突然パーティーを追放されてしまったけれど、それは全て僕のためだった

第2話 唯一の希望

「ただいま……」
「お兄ちゃ――ゴホゴホっ！」
「エリーゼ！　大丈夫？」

　ディリスは妹――エリーゼの背中をさすりながら、優しく声を掛けた。

「う、うん、大丈夫……」
「ダメじゃないか。しっかりベッドで寝てないと」
「ごめんなさい……。お兄ちゃんをお出迎えしたくて。だって、お兄ちゃんは私のために……」
「そんなの兄として当然だよ。さ、ベッドに戻ろ」

　頭を撫でた後、ディリスはエリーゼを抱えてベッドに寝かせた。

　以前のエリーゼはまさにおてんばという言葉がピッタリ当てはまる、元気いっぱいで活発な少女だった。

　しかし、今ではその元気さの欠片もない。
　全ては二週間前に罹かかってしまった、体内の魔力が毒化してしまう奇病によるものだ。

　すぐに医者へ診せたが、判明したのはその事実だけ。
　原因も治療法も検討がつかないと言われてしまった。

　ただ一つだけ希望があった。
　医者が言うには、とある魔物から取れる身体の一部がどんな怪我・病気も一瞬で治せる秘薬になるとのこと。

　だが、その魔物がどの種族を指すのかまではわからないらしい。
　それが書かれた文献がとうの昔に朽ち果ててしまっているためだ。

「絶対に薬を見つけてくるから、それまで頑張って。後ちょっとの辛抱だよ」
「うん……ごめんねお兄ちゃん……」
　
（早く薬を見つけないと……）