5 / 201
本編・取り違えと運命の人
004 選択 ①
しおりを挟む
「片づけしときますから、その間お風呂どうぞ」
「ええ! 一緒にやらなくていいの?」
「長旅で疲れてる人にそんなことさせられません! ゆっくりつかってきてください」
「じゃ、お言葉に甘えて」
私からバスタオルを受け取ると、鼻歌を歌いながらリカルドさんはお風呂場へ消える。
片づけ一緒にやるの、あたりまえだと思ってる人なんだ。別に私がやろうと思ってたけど、そういう風に言ってもらえると、気分が違う。私とは違うテンション高いタイプで、最初はとまどったけど、結構、気配りの人、なのかな。そんなことを考えながら後片づけと皿洗いにかかる。
「んー、いいお湯だったー」
あと少しで皿洗いが終了する、というところで、リカルドさんがお風呂場から出てくる音がした。
「あ、寝室、向かいの奥ですから」
「ほーい」
わかったかな、と思って振り向くと、ちょ、上半身裸!
「な、なんか着てください!」
「えー、湯上りで暑いし、いいじゃーん」
「もう!」
「ジュリエッタが出てくるまでには、着とくから」
ひらひら後ろ手を振って、リカルドさんは寝室に入った。
ちゃぽーん、と、お風呂場に水音が響く。
なんだかイキオイでここまできちゃったけど、今夜は、いわゆる「初夜」な訳ですよね。湯船につかりながら、ぼんやり考える。
いかに神託によって決められたとはいえ、今日初めて会った人と、その、そういうことをするのは、やっぱり勇気がいる。裸を見られるのも恥ずかしいし、初めてはすごく痛いって聞くし……。
「えーい、女は度胸!」
考えても仕方ない! なるようになる! 結局寝室入ったら長旅で疲れてぐっすり寝てた、とかお約束なボケをかましそうなタイプだし! と、なんだかリカルドさんのテンションが移った感じになって、湯船から出る。
寝室のドアを開けると、リカルドさんはベッドの中で書き物をしていた。
「あ、ジュリエッタ……」
約束通り夜着を身に着けてくれてる。夜着の上からでも、リカルドさんの身体、結構がっしりしてるのがわかって、どきどきしてしまった。というか、さっき、チラッと見た時に動揺してしまったのは、それもあったんだよね。
「おいでよ」
リカルドさんはパタリとノートを閉じ、自分の隣をぽんぽんと叩く。呼ばれてしまったので、そっとベッドに入る。
「ん、いい匂いする……」
「お風呂で同じの、使ったでしょう?」
「そうだけど……ジュリエッタはもっといい匂いに感じる……」
そう言って、私の髪をすくようにゆっくりと指に絡めてくる。ド直毛だからすぐ外れちゃうけど。
あれ、なんか、その、ちょっと、予想外に、いい雰囲気、じゃないですか? 思わずリカルドさんを見る。と、バッチリ目が合った。
「ええ! 一緒にやらなくていいの?」
「長旅で疲れてる人にそんなことさせられません! ゆっくりつかってきてください」
「じゃ、お言葉に甘えて」
私からバスタオルを受け取ると、鼻歌を歌いながらリカルドさんはお風呂場へ消える。
片づけ一緒にやるの、あたりまえだと思ってる人なんだ。別に私がやろうと思ってたけど、そういう風に言ってもらえると、気分が違う。私とは違うテンション高いタイプで、最初はとまどったけど、結構、気配りの人、なのかな。そんなことを考えながら後片づけと皿洗いにかかる。
「んー、いいお湯だったー」
あと少しで皿洗いが終了する、というところで、リカルドさんがお風呂場から出てくる音がした。
「あ、寝室、向かいの奥ですから」
「ほーい」
わかったかな、と思って振り向くと、ちょ、上半身裸!
「な、なんか着てください!」
「えー、湯上りで暑いし、いいじゃーん」
「もう!」
「ジュリエッタが出てくるまでには、着とくから」
ひらひら後ろ手を振って、リカルドさんは寝室に入った。
ちゃぽーん、と、お風呂場に水音が響く。
なんだかイキオイでここまできちゃったけど、今夜は、いわゆる「初夜」な訳ですよね。湯船につかりながら、ぼんやり考える。
いかに神託によって決められたとはいえ、今日初めて会った人と、その、そういうことをするのは、やっぱり勇気がいる。裸を見られるのも恥ずかしいし、初めてはすごく痛いって聞くし……。
「えーい、女は度胸!」
考えても仕方ない! なるようになる! 結局寝室入ったら長旅で疲れてぐっすり寝てた、とかお約束なボケをかましそうなタイプだし! と、なんだかリカルドさんのテンションが移った感じになって、湯船から出る。
寝室のドアを開けると、リカルドさんはベッドの中で書き物をしていた。
「あ、ジュリエッタ……」
約束通り夜着を身に着けてくれてる。夜着の上からでも、リカルドさんの身体、結構がっしりしてるのがわかって、どきどきしてしまった。というか、さっき、チラッと見た時に動揺してしまったのは、それもあったんだよね。
「おいでよ」
リカルドさんはパタリとノートを閉じ、自分の隣をぽんぽんと叩く。呼ばれてしまったので、そっとベッドに入る。
「ん、いい匂いする……」
「お風呂で同じの、使ったでしょう?」
「そうだけど……ジュリエッタはもっといい匂いに感じる……」
そう言って、私の髪をすくようにゆっくりと指に絡めてくる。ド直毛だからすぐ外れちゃうけど。
あれ、なんか、その、ちょっと、予想外に、いい雰囲気、じゃないですか? 思わずリカルドさんを見る。と、バッチリ目が合った。
0
あなたにおすすめの小説
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる