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本編・取り違えと運命の人
040 夏の嵐 ⑨
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「あ、忘れてました! これ」
リカルドは愛用の袋から包みを取り出し、フラヴィオに差し出した。
「ご結婚されたとうかがいましたので、お祝いです」
「リ、リカルド? いつのまに?」
「ご挨拶に行くことを決めた翌日に買っといた」
「そんなのいいのに!」
「たぶん、ジュリエッタはそう言うだろうと思ったから」
「ジュリエッタ、お前の夫は仕事できるな」
ありがとう、と言いながら、フラヴィオが包みを受け取る。……お礼言うんだ。
「担当の兄ちゃんも、頼りになる職場の出世頭だって、褒めてたぜ」
「え? マッテオのやつ、そんな関係ない話……」
「関係なくもない。この店、ちょっと複雑な仕様にしたかったから相談したら『リカルドさんに訊ねてみます。あの人にかかれば大抵のことは解決するので』って言ってた。そん時は、リカルドってジュリエッタの相手と同じ名前だなと思っただけだったんだが」
リカルドは仕事内容についてほとんど話さないから、そういうの全然知らなかった。職場で信頼されてるんだな、とちょっと誇らしくなる。
「あの色気なかったジュリエッタを、こんなに変えてくれてるし」
フラヴィオがじろじろと値踏みするように私の格好を見る。
「お察しの通り、今日のコーディネートは全てリカルドのセンスよ」
「だよな。お前、こういうの選ばないしな。もう全部任せた方がいいよ。リカルド、お前よりお前のことわかってる」
「うるさい」
険悪な雰囲気にあわあわしているリカルドを助けるかのように、クリスタルの花瓶を抱えたギネヴラさんが戻ってきた。
「お茶の準備ができたので、持ってきていただいたケーキ、奥でお召し上がりください」
「なに、お前は一緒に食わねえの?」
「お店が」
「いいよ。せっかくかわいい義弟が来てくれたし、今日はもう閉店」
フラヴィオはそう言うと、私達を奥へ行くよううながし、自分は閉店の札を下げに外へ出ていった。妹の立場は一体。
思いがけなく和やかにお茶をし、夕方おいとますることになった。
「ぜひ、また遊びに来てくださいね」
「リカルド、お前一人でも遊びに来いよ。大歓迎だ」
「こちらこそ、ぜひ遊んでください! これからもよろしくお願いします!」
「私こそ、フラヴィオ抜きでギネヴラさんとなかよくするもん!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
兄妹の会話は、どうにもアレだけど。
リカルドは愛用の袋から包みを取り出し、フラヴィオに差し出した。
「ご結婚されたとうかがいましたので、お祝いです」
「リ、リカルド? いつのまに?」
「ご挨拶に行くことを決めた翌日に買っといた」
「そんなのいいのに!」
「たぶん、ジュリエッタはそう言うだろうと思ったから」
「ジュリエッタ、お前の夫は仕事できるな」
ありがとう、と言いながら、フラヴィオが包みを受け取る。……お礼言うんだ。
「担当の兄ちゃんも、頼りになる職場の出世頭だって、褒めてたぜ」
「え? マッテオのやつ、そんな関係ない話……」
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リカルドは仕事内容についてほとんど話さないから、そういうの全然知らなかった。職場で信頼されてるんだな、とちょっと誇らしくなる。
「あの色気なかったジュリエッタを、こんなに変えてくれてるし」
フラヴィオがじろじろと値踏みするように私の格好を見る。
「お察しの通り、今日のコーディネートは全てリカルドのセンスよ」
「だよな。お前、こういうの選ばないしな。もう全部任せた方がいいよ。リカルド、お前よりお前のことわかってる」
「うるさい」
険悪な雰囲気にあわあわしているリカルドを助けるかのように、クリスタルの花瓶を抱えたギネヴラさんが戻ってきた。
「お茶の準備ができたので、持ってきていただいたケーキ、奥でお召し上がりください」
「なに、お前は一緒に食わねえの?」
「お店が」
「いいよ。せっかくかわいい義弟が来てくれたし、今日はもう閉店」
フラヴィオはそう言うと、私達を奥へ行くよううながし、自分は閉店の札を下げに外へ出ていった。妹の立場は一体。
思いがけなく和やかにお茶をし、夕方おいとますることになった。
「ぜひ、また遊びに来てくださいね」
「リカルド、お前一人でも遊びに来いよ。大歓迎だ」
「こちらこそ、ぜひ遊んでください! これからもよろしくお願いします!」
「私こそ、フラヴィオ抜きでギネヴラさんとなかよくするもん!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
兄妹の会話は、どうにもアレだけど。
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