トシデンセツ

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壱 河童の相撲

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俺の名前は武長繁信(たけながしげのぶ)。今年で十八だ。
今は夏休みで、部活の野球部の自主練習として毎朝ランニングしている。
誰もいない、早朝。いつもの走る河原は、とても静かだった。
埼玉県さいたま市に住む俺は、いつもはもう少し人がいるのに誰とも会わないのに不思議だった。
「たぁっ!たすけt…!」
かなり近いところから、助けを呼ぶ声がした。
「待ってろ!今行く!」
目の前の藪を掻き分けて進む。
そして目の前にいたのは、中年のオッサンの尻の穴に手を突っ込む河童だった。
「は…?」
河童が手を引っこ抜くと、中年のオッサンは「かはっ」と血を吐いて、消えていった。
河童の手にはなにやら玉のような物を持っている。
そしてそれを食べた。
「グカカカ。ツギハオマエ。オマエノモイタダク!」
「う、うわぁぁーー!?」
河童が飛びついて来たので、思わず走って逃げた。
「はぁ、はぁ、はぁ。なんだってんだアレ!?」
この辺りには、河童の伝説なんてないのに、なぜかいた。そういえば最近、突如行方不明になる人が続出してるって…
「まさか!あんなのただの幻覚…」
幻覚であってくれ。そう思いながら、後ろを見ると河童はいた。
「キサマハニゲタ。ダカラオマエノモラウ!」
走ってくる。逃げた。逃げた。だけど、離れるどころかどんどん近づいてくる。
「ニゲルナ!」
何でこんな目に!何でだ!
「クソクソクソォー!」
苛立ち混じりに、走ってくる河童にラリアットをかました。
「グケェェッ?!」
思わぬ反撃に驚いたのだろう。まともにくらって、倒れた。
「キサマ…!ヤルナラプロレスジャナクテスモウダロウ!」
「は?」
河童の言葉に思わず、反応する俺。
「イタダキ」
その瞬間をついて、河童は俺に組み付いた。
「シネェェーー!!」
「ぐぅぅ!舐めるなぁ!」
草の生い茂った坂を転がる俺たち。
無我夢中で叩いたり、殴ったりしていると、パキリ、と鳴って急に
「ギャァァーー!?」
と河童が悲鳴をあげる。
そしてどんどん萎み、最後には消えてなくなった。
「…ックハッ!?」
急に胸に痛みが入り、あまりにも強い痛みに呼吸が止まる。
すぐに痛みは消えたが、正直息をするのがつらい。
とりあえず、道に戻ると二人組の人相の悪い男が立っていた…
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