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06【記録結晶】

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ピーピーピーピー!

「うぉ!なんだ?なんでペンダントから音がするんだよ?」

「勇者!お主何故それを持っておるのじゃ?それは母上のペンダントではないか!」

「はぁ?これは俺の亡くなった母さんの形見のペンダントなんだが」

ピーピーピー.....

警告音が鳴り止むとペンダントは割れ中から紙と水晶が出てきた

「なんだこれ?宝石か?それとこれは地図か」

「勇者よそれは記録結晶と言ってな魔力を通せば発動するはずじゃ」

仁は記録結晶に魔力を通すとホログラムが起動し仁の父親が現れた

「あーあー見えてるか仁?って言ってもこれは録画だから意味ないか!」

「おい勇者よ!こいつが妾の母上を殺したあの時の勇者じゃ!」

「えっ!これ俺の父さん何だけど」

二人は顔を合わせ不思議そうな顔をしていた

「ちょっとあなた早く要件を言わないと」

そこに仁の母である波多野メリッサが登場した

「は、母上?何故母上がそいつと一緒に?なぜじゃ?」

「なー魔王、お前の母上は俺の母でもあるみたいなんだが、気のせいか?」

「えっ!嘘じゃろ?そんな馬鹿な!訳が」

父さんの話は進む

「そうだったそうだった
仁よ、この記録が見れていると言う事はお前はもう異世界にいて尚且つ側には魔王メリナがいるはずたな?これはお前たち二人がこっちの世界で出会うと起動するようにしてある
仁よ、俺はこの世界にかつて勇者として召喚されたそしてそこでお前の母である魔王メリッサと出会い恋をしたのだ!あれは一目惚れだった、こんなにも美しい人がいるのかとな、そしてその場でプロポーズをしてOKを貰ったんだ
しかしそんな俺達に一つの障害が合った、俺は召喚されたバルカン帝国姫アイール・ノーム・ド・ムリア姫に求婚されていたのだよ
だが俺はどうしても魔王メリッサと一緒に居たくてある芝居を打った、魔王と相討ちになり魔王は俺を仕留め俺は死ぬ間際に魔王を封印という芝居をな
そしてその芝居を完了すると共に異世界の門を開いたのだよ
あの時は一緒に居れるならどんな世界でも良いと思っていたんだが奇跡的に日本に戻る事ができ、そして仁がお前がが産まれたんだよ
今まで黙っていてすまなかったな仁」

そして父と変わり母がしゃべりだした

「メリナごめんなさい、母親として何もしてあげられなくて
本当はそこに行ってギュッと抱きしめてあげたいけどそれも叶わない夢なのよ、でもあなたを忘れた日なんて一日も無かったからそれだけは信じて頂戴
それと仁君、あなたをこの世界に巻き込んでしまったのはごめんなさいね、私達二人の責任だわ
だからあなたが本当に日本に帰りたいなら転移の魔法を教えます、ねぇ?あなた」

「そうだな仁が本当に日本に帰りたいと願うならな!
でもその前に一つだけ言っておく、仁とメリナちゃんは母親の血が繋がっているだけだから、そちらの世界では手を出しても問題ないからな!」

父親は自信満々に親指を立て語った

「いやいやそんな情報要らねえよ!てか話聞いてたら大体予想がつくだろがメリナが姉だって事ぐらいよ!
それよりも日本に戻る方法だよ日本に!」

「でだ日本に戻る方法なのだがなピーピーピー!」

「あなたもう記録容量が残って無いわよ早く早く」

「うおっ!マジか!日本に戻る方法はだな地図を」

記録が終了しました、こちらの記録は証拠隠滅の為5秒後に爆発します

「嘘だろ?おいメリナ!」

仁はメリナに覆い被さった

パン!

「ん?なんだよ爆発って言うからもっと大きなものかと思ったじゃないか」

「おい勇者重いのじゃ早く退かぬか!」

「す、すまん」

「のう勇者よ一つ聞くが母上は生きておるのか?」

「いや十年前に交通事故で亡くなったよ父と一緒にな」

「そうか、あやつと一緒にか...なら寂しい思いはしておらぬな」

「そうだな...」

「よし!決着をつけるか勇者よ!」

「何でそうなるんだよ!」

「それは勿論、妾が魔王でありお主が勇者であるからじゃ!」

「何言ってんだよ、俺達は姉弟だろ?」

「な、何を言うのじゃいきなり!」

「メリナと戦うなら俺は勇者を止める!
俺はもうこれ以上家族を失いたくないから」

「な、何を馬鹿な事を言っておるのじゃ!早く剣を握るのじゃ!」

「イヤだ!俺は戦いたくない!」

「何故じゃ!」

「じゃあ逆に聞くがメリナ、何故泣いているんだ?」

「お、お前には関係ない!関係ないのじゃ!!」

「こんな事もう止めにしないか?」

「妾は魔王なんだぞ!そんな事...そんな事出来るわけないであろう!」

「なら俺が一緒に言ってやるよ」

「ほ、本当か?本当に一緒に言ってくれるのか?」

「姉弟だからな」

「わかった、妾は今日で魔王を辞めるのじゃ」

ガチャ!

「おおっ!魔王さまっ!!」

「タイガール至急皆を集めよ!」

「ハッ!仰せのままに魔王さま!」

こうして四天王を含めた城にいる全ての魔物が集められたら

「皆よくぞ集まってくれたのじゃ!
妾は今日、ここにいる勇者と話をし妾はどれほど浅はかだったのかと理解した
そして一つの結論にたどり着いたのじゃ!
今日を持って我々魔族は他族への侵略並びに全ての行為を即座に中止する!
外部に出ている者は直ぐに伝達し呼び戻すのじゃ!」

場内がざわめき立つ中、四天王の一角であるクロースが前に出た

「魔王様何故ですか?何故侵略をお止めになるのですか?」

「先程も言ったであろう、そこにいる勇者と話しあった結果であると!」

「そんな事で納得出来る訳が有りません!
我々魔族は選ばれた種族、その種族が頂点に立とうとして何がいけないのですか!」

仁が口を挟んだ

「だからその考え方がダメ何だよ
魔族が選ばれた種族?馬鹿馬鹿しいにも程があるぞ、皆が平等な世界でいいじゃないか!」

「魔族はこの世界に選ばれし種族なんだ.....」

「もうよいクロース下がれ!」

「千年、千年だぞ...ようやく魔王がお目覚めになられたのに何故邪魔をするのだ!」

「おい誰かクロースを連れていけ!」

周りにいた魔物たちがクロースを連行するため近付いていく

「...そうか、そう言う事か、なぜもっと早くに気付かなかったんだ!フハハハッ!」

「魔王様の邪魔になるから下がれクロース」

もう1人の四天王イーブルがクロースに近付いた瞬間、イーブルは血を流し倒れた

「クハハハハッ!使えない魔王様など殺してしまえばよいのだ!
この参謀長である俺様が新たな魔王となれば、世界征服など容易いものだ!
死ね!魔王ーーっ!!」

クロースはナイフで魔王に襲い掛かった

グザッ!

「チッ!何処まで邪魔をすればよいのだ貴様は!」

仁は寸前の所で魔王をかばい床に倒れた

「おい勇者!目を覚ませ!おい!」

「魔王様残念ですがそいつは助かりませんよ!何故かって?それはこのナイフには死の呪いがかけられていますから!
でも安心して下さい直ぐにあなたも後を追いますからねぇー!!」

その瞬間城内にいた低級魔族は全て気絶した魔王の覇気によって

「クロース貴様!許さーーーーん!!」

「おおっ!これが魔王様の本気なのかーーっ!ああっもっと早くにお会いもうしたかった..です魔..王さま...っ」

魔王の覇気を真正面から受けたクロースは一瞬で蒸発したのであった

「仁様っ!」

ニャーチが仁の元へ駆け寄り介抱するのを横目に魔王メリナは気を失った

俺は目を覚ましたのか?周りが暗くて分からない
そんな暗闇の中で俺は何故か唯一見える不思議な黒い影と出会っていた

『誰だお前は?』

俺はその影に語りかけた

『俺はお前だ...お前だ...いやお前か?いや俺だ!そう俺だ!そうだ、お前の心の中に出来た悪の力とでも言うべき存在』

『ん?心の中の悪?そんな物は誰でも持っているだろ少なからず』

『お前は今し方呪われた魔族の死の呪いによってな』

黒い影は俺の周りを回りながら喋りだした

『魔族の死の呪い?なら俺は死んだのか?』

『まだお前の身体は生きているが魂が死にかけている状態だ、だから正確には死の狭間と言った所かな?
今は俺の呪いでどうにか持っている状態と思ってくれたらいい』

『何故そんな事をするんだ?お前は死の呪いなのだろう?さっさと殺せばいいだろ?』

『ようやく面白そうな奴が現れたのに、直ぐに殺してはつまらんのだろ?』

『どういう事だ?俺をなぶり殺すとでも言うのか?』

影は不適に笑う

『ゾワハハハッ!お前を殺せば俺も死ぬ、それは俺はお前で有りお前も俺で有るから故にお前には存分に生き長らえて貰わないと困るのだよお前にはな』

『??、お前は俺に生きろと言うのか?お前は死の呪いだろ?』

『生と死は表裏一体、命を奪う事も有れば与える事も有るそれが我が死の呪いである』

『俺は生き返ってお前を楽しませればいいのか?』

また影は不気味に笑う

『ゾワハハハハッ!そうだ俺を楽しませてくれ!そして俺の力を解放してみせろ!
俺はお前の中に呪いとして何時でも残り続ようぞ、お前が朽ち果てるまでな』

『死の呪いを解放しろって危険じゃ無いのか?』

『それは使い手次第だ、善にもなれば悪にもなろう、まあ存分に俺を楽しませてくれ』

『楽しませろ言われてもなぁー、ん?おい!?何処に消えた?おい!?』

影はいつの間にか消えさり何も無かった空間に何時しか太陽が地平線の彼方より登り始めた、そして丁度真上になった時に俺は自分の影から現れた自分の影に飲み込まれたのであった
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