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第11話 低音のイマシメ 前編
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校内放送が響いたのは五時限目と六時限目の間にある休憩時間。
『壱年死組の井ノ尾 継美さん。至急、職員室に来て下さい』
その放送を聞き、数人は顔を上げるが誰も気にしていない。それもそのはず、みんな彼女が何をしたのか知らない。
僕だけが、彼女が小西を突き飛ばし、列車事故を起こして殺人を図ろうとしていた事を知っている。
「…なんの用ですか名護先生。私、提出物出し忘れてました?」
数学担当教師の名護はいつもつまらない授業ばかりする。本当に退屈で、一番嫌いな教科と口にする生徒も少なくはない。
「…場所を変えようか。ここでは話しづらいんでね」
女性の先生だというのに声は低く…そんなに低くはないのか?でもアルトの位置、最悪テノールくらいはあると感じる。
案内されたのは生徒指導室。いつもクラスのゴミどもがよく来る場所だ。
「それで…なんですか?」
名護は下卑た甲高い笑い声を出しながらにやけながら言った。
『お前のせいで死傷者が三十二人も出たんだぞ?それなのに未だ余裕の表情で普通に生活できるってお前の精神どうなってんだよ』
———何故。何故コイツは知っている?
馬鹿な。コイツはどう考えてもあの人混みで私が小西を突き落とした所は見えていなかったハズ…
「何故分かったのか…気になるだろ?でもな…簡単に分かるんだよ」
それから名護は総てを話した。
まず、小西の証言。突き落とされたときに、井ノ尾がその日、何が有ったかは知らないが両手に絆創膏を大量に巻いていた事。そして、押された際に通常より手が分厚かったと述べたらしい。
そして、その際井ノ尾の後ろにいた生徒の証言から犯人を絞ったとのことだった。
「何故手に絆創膏を大量に巻いていたんだ?」
井ノ尾は笑い始めたと思えばすぐに口を開いた。
『指紋を残さない為ですよ、先生』
『壱年死組の井ノ尾 継美さん。至急、職員室に来て下さい』
その放送を聞き、数人は顔を上げるが誰も気にしていない。それもそのはず、みんな彼女が何をしたのか知らない。
僕だけが、彼女が小西を突き飛ばし、列車事故を起こして殺人を図ろうとしていた事を知っている。
「…なんの用ですか名護先生。私、提出物出し忘れてました?」
数学担当教師の名護はいつもつまらない授業ばかりする。本当に退屈で、一番嫌いな教科と口にする生徒も少なくはない。
「…場所を変えようか。ここでは話しづらいんでね」
女性の先生だというのに声は低く…そんなに低くはないのか?でもアルトの位置、最悪テノールくらいはあると感じる。
案内されたのは生徒指導室。いつもクラスのゴミどもがよく来る場所だ。
「それで…なんですか?」
名護は下卑た甲高い笑い声を出しながらにやけながら言った。
『お前のせいで死傷者が三十二人も出たんだぞ?それなのに未だ余裕の表情で普通に生活できるってお前の精神どうなってんだよ』
———何故。何故コイツは知っている?
馬鹿な。コイツはどう考えてもあの人混みで私が小西を突き落とした所は見えていなかったハズ…
「何故分かったのか…気になるだろ?でもな…簡単に分かるんだよ」
それから名護は総てを話した。
まず、小西の証言。突き落とされたときに、井ノ尾がその日、何が有ったかは知らないが両手に絆創膏を大量に巻いていた事。そして、押された際に通常より手が分厚かったと述べたらしい。
そして、その際井ノ尾の後ろにいた生徒の証言から犯人を絞ったとのことだった。
「何故手に絆創膏を大量に巻いていたんだ?」
井ノ尾は笑い始めたと思えばすぐに口を開いた。
『指紋を残さない為ですよ、先生』
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