人類みなニート~働いたら負けかなと思う~

牛熊八千代

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50【アレですよアレ!】

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「あの博様、少しお話したい事があるのですが...」

「どうしたの?」

かしこまった表情の紅葉がただ一言言い放った

「あの、実家に帰らせて頂きます!」

「うんわかったよーぉお!?えっ!?なんでぇ!?俺何か嫌な事した?いや確かに尻尾とか撫でたりしたけど、そんないきなり帰らなくてもいいじゃん!
俺の直す部分が有るなら直すしさ!
だから出て行かないでくれ紅葉!」

博は混乱しまくっていた

「博様違いますから、少しお休みを頂戴したいだけですから、決してこの仕事が嫌になって出て行く訳ではありませんから安心してください」

紅葉のその言葉に博はそっと胸をなで下ろした

「はぁービックリさせないでくれよ紅葉」

「申し訳ございません、博様がこんなにも取り乱すとは思いもしませんでした」

「いやいや取り乱すだろ普通
紅葉はもう俺のそばに居て貰わなきゃいけない存在何だからさ!」

「えっ!?あっはい!」

博のその言葉に紅葉が驚きながら顔を赤らめうつむいた

「な、何なんだ、今日の紅葉は一段と可愛く見えるぞ!
クソっ!雇い主と言う立場でなければ俺はもう今すぐにでも、」

「へぇー今すぐにでも、何ですかお兄ちゃん?」

いつの間にか部屋に入り込んでいたカンナちゃんが博を問い詰める

「えっ!?あれカンナちゃん居たの?」

「はい先ほどから居ました、で今すぐにでもって、な、ん、で、す、か?」

威圧的な態度でカンナちゃんが博に詰め寄って来る

「いやーなんて言うかさーそのあのーね、てか何で心の声が聞こえたのかなー?なんて?」

カンナちゃんはにこやかな表情で答える

「言葉に出てましたよお兄ちゃん♪」

「えっ!?うそ?ホントに!?」

紅葉が恥ずかしそうに頷いた

「いやー参ったなコリャー!ハハハッ!」

博は浅はかな笑い声でごまかし部屋を後にしようと扉に手をかけた
するとその先には、もう一人の嫁さん候補のネーアがニコニコと笑顔で待ち構えていたのであった

「どこに行くのですか博様?」

「いやちょっと用事を思い出して」

言い逃れをする間もなく部屋に戻される博

「ウフフッ私も聞きたいですねー今すぐにでもの先がねっ!!」

ネーアの顔は笑っているが目は笑ってはいなかった

「いやあのーなんて言うか言葉のあやと言いますか、アレですね」

「アレとは何ですかアレとは?ねぇーお兄ちゃん?」

仁王立ちで博を問い詰める二人、勿論博は正座である

「いやですから、あれはですねその思わず言葉が出てしまったと言うか」

「ふーん私達にはそんな言葉一切かけてくれないのに紅葉さんにはかけて下さいますのね、ふーん」

「だから違うんだって!アレはたまたま、そうたまたま紅葉が可愛く見えてだな」

「そ、そんな可愛いいだなんて、いけません博様
私と博様は主従の関係ですから奥様方の前でそんな事を言われても困ります
そう言う事は二人っきりになった時に仰って下さい
で、でしたら私は、私は...どんな覚悟も出来ておりますゆえ!!」

紅葉は手で顔を隠しながら部屋から立ち去った、そして残される博と妻候補の二人
正に地獄絵図である

「へ、へぇー紅葉さんもまんざらでもないみたいでしたねネーアちゃん」

「え、ええっそうですわねカンナちゃん」

「まぁーそれは取りあえず置いといて未来の旦那様の躾をしないといけないですね」

「そうですね、こう言うのは早い内から躾ておかないと癖になりますからね」

二人がギンっとした目で博を睨み付けた

「あのー二人とも何をするのかな?ねぇーそれ以上近付かないで欲しいんだけど、ねぇー聞いてる二人とも?ねぇー?ちょっと待って!ねぇー二人とも!ねぇー!ギャーー!!」

博は二人から数時間に渡るご指導をご教授されようやく解放されたのであった

そして現在、俺と紅葉は罰として倉庫整理を行っている

「紅葉、これは俺の罰だから手伝わなくていいんだぞ」

「ダメです、メイドたるもの主人が罰せられたら同じ様に罰せられるのもメイドの努めですので、そこは譲れません!」

そう言って頑なに自分の意志を曲げようとしない紅葉に博は根負けして一緒に倉庫整理を行っている

「しかし凄い量だな」

「そうですね」

目の前には倉庫一杯の木箱が積まれている
その殆どが領民からの贈り物や税である

「キャア!」

紅葉が可愛らしい悲鳴を上げた

「どうした?」

「博様!な、中に何かいます」

そう指差す方には大きな木箱が、あれは確か妖精のお母様から頂いたお土産だったよな?
恐る恐る中を覗くとそこには、干からびた物体と水とダイイングメッセージらしき一文字が彫られていた

「コ、コレはドライアドの干物!?
まさか妖精族はドライアドを干物にして食べる習慣でもあると言うのか!?」

「そんな訳ないでしょ」

通りすがりのリズがやってきた
本人は通りすがりと言っているが、実際の所は手伝いに来てくれたのだろう
何せこの倉庫は使用人達しか使わないのであるから

「ふーんドライアドねー」

「なぁこれって食べれるのか?」

「うーん食べれない事も無いけど滅茶苦茶不味いから流石に止めておいたほうがいいわよ?
まぁ滋養強壮には良いみたいよ
昔は貴族達がこぞってドライアド狩りをするぐらいその作用が凄いらしいわよ?」

「へぇー」

「なんなら私で試してみる?その滋養強壮とやらお?」

「気持ちはありがたいけど遠慮しておくよ、次何かしたら今度こと二人に殺されるよ」

「ふーんそう?じゃあこの子どうするの?
まだ完全に死んでないから水を与えたら復活すると思うけど?」

「復活?てかまだ生きてるのか?」

「ええ、休眠状態に入ってるみたいね」

そう言うとリズは水の入ったバケツの中にドライアドを放り込んだ
すると見る見るうちに水が吸収されカサカサに干からびていたドライアドの肌がプルンと元に戻っていく

「プハーッ!生き返るー!このまま干からびたままかと思ったよ!
いやー蜜欲しさに荷物に紛れ込んだのはいいんだけど出れなくなっちゃてさー死ぬかと思ったよー」

「やはりあの時のドライアド達の一人だったか」

「ねぇーここはどこなの?」

「俺の屋敷だよ」

「ふーん」

「1人で帰れるのか?」

「流石に無理かな、とりあえずでいいからここに泊めてくれないかな?」

「イヤだよ!だってお前ら俺の魔力吸い取ろうするだろ!」

「しないしない我慢するからさ~お願いしますよ旦那~!」

「我慢って、、はぁーもー仕方ないな
その代わり絶対に約束は守ってくれよ?破ったら燃やすからな?」

「ふふっありがと~♪」

そう言い残すとドライアドは探検探検と言いながら中庭に消えていった
そしてその夜、博は不思議な光景を目にする事となるのであった
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