学校閉鎖

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一年五組

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「利奈おっはよ~!」

「おはよう、雪!」


私の名前は、森下  利奈。
ついこの前まで小学生をやっていた私もついに、中学生デビュー。

まだまだ分からないことはあれど、着実に一歩ずつ、「中学生」らしさに近づいていると思います。

いつものように親友の雪と待ち合わせをして、学校へ向かう。


「……あ、あかりだ」

「え、あかりって誰?」

あかり、というのは、一年五組の――私のクラスメイトだ。

普段あまり話さないから性格は分からないけど、静か目で身長はあまり高くなくて、普通くらい。
ただ運動がすごい上手で、多分クラス一の身体能力の持ち主だと思う。

…なにより、顔がとっても整っている。

「んーっと…友達…?」
「なんで疑問系なのさ(笑)」
「いやあ、話したことなくて…」
「…それは友達っていうんか?」

そんな小話をしながら歩いていると、あっという間に学校へついた。

初めはなんだかどきどきした正門。

今はもう、慣れつつある。


「あ~、入学式の時も思ったけど、どうして一年って一番上なんだろ!階段メッチャ疲れるんだけど」

うちの中学ではクラスが最大六組まであり、一階特別教室類、二階三年生、三階二年生、四階一年生という風にわかれている。

なので一年生は毎日毎日、四階までの道のりを階段で登り降りしなければならない。

これが意外とキツい。


「だよねえ…。深い意味があるのかもしんないけど、それでもわりと面倒だし疲れるよね(笑)」
「いや、それな!」

でもこの階段も、友達とかと話していればあっという間に四階に着いてしまう。

「…じゃ、バイバーイ!」
「うん、じゃあね!」

廊下を小走りで抜けていく雪を、軽く目で追う。

どの階も棟で一~三組と四組~五組で分かれている。

雪は、三組。
だからいつもここで分かれてしまう。


「………はあ」


確か雪は、仲良くなれた人がいたって言ってたっけ。

…私はまだいないんだよなあ…。


引っ込み思案で自分から話しかけるなんて事が出来ない私は、入学して一、二週間経った今でも「仲が良い」と呼べる友達はいない。


他の子はもうグループが出来てしまっていて、入る隙もない。

それ以外の人も、読書ばっかりしていて話しかけづらい…。


…そもそも仲良くなるって、今までどうしてたっけ。
雪とはどうして知り合って、どう仲良くなって、今の今まで話すようになったんだろう。


「当たり前」で構成されている周りの様々な物の成り立ちを、私達は意外と知らない。


「……!」


少し暗い雰囲気で五組へ向かおうとすると、少し先に赤いリュックを背負った人物が廊下で戯れる様々な人々の群れを、するすると抜けながら歩いているのが見えた。


まるで周りの事など認識していないみたいに。

あたかもそこに、無いかのように。


一人で話す人がいなかったりすると、暇になるものだ。

読書も字ばっかりだし、漫画はもちろん持ってきちゃいけないのだから面白くない。

絵を書いたりする人もいるけれど、お世辞にも私の絵は上手いとは言えない。
まあ、もちろん好きじゃない。


と、なるとやることが無くなるわけだ。


「………あ、あの…」

廊下には人が溢れ帰り、最早通る余地は無い。

「うわっ!マジでやめろってお前ー!(笑)」
「あははははっ!」

「あの…ちょっと、―――………」

「………通し…て…」


なんでこんな声しか出ないの。

どうして私は雪みたいに、自分を強く持てないの。


ちょっと言うだけじゃない。


ごめん、通してって。


声、出て、声………!




――――本当にこんな消極的な自分が、嫌になる。




こんな些細なことで泣きそうになって、今にも崩れ落ちそうになるなんて。

私なんて消えれば良いのにな。

足の裏から崩れていって、元から無かったみたいになれば良いのに。

誰にも迷惑をかけないで、人知れず。



「ごめん。そこ通して」



その声に反応して顔を上げる。

声の主は、「あかり」だった。


ミステリアスな雰囲気をまとい、皆あかりのために道を開けていく。

あんなに騒がしかった廊下が一瞬だけ、静まり返った。

蒸し暑くてどうにもならないときに、風がさっと吹き抜けたみたいに。


あかりが人混みを抜け、私のほぼ目の前辺りまで来る。


周りに騒がしさが戻ってきた頃、後ろの方から――――

「通らないの?」

「えっ」


振り返ると、誰もいない。廊下を曲がったか、階段を降りたかなんだろう。


「あ…」

今なら廊下に少しだけ、通れそうな間が出来ている。

体をねじ込み、顔を低くして通り抜ける。


「ッはぁっ!」


抜けた勢いで少し走って、止まる。

口呼吸のまま振り返ると、自分達だけのセカイに入り込んだ人々が煩く騒いでいる。


ほんの数メートル先なのに、ずうっと先のところを眺めているような気分になった。

「………一時間目なんだったっけな」


目の前にある五組のドアを横にスライドさせ、いつものように一番後ろの自分の席に向かう。


リュックを机の上に置き、重力に任せて力なく椅子に座った。


『通らないの?』


…あれは、あかりの声だった。

ちょっとハスキーで大人っぽかったけど、その中に温もりが感じられるような声。


もしかしたら私のために…なんて都合の良い解釈をして、今日も一日を始めていく。


ガラッ


(あっ……あかりだ)


五組に入ってきたのはあかり。

いつものように凛とした表情で、ストレートに下ろした髪をふわりと浮かせつつ一番前の、あかりの席に座った。


(かっこいいなあ。雪とはまた違う感じの人で、シャキッとしてて、なんでも出来て…。)

あかりの姿勢の良い後ろ姿をちらちらと見ながら、リュックを自分のロッカーに押し込む。


席について、腕を組んで考えた。



(欲を言い過ぎかもしれない。…でも、思ったんだ。)


机に向けていた視線を、ゆっくりとあかりに向ける。


(あんな風になってみたい。こんな私を……変えてみたい)


だから私は、あかりの観察を始めてみた。


朝、八時半を過ぎるとチャイムが鳴って、全校生徒全員十分の読書タイムに入る。

当然本は見てるふりで、ずっとあかりを見ていた。


(さっきも思ったけどあかり…姿勢すごい良いな)

慌てて背筋を伸ばして、顔と机の距離をとる。

でも、ふと思った。

(……これ、おかしいかな。憧れる人の事ずっと見てるとか…気持ち悪いのかな)

自分がもしやられたらどう思うだろう。

…多分そんなことありえないけど。


………私は、嫌に感じるかな。…やめた方が…いいかな……。


どことなく自分のやってることに嫌悪感を抱き、読む気のない小説の一ページに視線を落とす。


――――八時四十分。
読書タイムの十分が終わり、朝学活が始まる。


「はいっ、それじゃあ皆本しまって~。学活始めま…」


いつものようにいつもの一日が始まるはずだった………―――その時。



「キャァアアアアッ!!」

バタンッ、ガタガタッ!


『!?』


明らかに普通ではない悲鳴と物音が四組側から聞こえ、教室内はどよどよと声が飛び交う。


「…!?な、なんだなんだ……!」

担任の原田先生が、慌てた様子でドアを開ける。

すると、そこには明らかに先生でも、学校関係者でもないであろう人物が立っていた。


精鋭部隊みたいな格好にトランシーバーを胸につけブーツを履いた先生など、この世に存在しないだろう。


「……え」

先生が言葉を発するより先に、その「異様な」人物が口を開いた。

「よォ、おはよーございます。センセー」

それはとても低く、寒気がするような冷えきった声色で。


教室内が静寂に包まれる。

次の瞬間。


ぶ、すっ。


という聞き覚えのない音が、小さく、鋭く鼓膜を刺激した。


「…ぁ……ッ!!」


先生が崩れ落ちると同時に、今まで聞いたことの無い――腹の底から恐怖に満ちた声が教室に跳ね返って、響き渡って、突き刺さった。


先生はうずくまり、ぶるぶると小さく震えている。


私は……あまりに現実離れした紛れのない現実についていけず、ただただぽかんと口を開けていた。


「………」

先生に『何かをした』その男は、右手に赤い液体の滴るナイフを握っていた。

そのナイフからポタポタと落ちていく雫は、うずくまる先生の白いシャツに赤いシミを作っていった。


「だぁまれ。」


その一言で、教室内の人間は声を取られてしまったかのように――言葉を発っさなくなった。


あかりの時とは違う、圧倒的な威圧感で。



「――まァとりあえずはおはようさん、一年五組の皆サマ」

その男は黒板の前に立ち、教卓の両脇に手を乗っけてそう言った。

男はまるで朝学活を進行する先生みたいに淡々と、その口を動かしていく。

「簡潔に言うと、まずここにいる全員、いや――この学校全員の命を、俺達が預かる形になった」

「えっ……?!」

思わず感情が声になって溢れる。

教室は静かにざわめいた。


「まあ預かると言っても、計画が上手くいけば全員、無事で終わるさ。――運がよけりゃあな」


男はそのまま話しているが、頭には何も入ってこない。


え、え?

何?私は…私達はただいつも通りの日常を過ごすハズだったし過ごしてただけなのに、え?



――――私達、死ぬの?


こんな、あっさり?
こんな、若いうちに?

見たこともない赤の他人に、自分の人生終わらされるの?


こんな……簡単に…………?




今だかつてないほど脳ミソはぐしゃぐしゃになって、頭が割れそうなほど「納得できない」言葉で頭の中が埋め尽くされていく。


その内、数分後、数十分後、数時間後の自分の未来を想像したとき―――視界がぼやけて、水滴が滴り落ちた。



……いやだ。嫌、嫌、嫌!!

こんなところで終わるなんて…無くなるなんて!!

こんな形は望んでない…!こんな形は絶対嫌だ!


なんで、なんで?どうしてっ…!!

何が、なにが目的でこんなことが出来るの?

人の命を、なんだと……

なんだと思ってるの!?


「まあそんなとこかぁ。細かい説明なんかだるいしな。さて…………!」


「え………?!」


男の視線の先を見ると、そこにはピンと手を伸ばすあかりの姿があった。


「あの、質問しても良いでしょうか」

「………………あ?」


あかりは、この場の全員が予想だにしないことを口に出した。

しかも、いつもと変わらない声色と凛とした表情で。


「………本来なにか抜かしやがるようなヤツはぶっ殺していい事になってるが――――」


その先を約束されないかもしれない未来を前にしても、あかりは微動だにせず手を伸ばしている。

「その態度気に入ったぜ。言ってみろ」

気味悪く、ニヤッと笑いながら男が言った。


あかりは手を下げ、授業で指されて答えるみたいな口調で言った。

「ありがとうございます。あなた方が学校内を占領し私達生徒を人質にして―――一体何が目的なのですか?」


……最早驚きすぎて、私は声も出なかった。

男も妙な顔をして、そして再び口を開いた。


「フッ……変なガキだなァ。それよりももっと、愛想のある質問できねーのかよ?――ま、いいだろ」


男は右手に握っていたナイフを教卓の上に置き、左手で白色のチョークをつまんだ。


ナイフを置くとき、ニチャ、という微かな音に鳥肌が立った。


「まずだなぁ、……こんなモンか」

カッ、カッと軽快な音を鳴らしながら、男は凹凸おうとつの「とつ」みたいなものを黒板に書いた。

「1。この学校を占拠して、お前らを人質にする。」

続けて棒人間が四角い箱を持っている絵を書いた。

「2、俺らのリーダーが警察だか銀行だか…まあその辺に電話をかける。」

その棒人間の横側に、今度は帽子を被った棒人間を書いた。

「金を用意しろ。一時間以内に、三億円ってな」

棒人間の顔は双方、笑っている。

「3、うまくいけば交渉成立。ハッピーエンドってわけだ!」

振り向いてチョーク受けにチョークを投げ置き、教室全体に伝えるように言った。

教室のあちこちから、すすり泣く声が聞こえてきた。

「ま、お前らはただ人質になってりゃいーんだよ。…そういうわけだ。わかったか?」

「………成る程」


あかりは男の足元辺りを見ている。


この頭のおかしい男の計画とやらを聞いたところで、あかりは何をするつもりなの…?

なにも出来ることなんか、ないのに……。


「よく、理解できました。考察した結果、私達に利点がありませんでした。ただただ、時間を無駄にするだけ…」


あかりは一言でそれを、言った。



男があかりの机の前に立つ。ナイフを右手に再び持ち――――


ガンッ!!

というにぶい音をたてながら、あかりの机に突き刺した。


「なんつった、今お前。もういっぺん言ってみろ」


あかりはうつむいていた顔を上げ、しっかりと男の顔を見て言った。


「あなた方のクソみたいな計画に付き合ってられるほど、私達は暇ではありません」


『!!』


これには男も目を見開き、驚いている。

この教室にいる全員、あかりの行動が読めなかった。


「もういいや。死ねよ、お前」


男が刺さっていたナイフを引き抜き、振りかぶったその瞬間。


「――――ですのであなた方にはちょっと、引き取ってもらいます」





――――その間、一秒ほど。



まずあかりが辞書でナイフを受け止め、机を前に蹴り出した。

男の下半身に机が当たり、男は動揺。

次にボールペンで右の手のひらを突き刺し――男は声を出してナイフを手放した。


あかりが椅子の上に立ち上がり男の脳天を肘で殴り付け、その後襟を持ち自身ごと床に倒れ――あかりは男をクッションに着地し、男はその勢いで顔を打ち付けた。


「そこのビニールテープ取って」

あかりはたった今おきた出来事を忘れたかのように、そして文化祭の準備をしているかのような言い方でそう言った。


クラスメイトの一人が、普通二秒くらいで行ける距離を十秒くらいかけて行って棚の中のビニールテープを持って帰ってきて、あかりにそれを手渡した。


「ありがとう」



「ぅ……ぐ………」

と、男は呻き声を上げて今のところ動く気配はない。

あかりは上から押さえつつ、ビニールテープで男の手や足などを一作業で縛っている。


「…ふう。一通り拘束はしたから、多分大丈夫。クラス全員で体の上に乗って、押さえつけておいて。それなら絶対平気だから」

そう言いながらあかりが立ち上がった。


「え、どこ……行くの?」


単純に思った言葉が自然と声に出る。


「他のクラスにも行ってくるだけ」

『!!』

クラスが再びざわめく。

中には、安心して声を出して泣く人もいた。

「しっ。静かに。勘づかれて仲間でも来たりしたら、もう何も出来ない」


『……!』


クラス全員が黙って首を縦に振った。


「うん、ありがとう」

あかりはそう言ってから、先生の所へ駆けつけた。



「先生、先生。聞こえますか?………ああ、分かりました。無理して喋らないで下さい。ちょっと、失礼します」


あかりはそう言って先生のシャツをボタンごと外し、自分のハンカチを取り出してから着ている洋服の袖部分を引きちぎった。


三十秒ほど経っただろうか。

「…よし。とりあえず応急処置はしましたが、超応急処置なので絶対安静にしていてください。」

そういいながらあかりは立ち上がり、さっき男が落としたナイフを拾い上げ、片手にぶら下げてドアの方へ歩き出した。


「……!」

「あ、あかりっ……!」


あ、……


「…――何?」


思わず、引き留めてしまった。

どうして?
なんで今私は…あかりの事を引き留めたの?

子供が大人をやっつけるなんて、不可能だ。
さっきのは不意をついていたし、マグレかもしれない。


…でも、あかりならもしかして出来るんじゃないか?

犯人全員を倒して、学校ごと救ってしまうんじゃないか――。

そんな期待は心の片隅にありはした。

けれど……。


「あ、あの……あのっ…………!」


もう他人任せで波に乗るのは、嫌なんだ!


「私も……一緒に行かせて…!」


                 おわり




あとがき


皆様、どうも初めまして。
セツナと申します。以後、お見知りおきくださいませ。

さて、この「学校閉鎖」の第一話、いかがでしたでしょうか?

この小説が処女作というわけで多少緊張といいますか…。
ぎこちなさや言葉の表現のおかしい部分があるかと思いますが、そこはご了承くださいますとありがたいです。

自分は自分の描きたいものを彩っていくだけですので、どうぞそれを楽しんでいただけたらと思います。


感想の方、よければお願い致します。

読んでくださいまして誠にありがとうございました!

次話もどうぞよろしくお願い致します。
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