モテる女の本気の恋

和泉愛乃

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第一章 初恋

第一話 今までの恋

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 小学校から高校2年のいままで、かなりモテてきたと思う。今まで付き合った人も、それなりにいい人たちだったと思う。それでも、私には恋が分からなかった。なぜなら、私は誰かを好きになったことがなかったから。
 好きだって言われたら、とりあえず付き合ってそのうち好きになれるかなって思いながら付き合ってた。でも、どの人にもどこか物足りなさを感じて、勉強を理由に別れを告げていた。実際、誰かと付き合い始めると、勉強に費やせる時間が減ってしまっていたのは確かで、10位以内から落ちてしまうこともあった。
 私の母親は生物学者をしていて、ほとんど日本にいることはないが、帰ってきたときによくいろんな生物の話をしてもらっていた。それから、生物が好きになりいつからか臨床検査技師を目指すようになっていた。その夢をかなえるためにも人一倍の努力が必要だと思っていた。こんなド田舎の公立進学校では、どこか限界があるような気がしていた。

雪菜ゆきな!!」
花沢はなさわさん?」
「雪菜、もう下校時間だから帰るよ?」
「あっごめん。すぐ準備して追いかけるから先行ってて」
 私、花沢雪菜に声をかけたのは、幼馴染の神田まな香かんだまなかと高校から仲のいい佐久間琴美さくまことみ。2人とも、図書室で勉強していて、下校時刻になっても切り上げてこない私を呼びに来てくれた。
 急いで片付けて、先に行った2人を追いかけた。2人とも、昇降口で待ってくれていた。そのまま帰りにコンビニで飲み物を買って、次のテストの対策だったりテスト明けのGWの話をしながら帰った。私とまな香の家はすぐ近くで、親同士も仲がいいこともあり、お互いの家に行ってご飯を食べあうことがあった。もう一人幼馴染都冬也みやことうやがいる。すごくかわいい顔をしていて、どんなときも私の相談に乗ってくれる。いつも3人で一緒にいることが多かったが、高校に上がってから冬也は部活に勉強に加えて、弟たちの面倒を見なきゃいけないみたいで一緒にいる時間が減っていた。

 今日は、私の家でまな香がご飯を食べに来ることになっていた。家に着くと玄関に何となく見覚えのある、でも家族のではない靴があってリビングのほうからは小さい子の声が聞こえた。
「ただいまー。冬也来てるの?」
「おかえり。正解!悪いんだけどまだご飯できてないから着替えて手伝ってくれる?」
「わかった。まな香、冬也手伝ってやりなよ」
「おう、助かる。唯のおむつ替え頼んでいいか?」
 私は、部屋に行って制服から着替えてお父さんの料理の手伝いをした。お母さんは、もうしばらく海外にいるらしい。でも、最近もう少ししたら帰れるかもと連絡があった。
「冬也たちも来るのは聞いてなかったよ。結構急だったの?」
「そうなんだよ、冬也君のとこのお母さんが急に出張になったみたいで明後日までいないんだって。父さんも明日は夜勤だからまな香ちゃんちにお願いしてあるから」
「そっか、わかった」

 しばらくして、私とお父さんとまな香、冬也と冬也の弟の風太と妹の唯と一緒にご飯を食べた。まな香はうちに泊まって一緒に勉強をして、冬也は下二人をお風呂に入れて自分の家に帰った。まな香は学年500人中5位以内に入るほど勉強ができる。両親ともに教師だというのが一番大きいと思う。それもどちらもAラン大学卒なため、まな香にも同じルートをたどってほしいらしい。うちは、生物学者の母と大学病院の医師をしている父。医者の家だと勉強や将来にうるさいといわれがちだが、二人とも私の将来に口を出したことはない。何になりたいのかを聞かれたことはあっても、お前は必ずこれになれといったことを言われたことは一度たりともなかった。そのうえ、私の夢を打ち明けるといろんな資料を集めてくれたり、大学進学のための積み立てを始めてくれたりした。

 そんな恵まれた家庭環境で育った私は、恋愛を続けるか将来をとるか天秤にかけたとき、この人とは一緒にいれないと思った瞬間に将来をとるようになった。
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