君の金魚を削ぎ落としたい

松原 慎

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バイトのキョウくんはお酒が飲めない②

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 閉店後の作業を僕がしている間いつもキョウくんは、営業中お客様が座っているカウンター席に突っ伏してダウンしている。眠ってしまう時もあれば、愚痴を言うこともあるし、甘えてくる時もある。
 今日はどんな酔い方かしらと僕はいつも楽しみにしているのだ。
「ほら、キョウくん。上へ行きましょうよ。今日も泊まっていくんでしょう?」
「店長……俺、もう飲みたくないですよぉ……」
「あら。でもみんな、キョウくんとお酒を飲むのを楽しみにしてるのよ? 僕も含めてね。ほら、もう営業終わったんだからいつもみたいに呼んでちょうだい?」
「路彦さん……」
 可愛い可愛いキョウくん。ゆっくりと顔を上げて、隣の席に座った僕の袖を掴む。
「俺のこともちゃんと名前で呼んでください」
「そうね……出雲くん。部屋へ戻りましょう?」
「はい……」
 本名のほうが源氏名みたいなその名を呼んであげると、子供みたいに破顔する。天使みたい。天使を酔わせるなんて最高ね。
 ふらつく出雲くんに肩を貸してあげながら、自室のある二階へ行くために階段をあがる。腰に手を回してもどこを触っても気に止めるほどの意識がないから好き放題に触っちゃう。
 ワンルームの部屋へ着くとすぐにベッドに転がして、僕もそこに腰掛ける。すると出雲くんはまた服の裾をつまんできた。
「路彦さん……お煙草吸って……?」
「いいわよ。火はお願いね」
 狭い部屋だ……ベッドから手を伸ばせばすぐに簡素な長方形のローテーブルに手が届く。出雲くんはだるそうにしながらも上半身を起こしてテーブルの上にあるライターを掴み、煙草を咥えて待つ僕に向かって火をつける。水商売の女みたいに手元で火を確認してから、そっと差し出すのだ。
「ありがと」
「いえ……」
 僕はあんまり煙草を吸わない。バーでお客様と飲んでる時と仕事の後の他は、気まぐれに少々。セックスのあとも吸うけど、ソッチはすっかりご無沙汰してる。
「先生の匂い……」
 ほろ苦いバニラの香りが部屋に漂うと、出雲くんはほっと一息ついてまたベッドに横たわる。そして大体はあっという間に寝息を立て始めるのだ。
「出雲くん、もう寝ちゃった?」
「んん……起きてますよぉ?」
 あら起きてた。悪戯しようと思ったのに。たまには了承を得てみようかしらと近づいて、ぽやんとした顔でこちらを見上げる可愛い子の頭を撫でてあげる。
「ねぇ……そんな無防備でいいの? 悪戯されちゃうわよ?」
「男に興味ないって言ってたじゃないですか……お客様も、オネェのくせに女好きって仰ってましたよ……?」
「そうね、興味ないわ。でも他の人の前でそんなになっちゃダメよぉ?」
「なりませんよぉ? 興味なくても甘やかしてくれる路彦さんが……大好きなんです」
 ふふ、と含み笑いをして、路彦さぁんと甘えた声で両手を伸ばしてくる。仕方ないわね、と隣に横たわって抱きしめてあげると、すぐにすぅすぅと規則正しい寝息が僕の首筋をくすぐり始めた。
 なんて無防備で可愛い子。
 男に、自分に興味がないと安心しきってるお馬鹿さん。
 今日も可愛い姿を見せてちょうだいね。
 寝顔は名残惜しいけど、細い身体をころんと転がして背中を向けさせ、背後から手を伸ばす。黒いワイシャツの上から目立つ突起を人差し指の腹で撫でる。すぐに固くなっちゃうそこを下から上へ擦りながら、金魚の泳ぐ首筋に口付ける。
 ぷっくりして少し触っただけですぐ喜んじゃう可愛い胸の先端で遊んでいると、甘い声を漏らしながら後ろにいる僕に腰を擦り寄せてくるやらしい子。“先生”によっぽど可愛がられていたみたい。
「ん……せんせぇ……」
 この子は本っ当、酔っ払うと先生、先生ってうるさいの。まぁでもどんな男だか知ったこっちゃないけど、今は僕がこの子の飼い主。
 ちゃんと僕のモノって“しるし”も、首筋に彫ってある。
 こんな可愛い子を捨てた男なんてどうせろくでもないんでしょうね。さっさと忘れちゃいなさいよと思うのに、出雲くんは何も僕に教えてくれない。だからそう言ってあげられない。アナタが“先生”を大好きなことしかわからない。
「先生って、どこの誰なのよ? 僕よりいい男?」
「はぁ、あ……ん……せんせぇ……」
 こんなセコい悪戯じゃなくて、早く食べちゃいたい。
「苦しくなぁい? ベルトゆるめてあげる」
「んん……」
 ズボンの前を開き、中へ手を忍ばせる。ああもう、とろとろに濡れちゃって可愛いったらありゃしない。つるつるの亀頭に粘液を絡ませて、ゆっくりと手を上下させていく。
 後ろばっかりしていたのかしら、この子はどうも立ちが悪い。最近やっとスムーズに立つようになってきたけれど、最初の方はとろとろになってるのになかなか立たなくて不思議だった。
 ちゃんと僕の手の中で大きくなったちんこを扱いてあげると、ぴくん、ぴくんと腰を引いては震わせて反応してくる。こんなところを見てたら僕まで立ってくる。
「あ、あ、きもちっ……きもちぃ……」
「気持ちよくなりなさいな。しこしこ気持ちいいわねぇ?」
「あ、あ……きもちいぃ……しこしこしゅき、あ、あ、おちんちんきもちいよぉ」
「本当にエッチな子ね……こんな可愛くて真面目な子、誰がこんなにエッチにしたの?」
 瞳を薄く開け、ぼやけた瞳で僕を見つめる。酔っぱらいなのか、夢の中なのか。どちらにせよその瞳に映っているのは僕ではない。
「しぇんしぇ……先生の、せいぃ……」
 先生って人も僕みたいにエレガントな口調だったのかしら。まさかね。キャスターを吸っていることと先生と呼ばれていることしか知らないから、もしかしたらということもあるけれど。
 扱いてあげながら、ぷりっと突き出してくる可愛いお尻に自分の大きくなったモノを擦り付ける。お互いの息がだんだん荒くなって重なっていく。
 辛抱できなくなり、出雲くんの身体を仰向けに寝かせ上に股がった。出雲くんの手を取りロングスカートを捲りあげて露出したモノを握らせ、その上に自分の手を重ねて何度か扱かせる。
「出雲くん、自分ばっかりよくしてもらっちゃダメよ? 僕のことも気持ちよくするの。大好きでしょ、ちんこ」
「あああ、しゅき……しゅき……」
 火照った顔をして薄く開いた目に涙を溜め、ヨダレでも垂らしそうなくらい蕩けた顔で僕のちんこの形を確かめるように握りなおす。そうして、あぁ、と感嘆の声をあげ丁寧な手つきで扱き始める。けれどいつも出雲くんは最初に変な反応をして僕を傷つける。
「おちんちん、おっきくなんない……」
「それで大きいの! もう、どれだけ下品なちんこしてたのよそいつ」
 キャスター以外の情報あったわ。巨根! 僕だって大きい方なのにこんなプライドの傷つく反応されるほどの巨根!
「本当に嫌だわ……ねぇ、出雲くん……僕のちんこ入れても物足りないかしら? アナタのこと気持ちよくしてあげられる?」
「んん……? きもちぃ、れす……おちんちんきもちぃー……もっとこしゅって……」
「いいえ、そうじゃないわ。はぁ。酔っ払いに何を言ってもムダよね」
 ため息と一緒になぜだか笑顔も零れてしまう。気持ちよくなってるならいっか。出雲くんの細く繊細な指先に包まれて僕も気持ちがいいもの。今はそれで十分。
 あなたにとってこの時間は何かしら。
 少しセンチメンタルになってしまった夜にはそう考えずにいられない。全く記憶にないのかしら。それとも“先生”の夢を見てるのかしら。早く夢から覚めて僕の本性に気が付いてくれないかしら。今目が覚めたらすっかり嫌われてしまうのかしら。
「はぁぁ……あぁ……出ちゃうぅ、出ちゃう、いく、イッちゃう」
 イク寸前、出雲くんの甘えた声は少し泣きそうにぐすぐすと鼻を鳴らして震える。それがとっても可愛くていつもゾクゾクしてしまう。
「あらほんと、可愛くびくびくしてるわね。いいわよ、イキなさいな。ほらほらほら、気持ちいいって言いながらたくさん出しなさい」
「あ、あ、イッちゃう、きもちいぃ、イッちゃうぅ……! でるっ、でるっ、アッ、イク……!」
 ビクンッと何かに引っ張られるかのように背を反らし腰を浮かせ、出雲くんは熱い熱い白くて元気な精液を僕の手の中で吐き出した。手のひらに出たそれを眺め、鼻を近づけてにおいを嗅ぐ。精液なんてまったく興味がなかったのに出雲くんの精液には興奮する。
 放心してお留守になった手の上から自らのモノを握り、天使みたいな出雲くんから出たとは思えないの青臭い精液を舐め取りながら扱く。
 にっが。顔をしかめちゃうくらい、ちーっとも美味しくなんかない。でもいつも舐めちゃう。不思議。
「んん、イきそ……精液出る……出雲くんの手に、出させてもらうわね? は、あ、あぁ……」
 出雲くんの柔らかい手のひらにすりすりと擦り付けながら、そのまま精液をそこに塗りたくっていく。
 こんな可愛いお手手に濃ゆいの出しちゃった。キッチン作業で荒れそうなものなのに、いつもきちんとハンドクリームを塗っている、すべすべでミュゲの良い香りがする可愛い手。
 今は僕のくっさい精液がかけられちゃってるけど。
「ちんこだけじゃなくて精液も好きね?」
 零さないように手のひらを顔の横に持っていくと、それちゃんと見えてるの? と疑問に思うような力のない眼差しを向け、自分の手のひらに舌を這わす。失敗した。僕の手に出してその小さくて柔らかい舌の感触を、敏感な手のひらで味わいたかったのに。
 はちみつでも舐めてるのかしらってくらい、甘ったるい顔をして出雲くんは精液を舐める。こんな顔見せつけてくるから僕も毎回舐めちゃうのよね。お尻に飲ませてあげたらどんな顔するのかしら。
 汚れたところは綺麗に拭いてあげ、窮屈だろうからとスラックスだけ脱がし、ワイシャツとボクサーパンツのみの姿にしてそのまま寝かせる。
 全身脱毛を終えている足はつるつるでその辺の女の子よりよっぽど綺麗。お股の毛もないし、明け方になっても髭は生えないし、現代の技術でそうなってると頭では理解していても、本物の天使だと思わずにはいられない。
 首筋の可愛い金魚を指先で撫でる。天使の肌の上を僕の金魚が泳いでるの。これで惚れないわけがないじゃない。
 出雲くんにキスはまだできないから、代わりに金魚にキスをする。
 ここまでしているくせに唇を奪わず、お尻にぶち込まないのは、僕を信頼してくれる出雲くんへの意味のない義理立てと、ちっぽけなプライドのためだ。
 あーあ、いっそのことその目が開いて全てバレてしまえば全部捨てられるのに。
 早く起きてちょうだいな。
 早く僕を見て僕に甘えてちょうだいな。
 お気に召したら僕に酔っ払ってくれないかしら。
 すきの言葉を、くれないかしら。




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