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本編・取り違えと運命の人
020 リカルドの誕生祝い ⑥
「ちょっと待っててね」
リカルドがケーキを食べ終えそうだったので、あわててプレゼントを取りに行く。しまった、さっきケーキ取ってきた時に、一緒に持ってくればよかった。
「ジュリエッタ?」
戻ってきた私を、リカルドが不思議そうに見つめる。
「はい。リカルド、お誕生日おめでとう」
「え?」
私が小箱を差し出すと、リカルドは予想だにしていなかったようで、目を白黒させてる。
「誕生祝いなんだから、プレゼント、あるに決まってるでしょ」
「え、えー!!」
「早く、受け取って!」
私が急かすように言うと、リカルドは、はにかんだような笑みを浮かべ、受け取ってくれた。
「ありがとう。……開けていい?」
「もちろん!」
リカルドは緊張した面持ちで、ゆっくり小箱のリボンをほどき、丁寧に包装を外す。
「あ……!」
「そういえば、リカルド、腕時計持ってないな、と思って」
「こっちにくる直前に、俺うっかりだから、時計なくしちゃって。買わなきゃとは思ってたんだけど、現場ではサイレンも鳴るし、なんとかなっちゃって、そのままにしてた……」
リカルドは箱から腕時計を取り出し、掲げるようにゆっくり角度を変えながら、しばらくじっと眺めていた。
「すごく、すごくかっこいいね、これ。ジュリエッタ、俺、ものすごく嬉しい……」
「よかった、気に入ってもらえて」
「うん……。俺、これ、一生大事にするよ……」
リカルドの声が、少しかすれてる。心から喜んでくれてるみたいで、ほんとによかった。
「腕時計のプレゼントは『一緒に時が刻めますように』って意味があるんだって」
腕時計、リカルドが持ってないのもあったけど、せっかくのプレゼントだから、いい意味があるものにしたくて、選んだ。
「……うん。これからもずっと、よろしく」
「こちらこそ」
「しかし、これ、いつ選んだの? ……あ、下着買いに行くって言った時?」
「そう。下着屋さんって言えば、きっとリカルドついてこないし、絶好のチャンスだと思って」
「知能犯だ!」
「でしょう? 三十分でアリバイ工作できるか、かなりどきどきだった。私、わりと即決な方だから、最初の二軒はよかったんだけど、最後のケーキ屋さんで売り切れって言われて、どうしようかと思った。遅くなったのそれでなの」
「そうだったの?」
「そう。店長さんがとってもいい方で、結局、明日売る分から都合して、デコレーションしてくれたの」
「わあ、ますますそのケーキ屋さん、また買いに行かなきゃ!」
「ほんとにね」
リカルドが言いづらそうに切り出す。
「……その、いろいろお金かかったんじゃない? 急だったし、大丈夫?」
「大丈夫! いざという時用に、お金ヒソカに取り置いてたから、それを運用しました!」
「お金大事」
「お金大事」
「俺、お金貯めるのヘタクソだから、すごく感心する」
「一応いざという時用のお金、昔から準備するようにしてたけど、ほんとに使ったのは、今回が初めて。いや、もう、ほんとに準備しててよかった」
「お金大事!」
「お金大事!」
お祝いの会はこれで終わり、ということで、お風呂に入って寝ることにする。リカルドに先に入ってもらい、私は後から寝室へ向かった。
「あ、ジュリエッタ」
リカルドはベッドでまたなにか書き物をしていたようだけど、私を見るとそっとノートを閉じた。おいでと手招きされたので、応じて横に並ぶ。
「いいお湯だったね」
「うん。いいお湯だった」
リカルドが遠慮がちに訊ねてくる。
「……あの」
「なあに?」
「今日、いっぱいお祝いしてもらって、すごく嬉しかったんだけど、その、もう一つだけ、わがまま言っていい?」
「もちろん」
リカルドが私の耳元に口を寄せる。
「……したい」
「うん。もちろん」
私がそう言うなり、リカルドは私を押し倒し、荒々しくくちづけてきた。
「今日、激しいね」
「……なんか、いろいろ嬉しすぎて、気持ちがたかぶってる」
夜着を脱がすのが、ひどくもどかしそう。あわてすぎてかえって手間取ってるリカルドが、なんだか愛おしい。
ようやく私の夜着を脱がせ終わると、リカルドが声を上げた。
「……あ……!」
「その……リカルド、どういうのが好きかなって、迷ったんだけど」
「下着屋さん、ほんとに行ったんだ」
「だって、お店の袋、持ってたでしょ? とりあえず、清楚な感じで、いつもよりレース多めの、ロマンティックな雰囲気のものにしてみたんだけど……どう?」
「……ほんと、ジュリエッタには、かなわないなあ……」
最高、と言うなり、リカルドはいつもよりも熱烈に私を愛してきた。
誕生日当日にお祝いしなかったのは、本当に痛恨の大失策だったけど、喜ばせることはひとまず成功して、私はほっと胸をなでおろした。来年こそは、当日、盛大に、お祝いするんだ!
リカルドがケーキを食べ終えそうだったので、あわててプレゼントを取りに行く。しまった、さっきケーキ取ってきた時に、一緒に持ってくればよかった。
「ジュリエッタ?」
戻ってきた私を、リカルドが不思議そうに見つめる。
「はい。リカルド、お誕生日おめでとう」
「え?」
私が小箱を差し出すと、リカルドは予想だにしていなかったようで、目を白黒させてる。
「誕生祝いなんだから、プレゼント、あるに決まってるでしょ」
「え、えー!!」
「早く、受け取って!」
私が急かすように言うと、リカルドは、はにかんだような笑みを浮かべ、受け取ってくれた。
「ありがとう。……開けていい?」
「もちろん!」
リカルドは緊張した面持ちで、ゆっくり小箱のリボンをほどき、丁寧に包装を外す。
「あ……!」
「そういえば、リカルド、腕時計持ってないな、と思って」
「こっちにくる直前に、俺うっかりだから、時計なくしちゃって。買わなきゃとは思ってたんだけど、現場ではサイレンも鳴るし、なんとかなっちゃって、そのままにしてた……」
リカルドは箱から腕時計を取り出し、掲げるようにゆっくり角度を変えながら、しばらくじっと眺めていた。
「すごく、すごくかっこいいね、これ。ジュリエッタ、俺、ものすごく嬉しい……」
「よかった、気に入ってもらえて」
「うん……。俺、これ、一生大事にするよ……」
リカルドの声が、少しかすれてる。心から喜んでくれてるみたいで、ほんとによかった。
「腕時計のプレゼントは『一緒に時が刻めますように』って意味があるんだって」
腕時計、リカルドが持ってないのもあったけど、せっかくのプレゼントだから、いい意味があるものにしたくて、選んだ。
「……うん。これからもずっと、よろしく」
「こちらこそ」
「しかし、これ、いつ選んだの? ……あ、下着買いに行くって言った時?」
「そう。下着屋さんって言えば、きっとリカルドついてこないし、絶好のチャンスだと思って」
「知能犯だ!」
「でしょう? 三十分でアリバイ工作できるか、かなりどきどきだった。私、わりと即決な方だから、最初の二軒はよかったんだけど、最後のケーキ屋さんで売り切れって言われて、どうしようかと思った。遅くなったのそれでなの」
「そうだったの?」
「そう。店長さんがとってもいい方で、結局、明日売る分から都合して、デコレーションしてくれたの」
「わあ、ますますそのケーキ屋さん、また買いに行かなきゃ!」
「ほんとにね」
リカルドが言いづらそうに切り出す。
「……その、いろいろお金かかったんじゃない? 急だったし、大丈夫?」
「大丈夫! いざという時用に、お金ヒソカに取り置いてたから、それを運用しました!」
「お金大事」
「お金大事」
「俺、お金貯めるのヘタクソだから、すごく感心する」
「一応いざという時用のお金、昔から準備するようにしてたけど、ほんとに使ったのは、今回が初めて。いや、もう、ほんとに準備しててよかった」
「お金大事!」
「お金大事!」
お祝いの会はこれで終わり、ということで、お風呂に入って寝ることにする。リカルドに先に入ってもらい、私は後から寝室へ向かった。
「あ、ジュリエッタ」
リカルドはベッドでまたなにか書き物をしていたようだけど、私を見るとそっとノートを閉じた。おいでと手招きされたので、応じて横に並ぶ。
「いいお湯だったね」
「うん。いいお湯だった」
リカルドが遠慮がちに訊ねてくる。
「……あの」
「なあに?」
「今日、いっぱいお祝いしてもらって、すごく嬉しかったんだけど、その、もう一つだけ、わがまま言っていい?」
「もちろん」
リカルドが私の耳元に口を寄せる。
「……したい」
「うん。もちろん」
私がそう言うなり、リカルドは私を押し倒し、荒々しくくちづけてきた。
「今日、激しいね」
「……なんか、いろいろ嬉しすぎて、気持ちがたかぶってる」
夜着を脱がすのが、ひどくもどかしそう。あわてすぎてかえって手間取ってるリカルドが、なんだか愛おしい。
ようやく私の夜着を脱がせ終わると、リカルドが声を上げた。
「……あ……!」
「その……リカルド、どういうのが好きかなって、迷ったんだけど」
「下着屋さん、ほんとに行ったんだ」
「だって、お店の袋、持ってたでしょ? とりあえず、清楚な感じで、いつもよりレース多めの、ロマンティックな雰囲気のものにしてみたんだけど……どう?」
「……ほんと、ジュリエッタには、かなわないなあ……」
最高、と言うなり、リカルドはいつもよりも熱烈に私を愛してきた。
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