物は最上級魔物の中でも上位しか居ない希少なものだからだろう。ジニアを驚かせないために安全策をとったらしい。

「…ね、ジニア。この子がね、街の様子がピリピリしてるって言ってるんだけど……。」

「そうなの。よく聞いて、ペディア。あの人は……。ペディアのお父さんじゃない。別の何かよ。みんな、あの雰囲気に怯えてるの。下手したら街全体が破壊されかねないって」

ジニアは言いにくそうに言葉を切りつつ、思い切ったように話してくれた。言われて、1度見た父ならぬ何かの存在を思い出した。
確かに、アレは1人で対処しきれるものじゃない。でも…、どうにかしなきゃ、街の人が…。

ペディアは悩んだ末に言う。

「ごめんね、ジニア。私、あの家で気になることがあるの。それを探すために戻ってきたの。とりあえず…、あの人に見つからないようにしなきゃ行けないってことだけは分かった。

……うわさ話をしてくれてありがとう。もう行くね」

「あっ、待ってよ!ペディア。……本当に…気をつけてね…?何かあったらすぐ言ってよ!」

「うん」

ジニアは泣きそうな顔で心配してくれた。私は大丈夫だと笑顔で告げてリュカスと共に武器屋を出る。

『ペディアよ、本当に良いのか?』

「なにが? お父さんに会えたらいいけど…、そうじゃない場合が怖いな…。でも、覚悟の上だから、大丈夫」

リュカスはなにか言いたげの様子だったが、結局何も話さないまま家に着いた。門をくぐろうとしてリュカスに止められた。

めておけ。結界が張られている。恐らくこの種の結界は……』

リュカスは一旦言葉を区切って、分析を始めた。

『やはり。此奴こやつは屋敷に入る者を拒んでいる。そして、ペディアが入ることによって結界が解除され、おぬしの父ならぬ誰かが戻ってくることになろう。

我に付いてこい』

リュカスはそう言って家周辺を回り始めた。その間にペディアはアガーべを呼ぶことにした。(『夢渡り』参照)

「ペディ姉!!」

「うわぁっ!」

ペディアが声をかけたと途端、家からアガーべが飛び出してきた。ドスンっという音と共に後ろに倒される。その様子を気にせずリュカスは尋ねた。

『……ふむ、おぬしがアガーべと名乗る者か?』

「うん? うんっ! そうだよ。姉ちゃんが付けてくれたんだ」

アガーペはペディアを押し倒したままの姿勢で、リュカスにニッコリ笑いながら頷く。ペディアは打ち付けた頭を擦りながら言う。

「アガーべ~。挨拶するのはいいけど、退いてくれない?」

「あっ、ごめん」

アガーべが体を起こしてペディアを解放すると、家の中の様子を教えてくれた。

「今は誰も家にいないよ。ただ、あの人が設置したものがあって、触らない方がいいと思うから教えるね」

『ペディア、アガーべ、ここから入れ。結界を壊さぬよう穴を開けた』

「ありがとう」

「狼さん器用だね?」

『このくらい容易たやすいことだ』
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