曲がった鼻と真っすぐな日々 ― 鼻中隔湾曲症手術記

Akkami

文字の大きさ
19 / 25

第19話 術後25日目 ~2回目の通院~

しおりを挟む
退院後、2回目の通院。
今日も鼻はVIP待遇。綿球スイートにご宿泊中、鼻洗浄は朝夕2便のシャトル運行。
それでも、腫れぼったい違和感と、触ると「おいおい」って抗議してくる軽い痛みは残っている。

主治医:「何か気になるところはありますか?」

自分:「ずっと、鼻がむくんだ偉い人みたいな顔してますね」

主治医:「それはしばらく続きます。鼻は神経が細かいので、完全回復まで数ヶ月~年単位、個人差あります」

自分:「えっ、年単位?(鼻、ロングラン公演すぎる)」

主治医:「では、見ますね。――お、だいぶ良い。かさぶた取ります」

自分:「はい。(また“キュイーン”来るやつ…!お願い、秒速でお願いします)」

麻酔をプシュッ。鼻の奥が一瞬で南国リゾート。
そして器具がキュイーンと入場。
鼻の中で、職人が畳の目を整えているみたいな繊細な作業が始まる。

自分:「(いってぇぇぇ…!いや、いってぇぇぇを過去形にしたい!終わってくれぇぇ)」

主治医:「……あれ、もう取れないですね」

自分:「(神よありがとう!)はい」

主治医:「もう一度やってみますね」

自分:「えっ(二回戦!?)……はい(鼻のHP、赤ゲージですけど!)」

数十秒後――

主治医:「やっぱりもう取れません。かさぶた、できてないですね」

自分:「そうなんすか?(かさぶた卒業証書、授与)」

主治医:「はい。術後の処置としては今日で完治です」

自分:「(あれ、意外とエンディングあっさり)」

主治医:「腫れぼったい感じや変な症状が続くなら連絡を。鼻洗浄は続けてもやめてもOK。質問は?」

自分:「(急に言われても…あ、そうだ)手術前、看護師さんが『先生なら間違いなく安心です!』って。ほんと先生で良かったです!」

主治医、まさかの大興奮&大喜び。
主治医:「アイツ、めっちゃくちゃいい奴なんですよー!!そんなこと言ってたのかぁ!いや~参ったな~、わっはっはっはー!」

自分:「(診察室の空気、急に祝賀会)」

主治医:「では、以上です」

自分:「ありがとうございました。看護師さんにもよろしくお伝えください!」

――かくして、術後の通院は拍子抜けするほど静かに幕を閉じた。

家に帰って、ふと洗面台の下を見る。
大量購入した鼻洗浄液のタワーが、こちらを見上げている。
「君たち…まだ出番、あるよ。うん、在庫処分セールはしない。もうちょい続けよう」

結論。手術して本当に良かった。
こんなに鼻から空気が入るとは。世界って、こんなに酸素あったんだ。
深呼吸すると、肺が「待ってた!」って拍手する。

もちろん、人によっては完治まで数ヶ月~年単位。自分も違和感はまだある。
でも、あの詰まり感と比べたら、今の違和感なんて、元気な新入社員みたいなもの。うるさくても、将来がある。

最後に一言。
痛みに弱い人、術後ケアが不安な人は、入院を強くお勧め。
看護師さんのサポートは、心の麻酔。
そして主治医の「大丈夫」は、痛みの天気予報。降るときは降る。けど、必ず晴れる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルファポリス投稿時間について

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスに投稿する時間はいつ頃がベストなのか?

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

どうしてそこにトリックアートを設置したんですか?

鞠目
ホラー
N県の某ショッピングモールには、エントランスホールやエレベーター付近など、色んなところにトリックアートが設置されている。 先日、そのトリックアートについて設置場所がおかしいものがあると聞いた私は、わかる範囲で調べてみることにした。

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

Web小説のあれやこれ

水無月礼人
エッセイ・ノンフィクション
 沢山の小説投稿サイトが存在しますが、作品をバズらせるには自分と相性が良いサイトへ投稿する必要が有ります。  筆者目線ではありますが、いくつかのサイトで活動して感じた良い所・悪い所をまとめてみました。サイト選びの参考になることができたら幸いです。 ※【エブリスタ】でも公開しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

24hポイントが0だった作品を削除し再投稿したらHOTランキング3位以内に入った話

アミ100
エッセイ・ノンフィクション
私の作品「乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる」がHOTランキング入り(最高で2位)しました、ありがとうございますm(_ _)m この作品は2年ほど前に投稿したものを1度削除し、色々投稿の仕方を見直して再投稿したものです。 そこで、前回と投稿の仕方をどう変えたらどの程度変わったのかを記録しておこうと思います。 「投稿時、作品内容以外でどこに気を配るべきなのか」の参考になればと思いますm(_ _)m

処理中です...