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ストーリー
父の行方
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彼にバレたと思った瞬間、ペディアは柱の陰から飛び出した。アガーべの声が聞こえた気がするが、身体は思うままに動き、彼の目の前に姿を現す。
「……ほう? わざわざお前の方からやってくるとは…。捜していたぞ」
彼は歪に顔を歪め、父らしかぬ笑いを上げる。姿かたちは見知った人であるのに、目の前のいる者は父ではない。その事はペディアにとって胸が裂けそうな思いだった。
「……ねぇ、お父さんをどこへやったの? なんでお父さんの体にいるの?」
「ハハハハハ!! 何を言い出すかと思えば、そんなことか! よく聞くがいい。この体の持ち主は10年前に既に死んでいるわ! ……愚か者が。そんなことも知らずに今まで生きてきたのか?」
愉快そうに笑ったかと思うと、低い声で問いかけてきた。ペディアはその言葉を必死で否定する。
「嘘だ! お父さんは生きてる! だって今まで一緒に居たんだもん!」
ペディアは泣きそうだった。嘘だって言ってよ。演技だって言ってよ。お父さんはいい人なんだから……。
そんなペディアの心の声を聞いたかのように、彼は両手に魔力を込め、戦闘準備をしながら近づいてくる。
「……教えてやろうか?」
ペディアはじりじりと、彼から目を離さずに後ろへ下がる。パニックで頭は真っ白になり、どうすべきか分からなかった。しかし、彼は言葉を続ける。
「お前はなぁ…!! 何も知らないんだよ。
何も知らないままのうのうと生きてきた! 俺は見てきたぜ? どうにかしてこの体に入ろうと躍起になってた時から、ずーっと見てきたからなあっ!」
手のひら大の魔力の塊が飛んでくる。ペディアは本能的に避けるが、反撃出来なかった。
「なんで、なんで…!! お父さん! 帰ってきてよ! どうして抵抗しないの…。あの時みたいに抵抗してよ!!」
「クハハハハ!! 滑稽だ。もっと俺を楽しませろ。おまえも早くしねぇと死んじまうぞ? 正当防衛だろ? 攻撃しに来いよ!!」
「嫌だ! お父さんの体を傷つけたくない! じゃないと…、私が殺したみたいになるじゃない……」
右へ、左へ、時には後ろに下がりながら攻撃を躱していたペディアだったが、精神的ショックでもう限界だった。何もしたくなかった。
彼の魔力球がペディアに当たりそうになった時、柱の陰から様子を窺っていたリュカスが飛び出てきた。ペディアを体当たりし、球の攻撃範囲から外に出す。
そこでようやく、彼は攻撃を止めた。
「仲間か? どっちにしろ、俺は殺すだけだあァアア!!」
『お主! ペディアを連れてこの結界を出ろ! 我は後から行く!』
「分かった!」
アガーべは呆然としているペディアの中へ入り込み、結界の外を目指して走り出した。彼は後を追いかけようとしたが、リュカスに行く手を遮られた。
「逃がしてたまるかっ!」
『お前の相手は我だ。彼奴に追いつきたければ、我を殺してからいけ』
リュカスは視界のギリギリ内側に見えるペディアの姿が結界の外へと消えた時、少し安堵の息を漏らした。
「俺はさぁー、お前にも怨みがあるんだぜ? あの時はよくも、俺たちの家族を貶めてくれたよなぁー? 残虐に殺してくれたよなぁー?」
『ふんっ、お前にもう少し脳ミソがあればここまですることはなかったろう。しかし、後世までその念を持ち込んでくることは赦さぬ』
リュカスはどうやってこの場を切り抜けようか考えていた。魔法での攻撃?目くらましで抜ける?クリスタルに閉じ込める?──いや、クリスタルは時間がかかりすぎる。もっと何か良い方法は…
「ゆるさない? 何を言っているんだ? 俺は俺たちの大事な仲間を殺した血筋を全員殺してぇんだよ! 仇討ちだ。まずはお前から殺る!!」
『やれるものなら、やってみるが良い』
「その言葉、後悔させてやる!!」
彼は巧みに魔力を操りリュカスをあらゆる手で殺そうと試みる。表向きには憎悪の念がハッキリと見えるが、リュカスにはその裏にある悲しみの念が渦巻いているのを感じていた──。
「……ほう? わざわざお前の方からやってくるとは…。捜していたぞ」
彼は歪に顔を歪め、父らしかぬ笑いを上げる。姿かたちは見知った人であるのに、目の前のいる者は父ではない。その事はペディアにとって胸が裂けそうな思いだった。
「……ねぇ、お父さんをどこへやったの? なんでお父さんの体にいるの?」
「ハハハハハ!! 何を言い出すかと思えば、そんなことか! よく聞くがいい。この体の持ち主は10年前に既に死んでいるわ! ……愚か者が。そんなことも知らずに今まで生きてきたのか?」
愉快そうに笑ったかと思うと、低い声で問いかけてきた。ペディアはその言葉を必死で否定する。
「嘘だ! お父さんは生きてる! だって今まで一緒に居たんだもん!」
ペディアは泣きそうだった。嘘だって言ってよ。演技だって言ってよ。お父さんはいい人なんだから……。
そんなペディアの心の声を聞いたかのように、彼は両手に魔力を込め、戦闘準備をしながら近づいてくる。
「……教えてやろうか?」
ペディアはじりじりと、彼から目を離さずに後ろへ下がる。パニックで頭は真っ白になり、どうすべきか分からなかった。しかし、彼は言葉を続ける。
「お前はなぁ…!! 何も知らないんだよ。
何も知らないままのうのうと生きてきた! 俺は見てきたぜ? どうにかしてこの体に入ろうと躍起になってた時から、ずーっと見てきたからなあっ!」
手のひら大の魔力の塊が飛んでくる。ペディアは本能的に避けるが、反撃出来なかった。
「なんで、なんで…!! お父さん! 帰ってきてよ! どうして抵抗しないの…。あの時みたいに抵抗してよ!!」
「クハハハハ!! 滑稽だ。もっと俺を楽しませろ。おまえも早くしねぇと死んじまうぞ? 正当防衛だろ? 攻撃しに来いよ!!」
「嫌だ! お父さんの体を傷つけたくない! じゃないと…、私が殺したみたいになるじゃない……」
右へ、左へ、時には後ろに下がりながら攻撃を躱していたペディアだったが、精神的ショックでもう限界だった。何もしたくなかった。
彼の魔力球がペディアに当たりそうになった時、柱の陰から様子を窺っていたリュカスが飛び出てきた。ペディアを体当たりし、球の攻撃範囲から外に出す。
そこでようやく、彼は攻撃を止めた。
「仲間か? どっちにしろ、俺は殺すだけだあァアア!!」
『お主! ペディアを連れてこの結界を出ろ! 我は後から行く!』
「分かった!」
アガーべは呆然としているペディアの中へ入り込み、結界の外を目指して走り出した。彼は後を追いかけようとしたが、リュカスに行く手を遮られた。
「逃がしてたまるかっ!」
『お前の相手は我だ。彼奴に追いつきたければ、我を殺してからいけ』
リュカスは視界のギリギリ内側に見えるペディアの姿が結界の外へと消えた時、少し安堵の息を漏らした。
「俺はさぁー、お前にも怨みがあるんだぜ? あの時はよくも、俺たちの家族を貶めてくれたよなぁー? 残虐に殺してくれたよなぁー?」
『ふんっ、お前にもう少し脳ミソがあればここまですることはなかったろう。しかし、後世までその念を持ち込んでくることは赦さぬ』
リュカスはどうやってこの場を切り抜けようか考えていた。魔法での攻撃?目くらましで抜ける?クリスタルに閉じ込める?──いや、クリスタルは時間がかかりすぎる。もっと何か良い方法は…
「ゆるさない? 何を言っているんだ? 俺は俺たちの大事な仲間を殺した血筋を全員殺してぇんだよ! 仇討ちだ。まずはお前から殺る!!」
『やれるものなら、やってみるが良い』
「その言葉、後悔させてやる!!」
彼は巧みに魔力を操りリュカスをあらゆる手で殺そうと試みる。表向きには憎悪の念がハッキリと見えるが、リュカスにはその裏にある悲しみの念が渦巻いているのを感じていた──。
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