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本編・取り違えと運命の人
086 運命のオーダーメイド ②
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しばらく黙っていたリカルドが、不意に口を開いた。
「……ねえ、ジュリエッタ」
「……なあに?」
「布を、足そうよ」
「え?」
リカルドの言うことって、時々本気でわからない。布を、足す?
「ジュリエッタ、お針子さんじゃない。それも、最高の」
ほら、と、リカルドは愛用の袋を指して、笑みを浮かべる。
「布を縫い足して、そこに新しいボタンかボタンホール、付けよう。服にボタンを合わせるんじゃなくて、ボタンに服を合わせればいい」
思いもよらないリカルドの言葉に、なにを言っていいのかわからなくなる。
「そんなの、見たことない……」
「そうだよ! だって、世界でたった一つのオーダーメイドなんだから!」
それは、他の人から見れば、いびつで不格好なものかもしれない。でも。私にとって、これ以上心地よい、お気に入りの、かけがえのない存在はないんだ。
そのオーダーメイドを手に入れられるなら。
「布は騎士の俺が用意する、と言いたいとこだけど。俺、ほんとは大工だし」
だからね? とリカルドが袋からなにかを取り出す。
「向こうのジュリエッタさんに、なにかあったらすぐに連絡が取れるようにって、この鏡、もらったんだ。ルーカさんとジュリエッタさんにも協力してもらおうよ。『一人でできることにはどうしても限界があるから、どんなに技術があっても、仲間と協力できないと一流の大工にはなれない』って、父ちゃんもよく言ってたし。四人ならできること、あるかもしれない」
「なにを……する気なの?」
「正直、そもそもなにをすればいいのか、それすら全然わからないけど」
リカルドは一度言葉を切ると、私をじっと見つめる。
「ただ、このまま、運命だからって流されるのは違う気がして。確かに、人の力ではどうにもできないことも、あると思う。でも、俺は、なにもしないで、ただ指をくわえてジュリエッタを失っていくなんて、もう絶対に嫌なんだ。一生大切にするって、指輪に誓ったしね」
そう言って、リカルドは鏡を三回ノックした。連絡の合図なのかな?
『……リカルド?』
鏡にジュリエッタさんの顔が映る。神殿で見た険しさは消えていて、あどけなさすら感じる、愛らしい笑顔。こんな表情の美少女がいつもそばにいたら、そりゃ、ルーカさんもメロメロになるよね。しかも巨乳だし、うらやまけしからんよね、と、なんだか男子目線になってしまった。
「俺達もそちらも、お互いの相手じゃないとだめですけど、本当の神託の組み合わせではないじゃないですか」
当人同士の気持ちは固くても、神託と異なった組み合わせであることは、やっぱり間違いない訳で。
「やっぱりすっきりしないというか、なんとかならないかなと思って。協力して作戦立てませんか?」
『わかった。魔法でこっちに二人を呼び寄せるから、来て。部屋はたくさんあるから、今夜はこっちに泊まればいい』
横にいるルーカさんも、笑顔でうなずいている。
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
話が終わって、そのまま召喚されてしまいそうだったので、あわててさえぎる。
「あの! よかったら、夕飯持っていきますけど、いりますか?」
ルーカさんは全然ごはん食べてなかった。リカルドの話だと二人は神殿の町に泊まる予定だったそうだし、なにも食べ物ないかも。
『『……めちゃくちゃ助かる!!』』
鏡から、二人の心の叫びのような声が聞こえた。なんか、彼ら、外見のイメージとキャラ、絶対全然違うよね。
「……ねえ、ジュリエッタ」
「……なあに?」
「布を、足そうよ」
「え?」
リカルドの言うことって、時々本気でわからない。布を、足す?
「ジュリエッタ、お針子さんじゃない。それも、最高の」
ほら、と、リカルドは愛用の袋を指して、笑みを浮かべる。
「布を縫い足して、そこに新しいボタンかボタンホール、付けよう。服にボタンを合わせるんじゃなくて、ボタンに服を合わせればいい」
思いもよらないリカルドの言葉に、なにを言っていいのかわからなくなる。
「そんなの、見たことない……」
「そうだよ! だって、世界でたった一つのオーダーメイドなんだから!」
それは、他の人から見れば、いびつで不格好なものかもしれない。でも。私にとって、これ以上心地よい、お気に入りの、かけがえのない存在はないんだ。
そのオーダーメイドを手に入れられるなら。
「布は騎士の俺が用意する、と言いたいとこだけど。俺、ほんとは大工だし」
だからね? とリカルドが袋からなにかを取り出す。
「向こうのジュリエッタさんに、なにかあったらすぐに連絡が取れるようにって、この鏡、もらったんだ。ルーカさんとジュリエッタさんにも協力してもらおうよ。『一人でできることにはどうしても限界があるから、どんなに技術があっても、仲間と協力できないと一流の大工にはなれない』って、父ちゃんもよく言ってたし。四人ならできること、あるかもしれない」
「なにを……する気なの?」
「正直、そもそもなにをすればいいのか、それすら全然わからないけど」
リカルドは一度言葉を切ると、私をじっと見つめる。
「ただ、このまま、運命だからって流されるのは違う気がして。確かに、人の力ではどうにもできないことも、あると思う。でも、俺は、なにもしないで、ただ指をくわえてジュリエッタを失っていくなんて、もう絶対に嫌なんだ。一生大切にするって、指輪に誓ったしね」
そう言って、リカルドは鏡を三回ノックした。連絡の合図なのかな?
『……リカルド?』
鏡にジュリエッタさんの顔が映る。神殿で見た険しさは消えていて、あどけなさすら感じる、愛らしい笑顔。こんな表情の美少女がいつもそばにいたら、そりゃ、ルーカさんもメロメロになるよね。しかも巨乳だし、うらやまけしからんよね、と、なんだか男子目線になってしまった。
「俺達もそちらも、お互いの相手じゃないとだめですけど、本当の神託の組み合わせではないじゃないですか」
当人同士の気持ちは固くても、神託と異なった組み合わせであることは、やっぱり間違いない訳で。
「やっぱりすっきりしないというか、なんとかならないかなと思って。協力して作戦立てませんか?」
『わかった。魔法でこっちに二人を呼び寄せるから、来て。部屋はたくさんあるから、今夜はこっちに泊まればいい』
横にいるルーカさんも、笑顔でうなずいている。
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
話が終わって、そのまま召喚されてしまいそうだったので、あわててさえぎる。
「あの! よかったら、夕飯持っていきますけど、いりますか?」
ルーカさんは全然ごはん食べてなかった。リカルドの話だと二人は神殿の町に泊まる予定だったそうだし、なにも食べ物ないかも。
『『……めちゃくちゃ助かる!!』』
鏡から、二人の心の叫びのような声が聞こえた。なんか、彼ら、外見のイメージとキャラ、絶対全然違うよね。
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