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49【天使と悪魔】

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博達はドライアド達に蜜を渡しこの場から御退場いただき難を逃れた

【帝都ドラグマ王城】

そして現在、博は謁見の間で王様から殊勲を授与されている

「此度の働き誠に感謝する
そなたがいなければ妖精族との関係も最悪の形となっていたであろう
よって、そなたの今回の働きに功績を称えそなたを子爵へと昇進する!
賛成の者は沈黙し意義の有る者は前に出よ!」

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...
「うむ、それでは葉月博を男爵から子爵へと昇進する事を第37代帝都ドラゴアドラムが今宵宣言する」

「子爵の名に恥じぬよう精一杯この国の為に国民の為に精進する事を此処に誓います」

「うむ此度の働き実に見事であった」

こうして殊勲式も終わり一安心と思ったのだがここから貴族達への挨拶&質問責め
やはり貴族でも男爵と子爵では扱いが違いすぎると言っても問題ないくらいに違う
まず貴族達やその関係者の博への眼差しが変わった
男性達はどうにか取り入ろうと近づき親達はどうにか娘を嫁にと近付いてくる
やはり姫との結婚を知っている為、未来の王族にはどうしてもお近付きになっていたいらしく次から次ぎへと挨拶の列が止む事はなかった

【客間】

「ふぅーやっと終わったー」

博は着の身着のままベッドに倒れ込んだ

「博様お召し物が汚れてしまいます」

「ごめんちょっと休憩~」

「かしこまりました」

「皆はもう寝たの?」

「はい、もうお休みになられています」

「なるほど....」

博はチョイチョイと手招きをして紅葉をそばに呼びよせ徐に紅葉の犬耳を撫で始めた

「はぁー紅葉の犬耳はやっぱり癒されるわぁー」

「私の耳など触られて癒されるものなのですか?」

「ああっ前にも言ったがやはりいいものだよ」

博は自信満々に言い放つとそのふわふわに毛繕いされた尻尾にも手をかける

「んっ!あの博様そこはあっ!だ、ダメです」

俺は恥じらう紅葉に新鮮さを感じ少し虐めたくなってしまったのである

「んんっ!そこはダメです博様!」

「んんー?ここか?ここがええのんかぁ~?」

俺は更に紅葉の尻尾を容赦なく撫で回した

「ああっ!博様ダメです!本当にダメですから!ううっ!」

頬を赤らめウルウルした目で見つめてくる紅葉に俺の心臓は鼓動が早くなっていく

「はぁーやべぇこのままだと俺は、主人とメイドという禁断の関係になってしまうダメだ落ち着け俺!」

そんな時突如としてあるお方が現れた

ポワワワワァーン!

「あ、あなたはもしかして」

「そう我こそは人間の欲望な心から生み出され出現する悪魔様だ!」

「悪魔様ーっ!」

「そうだ!お前さまっ何を悩む事が有るんだ?やっちゃえよ!取りあえずやってから考えようぜ!」

「確かにやってから考えます!ありがとう悪魔様っ!」

ポワワワワァーン!

「ダメですいけません!その様なふしだらな関係になっては絶対にいけません!」

「あっ!あなたは天使様っ!」

「そうです私は天使!人間の中に眠る善良な心から生み出された天使!」

「ううっ!俺は俺はどうすればいいんだ!?」

博は頭を抱え込んだ

「喰っちまえ喰っちまえ!責任なんて後でどうとでもなるんだからよぉー!」

「ダメですそんな事は神が許しません!
さぁー早くその子を解き放つのです!」

「ううっ!」

博の手が尻尾から離れていく

「そうです!それでいいのです!」

「ふん!馬鹿かお前は!そいつはメイドいわばお前の所有物、その所有物に所有者が何をしようと関係ないんじゃないのか?
ほらわかったらさっさと押し倒しちまえ!そして一緒に快楽の園へ向かおうではないか!」

「そうだ紅葉は俺のメイド、俺が好きにしてなにが悪いんだ?そうだ!そうだ!」

博は紅葉を抱き寄せた

「あっ!だ、ダメです博様!」

悪魔は囁く

「そうだ!その調子だ!そのまま押し倒してしまえ!」

「ダメです!悪魔の囁きに耳を貸してはいけません!」

「うるせぇー天使如きが俺様に刃向かうんじゃねぇー!」

「キャー!」

悪魔が天使に刃を向ける

「こいつはもう欲望の塊だ!そんな状態で俺様に勝てると思うのか?」

悪魔は欲望の力によりどんどんと巨大になっていく

「そんなダメよ!彼女に手を出してはダメ!」

「うるせぇー!」

ズシィーン!!
巨大に成長した悪魔はその足で天使を踏み潰したのであった

「ヘヘヘッ!これで邪魔者はいなくなったな!さぁーいけ!今夜はレッツパーティーだ!クケーーッ!」

「も、紅葉ーーぃ!!」

博は紅葉をベッドに押し倒したのであった

「博様、私初めてですので優しくして下さい」

その言葉を聞いた瞬間博は完全に我を忘れて暴走し始めた

「クククッ!計画通りだな、さぁー後は本能の赴くままに突き進むんだ!」

.
..
...
「まだよ、まだ終わってない!」

「なにっ!?」

踏み潰したはずの天使の声がどこからともなく聞こえて来る

「いでよ!天使テレパシー!!」

ガチャ!

徐に部屋に入って来たのはネーア出あった

「あのー博様寝てらっしゃいますか?
私何だか眠れないので少し散歩に付き合って欲しいのです、が......」

ネーアの目の前には紅葉をベッドに押し倒す博の姿があった

「あっ!いやこれは違うんだネーア!
これはそのアレだアレ!そうアレ!えーと何て言うかアレ!」

「博様~っ?浮気はしないと申し上げましたよね~?」

笑いながら声だけが怒っているネーアに博は恐怖を感じながらも言い訳を必死に考えている

「これは違うんだネーア!取りあえず話を聞いてくれ?なっ?」

「ウフフフフッ!浮気はダメと申しましたわよね~♪」

「とりあえず、とりあえず落ち着こうな!その手に貯めてる魔法は一旦引っ込ませような?ネーア?」

「ウフフフフッ!躾のなっていない旦那様には少しばかりキツいお仕置きが必要ですわね!!」

「ちょっと待て!それは死ぬ!死んじゃうから!ネーア!死んじゃうから!ギャーー!」

ネーアの雷魔法が博の体を貫く

「き、きいてくれネーア!俺はまだ何もしていないんだ!」

「ウフフフフッ!それは私がこの部屋に来なければ行為に及んでいたと言うことですわね?博様っ!!」

「ギャーーーー!!」

「ねぇ?紅葉ーぃ?博様に一体何をされていましたの?」

「は、はい身体中を撫で回されてベッドに押し倒されました」

「違うんだ!いや違わないけど、これは俺の頭の中にとつぜん悪魔が現れてだな
あれ?いつの間にか消えてる?」

「言い訳は無用ですわ!」

「ギャーーーー!」

「これは徹底的に身体に教え込む必要がありますわね?」

「許してくれ!もうしないから!もうネーアしか見ないから!」

その言葉にネーアは隣に居る紅葉のスカートをめくり上げた
すると博の目が一瞬だが紅葉のスカート内部に動いたのであった

「あらあら~いま言った事も守れないのですか?この駄犬は?」

「違う!今のは仕方が無い!男なら仕方が無いんだ!ギャーーーー!」

こうして博の悲痛な叫び声は城内に響き渡り扉の隙間から此方を羨ましそうに見つめるドーラがいた事に誰も気付いてはいなかった

「お嬢様、私にもお仕置きして下さいまし~!」
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