追放された回復術師、実は復元魔法の使い手でした

理科係

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15二人組

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ラノイとドゥールはギルドへ来ていた。

「すいません、パーティーを組むことになったのですが」
「かしこまりました。二人ということでよかったですか?」
「いや、ちょ、俺は……」
「はい、お願いします」

 困惑したドゥールにお構いなしに、ラノイは手続きを済ませた。そしてクエストボードに行き、依頼書を取って受付嬢に渡す。

「すいません、これ」
「か、かしこまりました……。こちらで本当によろしかったですか?」
「はい、間違いないです」
「おい、ラノイ、一体何を……?」

 受付嬢の不安げな顔を見て、ドゥールもまた不安になる。さっきから周りもざわついているのもこのやりとりによるものなのだろうか。

「よし、いくぞドゥール!」
「いくって、わ、ちょっと!」

 強引に手を引っ張られ、半ば強制的にクエストへと駆り出された。





 鬱蒼としげる木々、その葉に覆われ昼間でも薄暗い森の中を二人は歩いていた。

「ラノイ……さん。ここって一体どこなんですか?」
「ここかい? ここはヴァンの森だよ」

 初めて入る森にドゥールは目移りする。恐怖心か、はたまた不安感からかすっかり敬語で話すようになっていた。

「なんでこんなところに?」

 歩きながら質問する。

「今日のお目当の小竜ワイバーンがここに生息しているからなんだけど、あれ、意外と見つからないな~」
「ワ、ワイバーン!?」

 ドゥールは驚きのあまり大きな声を出した。
 それもそのはず、本来ワイバーンは最低でも四人で討伐するのが基本とされている。二人、ましてや初心者冒険者がワイバーンを狩るなど、死ににいくようなものだった。

「ラノイさん、引き返した方がいいですって」
「仕方ないじゃん、路地のみんなをとりあえず食わせるにはこれが一番手っ取り早いんだからさ」
「でも、だからって」
「――それに僕と君の魔法だったら討伐できると思うんだけどな」
「僕の魔法?」
「これは憶測だけど、君の魔法は――」

 その時、どこからともなく鳴き声が聞こえた。
 森に鳴き声は響き渡り、二人ともその声の主の方を見上げる。小柄ながらも、翼と尻尾が生え、空中を旋回している。紛れもなく、今回の依頼であるワイバーンであった。

「ラノイさん、出ました!」
「よし、やるぞ!」

 ワイバーンはラノイ達めがけて突進してきた。二人はそれを交わし、ラノイは自前の剣をワイバーンに向け放つ。

 しかしすんでのところで躱され、ラノイの剣はワイバーンの皮膚に浅手を負わせただけだった。ワイバーンは再び空中に戻り、ラノイを見つめながら威嚇する。
 ドゥールはいきなりの出来事についていけず、木陰に身を潜め体を震わせていた。

 睨み合いが続く。
 先に動いたのはラノイだった。

「反転!」

 唐突にそう叫んだ。するとさっきのワイバーンの傷が開き、出血した。たまらずワイバーンは地面に落ち、ラノイはすかさず駆け寄った。
 開いた切創の上から斬りつける。ワイバーンは「オオオオ」と悲しい声で叫んだ後、動かなくなった。

「た、倒した……」

 木陰から出てきたドゥールは、眼前の事実を目の当たりにし上手く言葉が出ない。

「剥ぎ取るからドゥールも手伝って」

 そう言われ、小走りで向かう。その時、

「ギャアアアアア!」

 突如別のワイバーンがドゥールへ急襲する。

「ドゥール!」
「うおっ」

 訳もわからぬままドゥールは反射的に拳を突き出した。
 次の瞬間、拳はワイバーンの下顎にヒットし、鈍い音とともにワイバーンはその場へ落下した。

「うおおおっ! これ、俺がやったのか……?」

 急に足元に転がるワイバーンにドゥールは呆然としていた。
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