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I bad from humanworld
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過去、人間の世界は別の世界と繋がっていた。
日本に、人間と亜人が共に暮らす小さな村があった。
そんな中、ある人間は欲望に目を輝かせ、村の外に亜人を売った。
人間界と異界の扉は閉ざされた。
『純粋』は悪に成り下がる。
『悪意』は全員が持つ。
『終わり』は必ず来る。
親は人間によって死んだ。
兄はいつしか居なくなった。
一人になった。孤独。孤独だが、別に寂しくない。
周りに頼れる様な人は居ない。だから自分で生きている。他の動物の命を食べている。そうして自分は生きていると感じ始めたのはいつ頃からだろうか。
今日は釣った魚が三匹いるので、焼いて食べる事にした。
帰り道、人間によって伝えられた『電気』とやらで動く『テレビ』という四角い箱が売られているのを発見した。
自分は人間を憎んでいる。勝手な事情で殺された身内がいることで人間に怒りを覚えない奴はいないだろう。
ガラス張りの向こうに置かれたブラウン管を少し見つめていると、緊急速報と書かれた文字が現れた。
画面に映し出されたのは、国の拠点となるだろう建物だった。
『人間界への扉の鍵が盗まれた。』そう告げたニュースキャスターは焦る様子なく、ただ文を読み上げていた。
自分の体に鳥肌が立つのが分かるまでそう長くはかからなかった。
人間?
また悲劇は繰り返されるのか?
また大事な人を奪われるのか?
今の自分に大事な人なんていないけども、また人間がやってくるのか?
そんな悲劇は繰り返したくはない。自分で鍵を取り戻そうなんて無謀な事を考え始めたのはこのあたりだったな。
でも。この旅は決して無謀でなく、無駄でもなかったって今なら思える。
自分は……未来を。
変える。
***
やっぱり今の自分には犯罪組織とまともに戦える力は無い。
犯罪組織である事はその後ニュースで知った事だ。
あの悲劇から二日。帰り道に歩く路地裏は猫が喧嘩を繰り返す光景ばかりでつまらない。すれ違う人々は住処を追われ、生活を苦しみながら生きる人ばかり。それでも常識は備わっているらしく、自分の釣った魚を奪おうとしたり食料を乞う様な事はしない様だ。皆、人間の様に強欲で、自分の為なら築き上げてきた関係なんて一瞬で崩してしまう生物にならない様に必死で、生きる事にも必死で有る、二つの必死を抱えて生きる人々に救済を与える人は居ないのだろうか。
誰もが思うだろうが、誰もが『他の誰かが救うだろう』と考えを持っている。皆自分を生かすのに精一杯なのだ。
少し表に出て行くと、パーカーを羽織った女性に話しかけられた。
「…そこのアンタ、今、何かを背負っているだろう?」
いきなり話しかけては何を言うのだろうか。確かに今、自分は犯罪組織と戦おうと無謀な事を考えていたが。この人には思考を読む能力でも持っているのだろうか?
「だったらなんだってんだよ。」
「なに、少し面白い情報を手に入れたもんでさ、誰かに話したくて仕方がないって訳。」
女はにやけながら懐に忍ばせていた紙切れを取り出し、口を開いた。
「君の役に立つかどうかは知らないが、今回は特別に無料で提供してあげてもいいが?」
「くれるなら貰ってくけど?」
「君の名前は?」
会って間もない人に名前を教えるのかと言われようがここは人間界じゃない。個人情報云々は存在しない。
自分の名前はあまり好きではないが、「ライア」というものだと名を挙げると、『良い名だ』と言わんばかりの笑顔で紙を手渡してくれた。
「私はカルトレア。カルと呼んでくれてもいいぞ。」
そう言ったが早いか、ゴミ箱を蹴り、屋根へと素早く飛び去ってしまった。
直ぐに紙を広げると、まるで彼女が自分の思考を読んだことが事実の様な内容が書かれていた。
『人間界への鍵を奪った組織の者が近々行われる武道大会に出場するらしい』
日本に、人間と亜人が共に暮らす小さな村があった。
そんな中、ある人間は欲望に目を輝かせ、村の外に亜人を売った。
人間界と異界の扉は閉ざされた。
『純粋』は悪に成り下がる。
『悪意』は全員が持つ。
『終わり』は必ず来る。
親は人間によって死んだ。
兄はいつしか居なくなった。
一人になった。孤独。孤独だが、別に寂しくない。
周りに頼れる様な人は居ない。だから自分で生きている。他の動物の命を食べている。そうして自分は生きていると感じ始めたのはいつ頃からだろうか。
今日は釣った魚が三匹いるので、焼いて食べる事にした。
帰り道、人間によって伝えられた『電気』とやらで動く『テレビ』という四角い箱が売られているのを発見した。
自分は人間を憎んでいる。勝手な事情で殺された身内がいることで人間に怒りを覚えない奴はいないだろう。
ガラス張りの向こうに置かれたブラウン管を少し見つめていると、緊急速報と書かれた文字が現れた。
画面に映し出されたのは、国の拠点となるだろう建物だった。
『人間界への扉の鍵が盗まれた。』そう告げたニュースキャスターは焦る様子なく、ただ文を読み上げていた。
自分の体に鳥肌が立つのが分かるまでそう長くはかからなかった。
人間?
また悲劇は繰り返されるのか?
また大事な人を奪われるのか?
今の自分に大事な人なんていないけども、また人間がやってくるのか?
そんな悲劇は繰り返したくはない。自分で鍵を取り戻そうなんて無謀な事を考え始めたのはこのあたりだったな。
でも。この旅は決して無謀でなく、無駄でもなかったって今なら思える。
自分は……未来を。
変える。
***
やっぱり今の自分には犯罪組織とまともに戦える力は無い。
犯罪組織である事はその後ニュースで知った事だ。
あの悲劇から二日。帰り道に歩く路地裏は猫が喧嘩を繰り返す光景ばかりでつまらない。すれ違う人々は住処を追われ、生活を苦しみながら生きる人ばかり。それでも常識は備わっているらしく、自分の釣った魚を奪おうとしたり食料を乞う様な事はしない様だ。皆、人間の様に強欲で、自分の為なら築き上げてきた関係なんて一瞬で崩してしまう生物にならない様に必死で、生きる事にも必死で有る、二つの必死を抱えて生きる人々に救済を与える人は居ないのだろうか。
誰もが思うだろうが、誰もが『他の誰かが救うだろう』と考えを持っている。皆自分を生かすのに精一杯なのだ。
少し表に出て行くと、パーカーを羽織った女性に話しかけられた。
「…そこのアンタ、今、何かを背負っているだろう?」
いきなり話しかけては何を言うのだろうか。確かに今、自分は犯罪組織と戦おうと無謀な事を考えていたが。この人には思考を読む能力でも持っているのだろうか?
「だったらなんだってんだよ。」
「なに、少し面白い情報を手に入れたもんでさ、誰かに話したくて仕方がないって訳。」
女はにやけながら懐に忍ばせていた紙切れを取り出し、口を開いた。
「君の役に立つかどうかは知らないが、今回は特別に無料で提供してあげてもいいが?」
「くれるなら貰ってくけど?」
「君の名前は?」
会って間もない人に名前を教えるのかと言われようがここは人間界じゃない。個人情報云々は存在しない。
自分の名前はあまり好きではないが、「ライア」というものだと名を挙げると、『良い名だ』と言わんばかりの笑顔で紙を手渡してくれた。
「私はカルトレア。カルと呼んでくれてもいいぞ。」
そう言ったが早いか、ゴミ箱を蹴り、屋根へと素早く飛び去ってしまった。
直ぐに紙を広げると、まるで彼女が自分の思考を読んだことが事実の様な内容が書かれていた。
『人間界への鍵を奪った組織の者が近々行われる武道大会に出場するらしい』
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